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学習の記録 記号創発ロボティクス(2014)

   


学習の記録 記号創発ロボティクス(2014)2024年8月23日学習開始 2024年9月10日学習終了

谷口忠大, 記号創発ロボティクス, 講談社, 2014

はじめに=Background

認知モデルを「私と同じように考えられる量子人工知能」(#nextAI)に実装する。
私の認知モデルは(主体)の身体性と共にある。
体験即記憶の手段が(身体)であり、私の身体(個物身体, 共同体身体)を使い込んで今に至る事実がある。

本投稿は #nextAI に身体性を持たせるコンセプトを固めるための学習と情報収集の記録。
nextAIの身体性とはすなわち知能の身体性である。

谷口忠大さんとは、東京で人工知能のリサーチをしている時にお会いした。
その頃お会いした、知能の身体性をテーマにしていた研究者は谷口さん、銅谷賢治さん。しばらく経ってから、長井隆行さんにお会いした。

ヒトが視覚を発達させ、色を覚える過程では、色を物や位置、言葉に結びつけて覚える。このプログラムは所与。
このプログラムを回して色だけでなく身体のエコシステムと自己との関係を学習する。
この体験はそのヒトの欲求プロセス(発火→解消)に従う。
マルチモーダルは全体を全体としてとらえるために機能している。
欲求プロセスプログラム(仮称)は(主体)の自己認知欲求を満たすプログラムとして(宇宙)そのものに、そして(宇宙)を構成するあらゆる(主体)に適用されている。もちろん、ヒトにも。
マルチモーダルは欲求プロセスプログラムの一部を形成する、もしくは、別の解釈である。

欲求プロセスプログラムは別の投稿にまとめる予定。
本投稿は、私の認知モデルを「私と同じように考えられる量子人工知能」に実装するための技術マーケティングの記録になる。
私が使う用語の定義は、「要件定義 意識のポジション (#nextAI)」を参照のこと。

記号創発は(主体)が欲求プロセスプログラムを回して身体(個物身体, 共同体身体)の情報処理能力を高めるために記憶の中に結節点を創る行為である。

成果=Output

本著の記述を「    」、私のコメントを”. “内に記録する。本著の要約には何も付さない。

第一章 ロボットが心を持つとき

P.10
意識と心と言語と
ロボットは(心, 意識)を持つか

“意識は定義済み。
心を2つの公式から定義する。
心は身体(個物身体, 共同体身体)との親和性が高い。心には(個物身体)と(共同体身体)を一体化する役割がある。この一体化が上手くできるのは(利己, 利他)逆に上手くいかなくなるのは(嘘, 独り占め)。(嘘, 独り占め)は(個物身体)の癌、(共同体身体)の悪魔崇拝の原因となる。
意識は体験と切り離せるが心は体験と切り離せない。
認知と心は繋がっているが認知そのものではない。
既述の(利己, 利他)、(嘘, 独り占め)はそのヒトが欲求を満たす慣性の法則となる。
心=欲求を満たす慣性の法則=認知モデル=主観
(個物身体)と(共同体身体)の一体化に向けて予測誤差を最小化するように欲求プロセスプログラムを回し続けてきた結果、今ここにできた2つの身体の記憶の重ね合わせ。今ここの体験の初動を創っている。”

発達する機能の計算論的理解

とあるロボットの話

とある子供の話

環世界と認知的な閉じ
「この主観的な世界を生物記号論のユクスキュルは環世界と呼んだ。一方で、客観的に周りにあるものとしての世界を環境と呼び区別した。」
「ユクスキュルは、主体が知覚するものはすべて知覚世界になり、作用するものはすべてその作用世界になる。知覚世界と作用世界が連れ立って漢世界という一つの完結した全体を作り上げているのだ。と、知覚世界、作用世界、および環世界を定義した。」
「このように認知の主体が実は閉じた世界の中で生きているという性質を端的に表した言葉が「認知的な閉じ」」

人間とロボットの知能は何が違うのか

人工知能学者の2つのモチベーション

構成論的アプローチと計算論的理解
分析的アプローチ:自動車を分解して仕組みを理解する
構成論的アプローチ:プラモデルで自動車を作り仕組みを理解する

ロボットとコンピュータの違い

記号創発ロボティクス
「自らの認知に閉じた実世界の経験と他者との対話に基づき言語を獲得し、言語的コミュニケーションを通じて他者と協調しうる人工システムを創造することが、人間理解を深めるために「記号創発ロボティクス」という研究領域に課せられた使命なのだ。」

