Possibility
2019/04/13
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2019年1月14日、フットボールカンファレンスの後、高知県サッカー協会が主催された「川淵三郎氏講演会」に参加しました。
川淵さんとは旭日重光章の受賞のお祝い会でお会いして以来の再会でした。
相変わらずお元気で、高知県にJリーグのチームの設立へのエールを込めたご講演でした。
ご自身はサッカーに限らず、生涯スポーツを楽しめる環境を日本中にお造りになられたいそうです。この原体験は、ドイツへサッカー留学した時の地域スポーツの現状を目の当たりにされたことでした。
鹿島アントラーズの設立、バンフォーレ甲府の経営危機の克服と、チームの設立と運営に関する具体例をご紹介されました。
アントラーズは次々とJリーグの要求事項をクリアされました。今では、鹿島では休耕田がサッカー場に変わり、色々なチームの活動の場になっています。
バンフォーレは赤字が蓄積して経営者が交代しました。地元の商店街のヒトたちが選手達の無料日を作って支援を続けられ無事赤字を解消しました。
川淵さんは、とにかく、選手が伸び伸びとプレイする環境を望まれていて、その整備を推進されています。指導者の選手に接する態度にも幾つか思われていらっしゃることをお話されていました。特に、選手を罵倒する指導者に苦言を呈されていました。
果てしなく可能性について考えてみる。
川淵さんが古河電工を卒業されて、日本にプロのサッカーリーグを設立する時には、日本にはその土壌がまだ十分ではありませんでした。
例えば、新聞のサッカーの記事はわずか数行。
しかし、川淵さんはその状態からJリーグの設立にリーダーシップを発揮され、ワールドカップ出場の常連国になる礎を築かれたのです。
プロのサッカーリーグの設立は、1960年に来日し、1964年東京オリンピックに向けてサッカー日本代表のコーチをされたデッドマール・クラマーさんの提言でした。直ぐにトーナメントしかなかった大会にアマチュアのリーグ戦を設立して、提言から27年後の1991年にプロのJリーグが始まりました。
クラマーさんの提言を歴代の日本サッカー協会のメンバーが受け継ぎ、最後、川淵さんが実現を果たされたのです。
日本人はハードワークを昔からやっていた。でも、ハードワークだけではダメでビジョンが必要だ。
川淵さんが会場からの質問に答えておっしゃってました。
ハードワーク
ビジョン
今回のテーマは可能性です。
ハードワークは必要ですが、ビジョンのないハードワークの可能性はどうなのでしょうか?
あなたは可能性をどう捉えていらっしゃいますか?
自分には可能性しかない。
何かが起こることになる確率。
常に広く持っておきたい何か。
私はヒトは可能性の存在であると捉えています。
“自然の法則は、新しい惑星や新種の昆虫を発見するように法則を探せば、それだけで明らかになるわけではない。むしろ、限られた数の観察結果や実験に基づいて自由に考案される。プランクが苦労して得た経験から得たように、法則を立てるには、論理や数学だけでなく、想像力、直観、洞察、本能も必要となる。こうした法則を立てるには、論理や数学だけでなく、想像力、直観、洞察、本能も必要となる。こうした法則を見つける方法は機能ー特殊から一般への推理ーが用いられる。人間のどんな営みとも同じく間違いやすい手順だ。”
(ハンス・クリスチャン・フォン・バイヤー著, 松浦俊輔訳, 木村元解説, QBism, P.156, 森北出版, 2018)
可能性があるとは、すべてが決まっていないと同義です。
未来に対しては何も決定されていません。
何も決定されていませんが、未来に影響を及ぼすのはあなたの意図です。
意図を持って行動しなければ、その意図は実現できません。
意図を持って行動していたとしても、その意図が実現できるかどうかは不明です。
確実に言えるのは意図が実現の可能性を高めます。
川淵さんがJリーグの設立に向けて活動された経緯は、正に意図が実現の可能性を高めました。
意図として分かりやすいのはゴールやビジョンです。
私を含め日本人の多くは、既に存在している組織をあたり歩いています。家族、親戚、ご近所さん、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、クラブ、会社等です。
保育園から会社まではゴールやビジョンが既にある組織が多い。ここでは、求められたことに答えるという態度で過ごすヒトが多いのかも知れません。
実際、私は周囲のヒトに対してそう感じていました。
多くのヒトの悩みは求められたことに答える時に、本当の自分が納得していないことが原因でおきています。
本当の自分を自覚していれば、このGAPを調整できるかも知れませんが、自覚していなければ理由が掴めないまま悩みが蓄積して行きます。
それが鬱の原因となって、後戻りできなくなるとヒトはどうなってしまうのでしょうか?
社会現象として起きていることの多くはこのフレームのパターンに含まれると考えています。
与えられた環境を主体的に生きる。
守破離
“これに対して現在の組織開発では、「組織は目指す姿や取り巻く環境、その組織にいる人々が異なるため、組織によってありたい姿は異なる」と考えます。そして、目指す状態に至るための組織開発の方法はカスタマイズされる必要があると想定しています。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.183, ダイヤモンド社, 2018)
話を可能性に戻します。
意図が実現の可能性を高める。
意図があれば実現するのではなく、その可能性を高めるのです。
よく考えると、意図がなければ、可能性もありませんね。
でも、意図を自覚できていない場合があるのかも知れません。ただ、なんとなく。
“文化の形成をめぐる議論は、対立する二つの見解の争いになりやすい。一方の見方は、人間の行動を自律的で文化的な現象に由来するものとして、また他方の見方は、遺伝によって受け継がれる自然選択の経過としてとらえる。しかし、いずれか一方の見解を絶対視する必要はない。人間の行動はたいてい、比率や順序こそ異なっても両者の影響を受けているのだから。”
(アントニオ・ダマシオ著, 高橋洋訳, 進化の意外な順序, P.16, 白楊社, 2019)
正しくは意図の持ち方が可能性を高めるですね。
我々は等しく、意図を実現するために、周囲のヒト達に働きかけています。有言だったり、無言だったり。
時代のムードをそちらに引き寄せるための働きかけです。
働きかけもヒトによってそれぞれですが、私のお勧めはベクトルを示したら、暫くはムードの動き方を観察する手順です。
トレーニングは必要ですが、誰でもできます。
意図
可能性
あなたはどのようにして意図を持たれていますか?
#フラクタル
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