時代を混沌から希望に導く
2019/05/15
それは、医療機関の対応をしていた時期にあります。どんな仕事も信頼関係の上に成立しています。私は常に信頼関係の構築を第一に仕事に取り組んでいました。そのために次の2点を探求。まず、新薬開発の専門家として認めて頂く、次に、好感を持って頂けるように接する。」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2019年2月11日、コーチをしているU-12サッカーチームの2学年合同の親子サッカー大会でした。
親子でウォーミングアップ、2学年の合同チームの巴戦、お母さんと選手の対抗戦、お父さんと選手の対抗戦、親子対決1対1、親子対決2対2。
選手もご父兄も寒い中、サッカーを楽しんでいました。
お父さんの中にはサッカー経験者も多く、社会人チームで現役選手として活躍されている方も。
その中のお一人とSamurai Blue(日本の男子代表チーム)の話題に。
ここ10年間ほど、私が抱いているSamurai Blueの課題についてお話ししました。
#相手選手のマークについている時の距離
距離が少し遠い。
相手チームの展開する先を限定する意図が感じられないのです。
能動的な守備ではなく、受動的な守備。
そのお父さんは中学高校はJリーグのユースチームに所属していました。
その時、守備の指示は「飛び込むな」というもので、1対1でアプローチしきることについては指導されなかったと仰っていました。
私は中学生の体育の先生から、「自分の感覚でいいから相手との距離を出来るだけ近く取れるようにして」とアドバイスを頂きました。
高校も大学も基本的にマンツーマンの守備だったので、私がマークに着いた選手から「しつこい奴」と言われたほどに相手の自由を奪ってました。
“誘因の程度を誘因価といい、報酬もまた誘因になる。誘因価は魅力の程度と言える。動物の場合は餌が報酬になるが、報酬を評価している部位が大脳基底核の一部である側坐核のシェルのよばれる部位である。
①食欲や性欲などの一次報酬
②金銭などの二次報酬
③他者から受けるプラスの評価や他者に対する協力などの社会的報酬
など報酬量に比例した活動が見られる。つまり人間の側坐核では、金銭、褒められるなどのことが等価となり、報酬は動物とは異なってより抽象的なものになる。そして側坐核で評価された信号は、扁桃体と行動を決定する淡蒼球に伝えられる。”
(乾俊郎, 感情とはそもそも何なのか, P.29, ミネルヴァ書房, 2018)
Samurai Blueはマークがサイド以外はゾーンディフェンスが基本に見えます。結果的に中央の1対1に負けている。ボールがゴールから遠ざけるのではなく、相手の攻めを遅らせてゴール前を固めてからボールを奪いに行く。「暗黙のフレーム」として何となく合意されている戦術に思えます。
サイドでの1対1は相手の背後にタッチラインがあるので比較的ボールを狩取りに行きやすいのですが、中央ではワンタッチ目に相手との距離を詰めきっておかないとボールを狩取るのは難しくなります。中央ではボール近くの2、3人の選手の連係と、ゴール前の危険なポジションにいる相手選手のマークについている味方選手との連係が必要になります。
ゴール前の危険な選手へのケアが足りない場面がまだあるように思えます。
もう一つ、サイドの選手を除き、自分がマークについている選手がパスを受けた時に自由にプレイさせない意図が弱いように思えます。
これはあくまでも私の見方であって、実際に選手がどんな意図を持たれているのかとは別です。
この点については機会があれば、選手や監督、コーチとお話をしたいところです。
遠くの幸せと今の幸せを重ねる
我々の身体は時間と空間の制約を受けます。
サッカーも正に、この制約を受ける競技です。相手よりも先に動き出してフィールドの時空間を制するのがサッカーであるとも言えます。
ボールを保持することで時間を制し、ボールと相手の間に身体を入れることで、相手よりも高くジャンプすることで、空間を制する。
サッカー選手が今理解することはフィールド上の自分のポジションです。今のポジションが、結果的に次のプレイのすべてを決めてしまうと言っても過言ではありません。
先にお示ししたSamurai Blueへの問題意識も、いかにしてゲーム中に時空間を支配するのかと言う観点から出てきたものです。
一方、意識には時間と空間の制約はなく、色々な夢を持つことができ、自分の定義する完璧な存在をイメージできます。
サッカー選手も自分の理想のイメージ、体感覚があり、そのイメージ、体感覚を得るために能力を高めています。このイメージや体感覚への欲求がそのまま動機になります。一流と言われる人はサッカーに限らず、この欲求が強いのだと私は考えております。意識の次元が違うと言うことでしょうか。
ヒトの悩みもよく考えると時間と空間の制約が原因です。
相手を理解したいのに理解できない。
相手に理解して欲しいのに理解してもらえない。
最終的ここに行き着きませんか?