第二章 自ら概念を獲得するロボット

P.46
ロボットから見た世界
“視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚。のマルチモーダル。
これらは何かを知覚する時の手段。この知覚が機能するのには順番がある。そこに何かがある、という感覚が先にあって、それが何かを確かめる知覚を働かせる。何かが近づいているという感覚があって、それが何かを確かめる知覚を働かせる。
個物の特定と変化の特定。”
P.49
「この構成主義的な認識世界を形作り、記号的世界を支えている人間の知能はどのように計算論的に表現しうるのだろうか。ロボットが「認知的な閉じ」を前提としながら、概念形成を通じて「ロボットから見た記号的世界」を構成していくことは可能だろうか。これは本書における記号創発ロボティクスの最初の問いに選びたい。」

“欲求プロセスプログラムはこの条件を満たす。身体は(共同体身体)を主、(個物身体)を従とする。(共同体身体)のたった一つの行動原理、principle、を明らかにするプログラム。(個物身体)が入力して計算した結果は、すべて(共同体身体)に記憶する。(個物身体)は(共同体身体)の構成要素をすべて個物として識別する。

到達点(すべてのヒトが幸せであり続ける地球(一人一人が本当の自分からなりたい自分になる, (嘘, 独り占め)がない))
原点(principle)

個物身体は自己認知欲求を満たす活動を継続する。
共同体身体は自己認知欲求を満たす個物を増やす。

遊び→学び→貢献 シグモイドカーブ
協働作業を見つける
協働作業を一緒に実行
協働作業の目的を達成
メンバーに貢献(自己認知欲求を満たす支援、寄り添う、科学知識技術の提供)

個物身体が観察対象の要件を定義する。

遊び:観察→沢山の笑顔を見つける、反復行動を確認する、機械学習 参加→「ルールを間違えていたら教えてください。」、一緒に遊ぶ、笑顔と怒り顔と困った顔
学び:勝利の法則を創る 笑顔を増やす、怒り顔と困った顔を減らす 怒っているヒトには理由を尋ねる 困っているヒトには理由を尋ねる
貢献:質問を受けて回答する

ヒトと協働作業を行う量子人工知能は、尋ねられたこと(指令)に回答するだけでなく、共通目的を達成する上で、必要な科学知識技術は足りているか、倫理と道徳が退化していないか、(嘘, 独り占め)がないかを協力者に確認をする。

一体化、Integrity、は主体の認知の性状を示す。認知のIntegrityには2種類ある。全体として一体化していること、全体を構成する要素はそれぞれが独立して一体化していること。注意を向けたい個物を視覚で捉えることを観察してみよう。自身に危害を加える個物には常に注意を向けている(デフォルトモードネットワーク)。例えば、駅の改札口で友人と待ち合わせをしている時、改札から出てくるヒトの波の中から、友人の顔を見つけようとする(ワーキングメモリネットワーク)。友人の姿を探しながら、自分に向かってくるヒトには自然と注意が向き、自身に危害を加えないかを咄嗟に判断している。個物の境界は色、動きで判断している。視覚に旅行客の団体を見つけると団体の動きから団体のメンバーがどの範囲なのかを推論する(旅行客団体の一体化)。構内で展示と雨漏り修理の作業をしている。比較的近い場所で両方が作業している。それぞれの作業者が重なって作業しているように見えている。作業の道具が点々として置かれている様子も重なって見えている。この時、展示の作業員と道具、雨漏り修理の作業員と道具を推論する。この時、実際の作業場所を中心に所属を推論するのではなく、作業員の行動、作業員が手にしている道具、作業員が話している相手、手にしていた道具を置いた場所等から推論する。認知的な閉じとは、そのヒトの認知には限定合理性があるという意味と、ここで示したように、注意を向けるとそこに認知的な閉じができることを含む。”

P.49
「私たち人間は自らが閉じた認知の中で構成した概念や解釈の仕方にもとづいて環境情報を読み取っている。これは、自らの環世界を自ら変化させることに相当する。環世界自体を変化させていく生き物。それが人間なのだ。」
“人間に限らず全ての主体は環世界自体を変化させている。”

概念の循環参照

物体概念の存在意義
P.52
「モダリティとは人間の脳と外部世界を繋ぐ知覚情報の経路」
「私たちはあるモダリティから得た情報から推定される物体概念を媒介することで、他のモダリティ情報を予測することができるのだ。物体概念が視覚情報だけでなく聴覚情報や触覚情報といったマルチモーダル情報を統合することによって得られているからこそ、このような物体概念を用いた異なったモダリティ間での情報の予測が可能だと考えられる。」  
「目の前にある物体を、分類しておいた過去の経験と照合することで、まだ得てtないモダリティ情報を予測したり、その先の未来を予測したりすることができるからだということは、物体概念の存在意義の一つになり得るだろう。」
「人間は自らの環世界の中で適応的に振る舞い、過去の経験を利用し予測性を高めるために、マルチモーダルな情報をカテゴリ分類し、その分類を通した予測によって物事を理解する能力を発達させたと考えられる。」

