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Expectation

      2019/04/14


Expectation「ヒトはストーリーとともに実像を創ります。そのストーリーはヒトそれぞれ、同じヒトでも時期が違えば様々です。最初から完全ではない場合も多く、一歩一歩進みながらストーリーを調整しながら望んだ実像にしていきます。出来上がった実像が望んだモノでなければ、それを創り直します。また、ストーリーが次の瞬間までというヒトから50年に及ぶヒトまで多種多様です。」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)

2019年1月14日、フットボールカンファレンス最終日。
日本のサッカーの未来についてパネルディスカッション。

壇上に年代別代表の監督が2名、様々なカテゴリーの指導者が4名並び、育成年代の指導について意見交換がされました。

expectation: 想定している未来が起こりそうだという感覚、起こしたいという感覚

日本サッカー協会は2050年にワールドカップを再び日本に招致して、Samurai Blueが優勝するという目標を掲げています。
優勝の前にベスト8、ベスト4を経験することになるでしょう。
私もこの目標の達成に向けて活動をしています。

日本は確実に強くなって来ています。
一方、他国もやはり強くなって来ています。

“Tグループやベーシック・エンカウンターグループ、自由闊達な対話などを経験なさったことのある方ならば、自分の所属するグループに、こうしたグループ・レヴェルの無意識のプロセスが生まれてしまうことを記憶している方も少なくないと思います。リーダーに誰かを祭り上げたり、闘争・逃走してみたり、ペアを組んでみたり。私たちは、自由闊達なグループの中ですら、こうした決まりきった行動を無意識のうちにとってしまいがちです。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.171, ダイヤモンド社, 2018)

今、日本には育成年代の選手が所属するチームは多様です。
学校のクラブ、クラブチーム、Jリーグのチーム
それぞれ、別々の指導者がいて、その指導者の考え方に基づいて指導が行われています。

各地域ではトレセンが組織され、各チームから選ばれた選手が地域代表として試合を行い、選手はレベルアップします。
いつもとは違う選手、いつもとは違うコーチと練習したり、試合をすることは、新たな刺激を受けて飛躍をする機会になります。

様々な大会で選手はチームで試合したり、地域代表で試合したりします。
地域から全国に展開していく大会では、勝ち上がったチームが自分たちの地域の応援を受けて駒を進めて行きます。
勝ち上がればこれまでよりも強いチームと対戦する機会を得られ、そこで選手は更にレベルアップします。

ワールドカップも同じ図式です。

“仮説が固まって法則に結晶化する道のりは、アインシュタイン・ポドルスキー・ローゼンの推論での、予測から実在の要素への移行に似ている。どちらの場合にも、信条が強さを得て、徐々に確定になる。原理が「自然法則」という栄誉ある称号を与えられると、その意味は変わり始める。ものごとの起こり方を記述するただけでなく、それを統御・統治するためにも法則が求められるようになる。それは「法の支配」という言い方の意味で、世界を支配するようになる。あるいは逆に、プランクが言ったように、宇宙は法則が課す厳格な秩序に従うようになる。”
(ハンス・クリスチャン・フォン・バイヤー著, 松浦俊輔訳, 木村元解説, QBism, P.157, 森北出版, 2018)

選手がレベルアップできる環境を今後も増やして行くことが選手、チーム、地域、日本、世界を「勝利」に導くことに繋がるでしょう。
それでは、「選手がレベルアップできる環境」とはどんな環境なのでしょうか?
この課題を考える時、一人として同じ選手はいないことを考慮する必要があります。
一人一人の選手にあったレベルアップできる環境はあります。
課題はそれをどうやって実現するのかです。
では、その環境を作れるのは誰なのでしょうか?

この問いへの答えは、「選手がレベルアップできる環境」は選手がサッカーをやっている時だけなのか? この問いに答えることで見つかります。

私は、選手がレベルアップできる環境は、選手自身にしか作れないと考えています。

あなたの成果はやがて誰かの役に立つ。

コーチが理解しないといけないことは選手がどんな未来を描いているのかということです。
選手が自分の未来を描き、そこに自分が行きたいと思えば、自然とレベルアップして行きます。
そうなれば、選手の希望を聞いて、チームとして一人一人の選手の希望を叶えるにはどうしたら良いのかを考えることができます。
ここに来て初めて、選手とチームが一体化する風土が整うことになります。

未来を描く
レベルアップ

更に、選手間で自分が描いている未来を共有し始めると、チームが自走する土壌が整うことになります。

“ここでも人間は、実践的な目的のために、こうした感情を利用してきたのだろう。すなわち、なぜそもそも痛みが存在するのか、あるいは、なぜ奇怪にも特定の状況下では、他者の苦痛が報酬となり得るのかを問う動機として利用してきたのだ。その際おそらく、怖れ、驚き、怒り、悲しみ、思いやりなどの痛みに関連する感情を、苦痛やその源泉を取り除く方法を考案するための案内役として用いたのだろう。そして自分たちに実践可能な種々の社会的行動のなかには、仲間意識、友情、ケア、愛情など、攻撃性や暴力の対極をなし、他者のみならず自分自身の幸福にも資するものがあると認識するようになったのだそう。”
(アントニオ・ダマシオ著, 高橋洋訳, 進化の意外な順序, P.22, 白楊社, 2019)

この間、必要なのはお互いの信頼関係です。
そして、サッカーを楽しむ態度です。

この「選手がレベルアップできる環境」は、サッカーだけではなく、職場や社会にも展開できると考えています。
ご参考にして頂けたら嬉しいです。

#風土つくり

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