相手の頭の中に入って行ければ、この悩みは解決できますね。でも、空間の制約があり入っていけません。
頭の中に入って行ければ、相手のこれまでの人生が分かって、自分のこれまでの人生が分かって貰える。例え、空間の制約を克服できても、お互いにこれまでの相手の人生と同じ時間を相手の意識が芽生えた時点から相手の視点で体験しないと分かり合えません。
お互いの歩んできた道が違うから、今、状況を共有しながら異なる体験をしている。
こう考えるとお互いに理解することが不可能にも思えます。しかし、そうではありません。理解できる部分と理解できない部分がある。それは、同じモノを対象に意見交換できるからです。例えば、サッカー。2018年ロシアでのワールドカップ。日本は決勝トーナメントでベルギーに破れてベスト8に進めませんでした。この試合に勝つために自分が選手だったらこうプレイする。とか、自分が監督だったらこう指示を出す、この選手をこのタイミングで投入する。こんな切り口でお互いに意見交換をするとお互いをある程度理解できそうです。お互いにこの試合でのSammurai Blueの闘い方を試合経過として共有できているので、試合経過のある部分を切り取って、こう解釈した。この解釈からこうすれば勝てると判断した。この主張を筋道を立てて論理的に展開できれば、自分のサッカー観からくる戦略、戦術を理解して貰えそうです。
すべてを完璧に理解するのではなく、今、必要な部分を理解する。
この必要な部分は一人一人、異なります。
“私たちは、生命の誕生以来ホメオスタシスが作用してきたことを知っている。しかし感情、すなわち生体内の瞬間的なホメオスタシスの状態を主観的に経験することは、生命の誕生とともに出現したわけではない。私の考えでは、感情は生物が神経系を備えるようになってから出現したのであって、その起源は、生命の誕生よりはるかに最近の、およそ六億年前に求められるに過ぎない。”
(アントニオ・ダマシオ著, 高橋洋訳, 進化の意外な順序, P.40, 白楊社, 2019)
人工知能(AI)がいよいよ我々の日常で当たり前に使われる時代に突入しました。
ヒトへの理解を人工知能に反映すると言うビジネス上の欲求が、この変化を加速させます。
この先行者利益はもしかしたら、世界を自分が思う通りにコントロールできる権力に繋がるのかもしれません。
この欲求がどんどん高まり、実社会で使えるAI技術が続々と現れています。
どんどんと現実をシミュレーションする精度が高まり、未来の予測確度も高まります。
今、必要な部分を理解する。
この理解が遅れると、周りに取り残されます。
この理解が間違っていると、自分を見失います。
あなたが主体的に活動するにせよ、受動的に活動するにせよ、この理解力を上げるのは可能です。トレーニングを積めば。
“ストラテジック・プランニングによる組織変革は、現在でも行われている、組織の戦略を立案して、それを実行していくという取り組みです。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.209, ダイヤモンド社, 2018)
これから更に深まっていく混沌とした時代。
混沌としているから誰にでもチャンスはあり、そのチャンスはヒトの数だけあります。何故ならば、お互いの歩んできた道が違うから。一人一人が独自の観点を持って今の時代を生きているから。時代のここを切り取り、こう解釈した。この解釈からこうすれば幸せになれるヒトが増える。この主張を筋道を立てて論理的に展開する事例はヒトの数に場面をかけた数だけ存在します。
あなた独自の観点をどう活かすのかを決めるのはあなたです。
時代がいくら混沌としようと、今、理解が必要な部分を決めるのはあなたです。
AI技術は仕事の自働化に繋がるように、あなたの認知(世界の成り立ちへの理解)や能力を拡張します。
あなたがなんのために今を理解するのか。ここが明らかになれば、AI技術はあなたを時間と空間の制約から解放してくれます。
お互いにどんな時も希望を持ち続けることのできる自分であり続けましょうね。
#認知の拡張
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