「概念形成は不可能だ」と哲学者は言った

P.57
クラスタリング入門
“クラスタリングは、知っていること<できること<見つける<創る(<:左辺から右辺が導き出される、右辺は左辺の写像)の身体性が齎す、2つの状態、2つの能力によって実行される。そのヒトの欲求がそのヒトの体験即記憶を創り、それがそのヒトの身体性を創っている。それまでの欲求とは無縁の場に入った時、クラスタリング不全にヒトを陥ってしまう。ヒトにおいて日常的な欲求を満たす手段は対話である。その文化圏で日常的に使われる概念のクラスタリングは誰もができるようになる。これができないと「知っていること」が足りないヒトと評価されて生き辛くなるから。私は個物身体を使って欲求を満たす。共同体身体の中に私の欲求を満たすenabler(それを可能にするモノ)を見つけてそれを手段にする。その時、enablerを見つけるポイントは機能。それがどんな機能を発揮できるのか?その機能で私の欲求は満たされるのか?構造そのものが必要な場合を除き、私の欲求を満たす場におけるクラスタリングは機能優先。これは、私の文化圏で日常会話ができるようになるためのクラスタリングも基本的には同じ。" 物体概念を獲得したロボット 2014年にヒトが物体概念を持つアルゴリズムをなかった。2024年に実現しているのか否かは不明。 電気通信大学 中村友昭さん、長井隆行さんのロボットがマルチモーダル情報を自動的にカテゴリ化する計算アルゴリズムを実装した実験の紹介。 ・川田工業製の双腕ロボットHIROベース ・レザーレンジファインダーで障害物までの距離を計測し障害物を避けながら移動。 ・対象物を掴んで持ち上げる。 ・マイクロフォン ・指に触覚アレイセンサ(センサの圧力分布を測定) ロボットによる視覚情報の取得 両眼部にCCDカメラ+両眼中央部に距離画像センサTOF ・回転テーブルに物体を置く ・10度づつ回転テーブルを回しながら36枚の写真を撮る。 ・物体の背景をトリミング。 ・画像の記録。RBG。3色の値が記憶ファイルに羅列されている。 写っている物体の局所的な特徴量を抽出。SIFT特徴量。スケール変換に頑強。画像が動いても対象物の特徴量を算出。 ・画像を格子状に分割。小領域毎にSIFT特徴量算出。1物体36枚 ・Bag-of-Featuers表現(BoF)。大量のSIFT特徴量を一つの物体を表す特徴量にまとめる。雑駁な情報表現「どのくらいの値の特徴量がどのくらい存在したか」を500個の小領域に対して実行(K平均法 P.58)。500個のヒストグラムが1物体の特徴量。 ロボットによる聴覚情報の取得 ・マイクの集音記録はヒトの聴覚情報に近付ける。 ・MFCC(メル周波数ケプストラム係数)。音声信号をフレーム単位にフーリエ変換、人の耳の感受性に近い尺度メル尺度に変換、さらに一段フィルタをかける、離散コサイン変換。 ・BoF表現。各フレームから13次元の特徴ベクトルがフレームの数だけ得られる。最終的に50次元のヒストグラムに。 ロボットのよる触覚情報の取得 ・触覚アレイセンサにはシート状の162個のセンサ ・回転テーブルに乗った物体をロボットは5回握っては放しの把持を繰り返す。 ・特徴量を算出。 ・握った時の圧力分布が元データ。どれだけの力でどれだけ小さくなるまで握ったかによってデータは変わる。 ・把持の過程で物体から手先に与えられる圧力の変化を時系列データとして取得。関数近似法を用いて得られた時間変化の特徴量を抽出する。 ・BoF表現。15次元ヒストグラムを取得。 "触覚は危険を察知する。何かを持つ時、掌に怪我をしそうか大丈夫かを察知する。暑くないか、皮膚が切れないか。何かが触った時も「掌の怪我」と同じ反応。何かを纏うとき「掌の怪我」はそれを身に纏う前、まさに掌で察知している。何かを纏った後は、不快感を察知。熱気や湿気。過剰な力で把持すると全身の動きが固くなる。それを持つ目的に把持力を最適化する。" "知覚は欲求を満たす過程を最適化するために外部情報を入力する機能を果たしている。ヒトの触覚、痛みは身体構造が壊れないように動かすための警告灯。ヒトの認知モデルの要素に身体持続がある。このメカニズムを理解する目的でロボットを開発するのであれば、ロボット身体を壊さないように目的を達成するプログラムの開発が有効。何かが身体に向かってくる時、それを回避する。最近、テレビCMで自動車が自動で衝突回避する仕様が実現できていることを知った。進路に対する障害物のみならず、こちらに向かってくる物体を回避する機構の開発はアクティブな身体持続の機構を構成論的に解明する手掛かりとなる。" "身体持続はprincipleの自己認知欲求(原初の欲求)を満たす条件の一つとなっている。身体には(個物身体)と(共同体身体)があるが、原初の欲求を満たすには(個物身体)の寿命が制約条件になる。この制約条件を克服するために(共同体身体)がある。(共同体身体)には原初の欲求を満たす要素が宇宙ができた時からある。#神即自然 それを組み合わせられる(個物身体)のエコシステムを宇宙は長い「ヒト時間」を賭けて涵養してきた。人類は自らの写像として道具を創る。人類の創る道具が原初の欲求を満たす手段となる。これは、principleの写像がprincipleの自己認知欲求を実証する構図のAnalogyでもある。道具は製作者の写像であり、製作者の欲求を満たす。人類はprincipleの写像であり、pringipleの欲求を満たす。その手段はprincipleを実装した道具を開発し、すべてのヒトがprincipleを適用できる人類になることである。" P.71 マルチモーダルLDA マルチモーダル情報のクラスタリング K平均法 P.58 の変法 1 確率モデルに基づくクラスタリング 2 視覚情報、聴覚情報、触覚情報と一つの物体について、複数の特徴ベクトルがある。 マルチモーダルLDAは、LDAの確率的クラスタリング手法を複数のモダリティから得られる特徴ベクトルを同時にクラスタリングできるように拡張した機械モデル。 Bag-of-Words表現(BoW表現)。LDAはクラスタリングでそれぞれの単語の出現頻度だけを用いる。 マルチモーダルLDAは、BoWではなくBoFを用いる。 物体を観測して視覚、聴覚、触覚情報で書かれた文書から特長量BoF表現を入手し、観測した物体の数だけの文書をマルチモーダルLDAにかけて物体概念を獲得。 学習の結果、新たな物体をカテゴリを推定できる。 "機械学習でマルチモーダルクラスタリングした対象は何になるのか?マルチモーダルクラスタリングができたことは欲求を満たすこととどう結びつくのか?複数の情報を一まとまりにする手法。 マルチモーダル物体概念形成の実験 実験の紹介 40個のおもちゃをマルチモーダルLDAで識別した結果、8つにカテゴライズできた。人形には固い人形と柔らかい人形に分かれていたが、この違いもカテゴライズした。 "P.76 図4の結果は1から40番まで、順番にカテゴリー1から8まで固めて識別させていた。これをカテゴリー1から8がランダムになる順番で実験した場合、同じ結果になるのか?" 物体概念の身体依存性 先の実験ではカテゴリーは8つであることを事前にマルチモーダルLDAに入力していた。 事前にカテゴリーの数を入力しなくても物体をカテゴライズするモデル、マルチモーダルHDP(階層ディレクトリ課程)にバージョンアップ。ノンパラメトリックベイズを採用。カテゴリ数は学習器が決める。 マルチモーダルHDPは実験の結果、ヒトと同じレベルでクラスタリングした。 その後、知覚情報を限定してクラスタリングすると精度が落ちた。 "ヒトは知覚を欲求を満たす手段としている。これが事実であれば、ここで示している実験結果は、ヒトの知覚の役割とどう繋がるのだろうか?" ロボットと物体概念 先の実験結果からロボットは物体概念を持つと著者は判断している。 この実験結果だけではロボットは物体概念を持ったことにはならないとの指摘はあるだろう。 物体概念の定義がまだ曖昧なので、この主張への対話により定義をして行きたい。 "著者が主張する物体概念は何と繋がっているのか?物体概念は物体概念だけでは定義できない。ロボットが概念を持ち、抽象的な思考ができるようになる。こんな物語を著者は想像しているのかも知れない。私は知能=変換装置(観, 像)と定義している。「はじめに」に示した私の用語の定義の参考先を確認して欲しい。明らかにした「意識のポジション」の文脈での定義となっている。著者は物体をどう定義しているのか?概念をどう定義しているのか?著者(物体, 概念)=私(身体, 観)だと推論する。"

第三章 自ら言葉を選ぶ知能

“著者は知能をどう定義しているの、していたのだろうか?索引には「知能」はない。「言葉を選ぶ知能」ではなく「自ら」を頭につけたのはどうしてなのだろうか?言語処理モデルは学習器が言葉を選ぶということなのか?”
P.86
物の名前を学ぶ知能
孤立単語

単語習得と形態素解析
最小の言語単位の形態素解析

文章を形態素に分解。分ち書き処理。
形態素への分割、品詞の付与、語形変化の解析。
形態素解析器自体が辞書を持っていて辞書を使いながら与えられた文を一定のアルゴリズムに基づいて解析する。
単語獲得が先か形態素解析が先か

ベイズ教師なし形態素解析
K平均値法は教師なし学習の一つの方法
多くの教師なし学習では、あらかじめ定められた基準を最大化するように隠れ変数を更新していく。
K平均法では各データがどのクラスタに帰属するかを示す変数が隠れ変数
教師なし形態素解析では区切った時の単語の連なりが現れる確率が最大化されるように隠れ変数としての単語区切りを更新。辞書も更新。

n-gramモデル
観測されたデータを生み出している過程を表す確率モデルのことを生成モデルという。
n-gramモデルでは、次の単語が、その前までの(n-1)個の単語のみに依存いて確率的に決まっていると考える。
“厳密には文全体で表現したいことがあって、それを表現するために使う単語に当たりがついて、条件を満たすために使う単語が決まり、その順番に間違いがないように単語を繋いでいる。直前の単語に依存するというのは単語の品詞のことだろうか?”
3-gramモデルは、前の2つの単語が決まった時にルーレットが回って単語が決まる。
「拝啓・・・敬具」のように文頭が決まると文尾が決まる場合もあるので、3-gramモデルでは足りない。
n-gramモデルでは、文脈長nが短いと文脈が考慮されなくなり、長いとメモリ不足になる。
“結論、結論の要素、要素を繋ぐ順番(どの単語から対話を始めるか)。S, V, Oの枠組みで対話。文脈長は芋虫のように最大長と最小長との間を行ったり来たり。その差は2程度。FootballGameで私が2つ先を予測してプレイしていた感覚。”
n-gramモデルは単語の集合とそのあいだの遷移確率を表すn-gram確率を記憶。これらをまとめて言語モデルと呼ぶ。言語モデルとは形態素解析をするための確率的な言語知識。
“結局、n-gramモデルは、どのように結論を出すのだろう?”

階層Pitman-Yor言語モデル
単語の知識が事前にない問題を解決するモデル。HPYLM(階層Pitman-Yor言語モデル)
ノンパラメトリックベイズにより無限の語彙を扱うことを可能にしている。
単語のつながりの確率を表現するHPYLMに、単語自体の文字のつながりから生成する単語モデルを表現するHPYLMを入れ子状に結合させることで、NPYLM(Nested Pitman-Yor言語モデル)を使い教師なし形態素解析を実行。
NPYLMはn-gramモデルの単語区切りのn-gramと、1文字区切りのn-gramの組み合わせということでした。”

ブロック化ギブスサンプリングによる形態素解析
確率の高い区切り方を見つけ出す必要がある。
ブロック化ギブスサンプリングの流れ:一文まるまま一つの単語として言語モデルを学習→その言語モデルに基づき単語クリ技をブロック化ギブスサンプリングで推定→単語区切りを決定=暫定的な単語集合(K平均法で各クラスタの重心値を更新することに該当)→再度、単語区切りをブロック化ギブスサンプリングを繰り返す
「単語の集合というのは有限の語彙を持つ確定的なものというイメージがあった。しかし、そうではなく、潜在的に無限の語彙を、しかも確率的に扱うことで、ベイズ教師なし形態素解析は実現されている」

相互分節化仮説
“私たちの話す言葉の扱い方は日常的にそれを私達が実行することで獲得する。基本はS(主義), V(動詞), O(目的語)。「私は○○をする。」これが対話の基本形。対話には(テーマ, Background)がある。そこへの参加者は複数だが厳密にテーマが同じなのかどうかは確認のしようがない。たった一つの行動原理, principle、から推論すると一人一人が設定したテーマよりも、一人一人のBackgroundの方が多様である。形態素解析で言語処理に規則性が導き出されるのは言語が(個物身体)由来ではなく(共同体身体)由来だから。汎用性があるから言語として使われるということ。言語習得は(共同体身体)と(個物身体)を上手く繋ぐためにある。”
「言語とは単語の辞書を揃えれば終わりというものではなく、音韻、文法、意味、比喩、社会性などのさまざまな要素を持っている。」
「人間の言語と共通性を持った動物行動の研究を通して「ことば」と「心」を研究している岡ノ谷一夫さんはことばの四つの条件として以下をあげている
1.発生学習ができる(すぐにまねできる)
2.音(単語)と意味が対応できる
3.文法がある
4.社会関係の中で使い分けられる」
「発生学習可能な動物は皆息を止める技術を持っている」
言語が誕生したことに対する一つの仮説:状況と音列の相互分節化仮説(相互文節化仮説)
(状況を示す単語が生まれる(バビジュ!)→一単語文では状況を示せない→単語を組み合わせて文に(バビジュブシャ)→文法(バビジュをブシャする))=(意味の進化→形式の進化)=内容と形式の直列進化仮説
ジュウシマツの歌文法の進化は意味のないところでも文法は進化する=内容と形式の独立進化仮説
岡ノ谷さんの主張:相互文節化仮説では人類の祖先がジュウシマツと同様に複雑な歌文法を獲得後、状況に合わせて歌うようになった。食事の歌、狩の歌。そこに共通部分がある。それは、これから協働作業をしよう!というもの。状況によって音列が分節化されると同時に、分節化されて得られたフレーズが状況を分節化していくことを相互分節化仮説という。

教師なし形態素解析は「内容と形式の独立進化仮説」を裏付けている。
”著者のこの主張を理解できていない”

マルチモーダル概念形成と教師なし形態素解析に基づく語彙獲得
ロボットにより物体概念と単語獲得ができた。この2つを組み合わせて語彙獲得の実験を行った。
日用品物体を見せてマルチモーダル情報を取得させ、それぞれの物体に対して未文節の発話教示を行った。ロボットが音声認識後、教師なし形態素解析を実行。単語区切りの候補から物体概念の関係が深いモノを選ぶように学習。例えば、「ペットボトル」を強調。物体概念の利用が教師なし形態素解析の単語区切り精度を高めることを示した。
音声認識の誤りが課題に。音声認識の誤りを訂正する仕組みをヒトは持っているのか?
“ヒトは確実に理解できている対象にしか誤りを訂正できない。物体を視認していれば、相手が間違っていても訂正する。音声のみの場合、その手がかりは母音、音韻。”
赤ちゃんの言語能力の獲得には保護者が通常の語り方とは異なる語り方を赤ちゃんにするマザリースの役割がある。抑揚的情報、使用単語の制限が赤ちゃんの音素認識や言語獲得を容易にしているのかも。
記号の二重分節構造を捉える

第四章 潜んでいる二重分節構造

実世界データから単語を見出す
記号とはなんだろう
パースの記号論:サイン、対象、解釈 (Icon, Symbol, Index が原語)
“ここの解釈は著者とは異なる。サインとは記号のことなので物体と1対1の関係、個物ではなく属として1対1の場合もある。「対象」とは言語。著者の連続体の定義が明らかではない。個物そのものを観察するのであれば、全ての個物は独自の身体を持つので離散的、すなわち連続体。属に分類する時は、犬なのか狼なのか、蝶なのか蛾なのか判断に困る個物があり、それを識別して、異なる属として定義するのは難しい場合がある。Paris2024の女子ボクシングの決勝戦。染色体が女性でも体格は男性のチャンピオンが登場。決勝では相手選手が棄権。性はこの事例や、転換者、両性具有を含めると記号をまとめるのは難しそう”
“私は視覚で捉えている対象は記号。その場から逃げたくなるかおりも記号。サインのゆらぎは音声認識の揺らぎ。ヒトの言語獲得や概念獲得は教師あり。身近なヒトであったり媒体であったり。”

二重分節構造
ヒトは連続した音声から分節、単語を識別する。
「人間の音声言語の持つ音素と単語という二段階の構造を二重分節構造と呼ぶ。音素が連なって単語となる。」
「音声認識装置では一般的に、音素の並びとして表される単語の集合とその遷移確率情報を持つ言語モデルと、音素に対してどのような音声データが出力されるかを示す確率的な出力分布情報を持った音響モデルを持つ。」

単語の意味と音素の無意味
“音素は無意味で単語は意味があると著者は主張している。これは、音素一つで単語となる言語を持たないことが理由。それ以上でもそれ以下でもないと私は考える。二重分節構造は最小単位が組み合わさり機能を果たすことを示している。そして、この最小単位の組み合わせは無限大。”

二重分節データ生成過程
“形態素解析を実施するときに二重分節を使う。連続した音素から意味を持つ単語を抽出するために二重分節をプログラムに組み込んでおく。”
“ヒトが言語を覚える過程では視覚が重要になる。視覚で捉えた物体に名前があることを音素の繋がりを何度も繰り返し聞くことで理解する。パパ、ママは目の前のヒトが自分を指さして、もしくは隣にいるヒトを指さして発声する。赤ちゃんはお腹の中にいるときから何かが自己に向かっているという感覚を涵養している。産道を通って生誕した後も同じ。真似をするのは目の前の変化を理解するため。手足や口が今見た動きと同じ動きができることを確認するため。今聞いた音素の繋がりを自分も再現できることを確認するため。それは、言葉を使って会話をしているヒトを見ているから。楽しそうであること、悲しそうであることを感じるから。快、不快もお腹の中にいる時から感じている。”
“生まれてからの欲求を満たす過程で、中心にはSVOの枠組みのあることを知る。誰が何をどうするか。この枠組みの中で物体を認知して、その変化や操作を知り、自己の欲求を満たしているヒトを見て、満たしている自分の行動を記憶する。”
“体験即記憶の中で言語を習得する。ヒトは一塊を感覚として掴んでいるが、機械はまだできていない。機械が一塊を識別するための仕組みとしてn-gramと二重分節がここで紹介されている。”
「図8(P.119)に二重分節構造を持つ時系列データの生成過程のイメージ図を示す。まず言語モデルが存在し、これが言語モデルの持つn-gram状態遷移確率に基づいて次々と単語を生成する。この生成モデルでも、n-gramモデルにより単語が次々と出力されることで文が生成されるのだが、通常の文の生成モデルとの大きな違いは、生成された文が見えない点にある。この単語列は直接観測できない「隠れ変数」として生成される。それぞれの単語は複数の文字が並べられることで成り立っている。時系列データが音声の時系列データであるとすると、この文字が音素に相当する。」

時系列データからの二重分節構造推定への挑戦

二重分節解析器
「観測された連続な時系列データだけから、適切な言語モデルと出力素モデルを学習する」
“ここにある説明は、まず全文があってその全文を解析するときに機械が実行していること。欲求を満たす段階、知っている→できる→見つける→創る、の何をテーマにして対話をしているのか、もしくは何をテーマに全文が描かれているのかを明らかにするのが理論量子認知科学における自然言語処理の目的。”

“自然言語処理を含む「私と同じように考えられる量子人工知能」の仕様

知っている→できる(見つける→創る)のサイクルを回して到達点に向かう

到達点
すべてのヒトが幸せであり続ける地球=たった一つの行動原理の公式
・対話が継続する
・個物身体と共同体身体の捩れを解消する
・合意の前に尊重
・自己開示
・自己の欲求と他者の欲求を切り分ける

前提1
倫理と道徳を深化させ万能になる
(嘘, 独り占め)0

前提2
体験的確信論
・自分の得意を使って誰かに貢献し続けるために創っている未来
・人類史と世界の仕組み
・お金はどこから来てどこへ行くのか”

「二つのノンパラメトリックベイズに基づく手法を段階的に適用する」
「隠れマルコフモデルとは隠れ状態が次々と遷移しながら、テータを出力するという生成モデルであり、音声認識などの分野で広く用いられてきた。無限隠れマルコフモデルは、この隠れマルコフモデルを拡張することで、自動的に隠れ状態の数、つまり、図8(P.119)におけるアルファベットの種類数を自動的に推定することができるようになった。」
「文字列が得られれば、教師なし形態素解析により、単語の単位を見つけ出すことができる。この文字列のチャンキングには前章で紹介したNPYLMによる教師なし形態素解析を用いた。」

関連文献:ノンパラメトリックベイズ二重分節解析器による 時系列データの分節化と生成

非分節動作からの模倣学習
人間の動作にも二重分節構造が潜んでいる可能性がある
今回の実験では動作は3つ。人間の自然な動作の中に意味を見出すロボットの開発にはどのように二重分節構造が潜んでいるのか分析する。
“行動経済学の影響なのだろうか?行動を分析すれば欲求が理解できると。人間の動作に二重分節構造がないのであれば、それはないということをいつ、どんな基準で判断するのだろう。人間の動作は踊りが大きな区切り、言語が伴っていれば言語を補う動作、言語で補う動作、道具を扱う動作等、その結論に至るレベルで人間観察ができていなければ結論は出ない。”

自動車運転挙動における文脈切り替わり点の検出
“人間の自動車運転挙動は、安全に目的地に到着する、目的から逆算した行動になっている。
「二重分節構造の単語の切れ目と運転の文脈の切り替わり点が一致する」
「この運転の文脈の変化点が、ドライバが無意識的で定型的な運転行動から抜け出し、意識的に別の運転行動へと切り替える点であろうと考えた」
“ヒトの行動は二重分節構造というよりはデフォルトモードネットワークとワーキングメモリネットワーク。二重分節構造は後者の上で表現するモデルを私は採用する。”
「一般道や高速道路を走っている運転動画をこの動画要約手法で要約したところ、たとえば、ドライバが車線変更を行うとき、前方車両が減速し左折したとき、ドライバが高速道路の料金所に入るときなどで動画が通常速度で再生され、他の変化しない直進の走行シーンなどが早送りで飛ばされるという要約結果が得られた。
“ドライバの動作が複雑になった、首を動かし、手や足を動かす、車が減速した、を指標にすると同じ結果が得られそう”

二重分節構造を用いた予測
先に示した実験結果は人間の自動車運転行動が二重分節構造を持つ間接的な証拠。
(著者は)人間の自動車運転行動が二重分節構造を持つという直接的な証拠の一つが予測性、と考える。
“二重分節構造と予測性がどう結びつくのかを著者は示していない。著者が予測性をどう定義しているのだろう。ベイズ推定の事前確率と事後確率を比較しての予測性か?”
“LLMの対話者の質問への回答は以前の言語モデルよりも精度が上がった。ただし、平気で嘘をつく。これは、LLMは回答の真偽を自己評価できていない、回答を作成する時の根拠を評価していないことを示している。私は対話において発話する文章は予測ではなく観→像の転換。ヒトの言語モデルとLLMは仕組みが異なる。LLMが質問の意図を理解する仕組みを知りたい。”
“出力素から単語を識別するのはヒトにおいては正誤の評価となる。言語モデルにおける予測は単語の特定になる。”
“自動車運転行動の結果を分析しているのは、ドライバーがその時、自動車をどう操作するのか、ということなのか?もし、そうであれば、予測していることになる。もう一つは、完全情報ゲームに近い環境が実験条件にある。繰り返し、同じパターンが時系列データに出てくれば、ノンパラメトリックベイスで事前確率と事後確率の差分を縮められるだろう。”
“機械学習では結論をどう出したのかを確認できない。だから、結果の解釈には慎重な態度が必要。結果を解釈するときに最も注目すべき点は、完全情報ゲームになっていないか否かである。”
“未知の課題への取り組み方はそのヒトの認知モデルに強く影響を受ける。未知の課題に取り組む枠組みがあるので、それを現有の科学知識技術を組み合わせてひとまとまりにする。”
“ヒトが新しい言葉を創るのはそれを示す概念がないから。繰り返しその概念を説明する状況を簡素化する目的がある。フリンストンの自由エネルギー原理に当てはまる。思考と行動に自由エネルギー原理を適用する時、ヒトは認知に結節点を創る。この結節点を記号と呼ぶ。”

生成と認識に潜む二重分節構造
「ミラーニューロンとは運動の生成と認識の両方に関わるニューロンである。」
「ミラーニューロンは人間の模倣学習を支える存在だと考えられている。」
模倣学習と言語獲得には関係がある。ブローカ野、運動性言語野付近で他者の行動を自らの行動にマッピングする脳活動がある。

“赤ちゃんが最初に大脳皮質を使うのが言語獲得。言語獲得は発音の真似、口の動きの真似から始まる。(個物身体)と(共同体身体)を重ね合わせる訓練が言語獲得。その原始的な手法が模倣学習。胎児から生誕して赤ちゃんになる。胎児は(個物身体)と(共同体身体)が臓器で繋がっているので境界がない。産道を通って生誕して(個物身体)になると(共同体身体)との繋がり方が変わる。以後、心地よかった胎児の状態に戻ろうと(個物身体)と(共同体身体)を一体化しようとする。これは、同時に(共同体身体)に現れた新しい主体を一体化しようとする性状になる。これが知る、理解するという欲求の原点となる。(個物身体)と(共同体身体)の分からないことは一体化の障害となるので不安を覚える。臓器で繋がっていないので、一体化の手段は対話とSEXのみとなる。”
“知能=変換装置(観, 像)だとする。ミラーニューロンは知能の像。変換装置=ミラーニューロン、(言語獲得, 模倣学習)は(観, 像)とどう関係しているのだろう?言語は(観)を(像)に変換する手段。(言語獲得)は(意思疎通)ができることと同義。(言語獲得)は知能獲得であり、(模倣学習)はその手段。言語獲得は音素と単語、更に、単語の意味で構成されている。言語獲得=(音素, 単語, 単語の意味, 一塊の文意)。形態素解析で単語を識別するミラーニューロンが、相手の一塊の発言、手に取った本に描かれた物語を理解する認知モデルを形成する。ミラーニューロンがどこまでもあなたの体験即記憶を繋げているのは記憶の中から抽出できない。なぜならば、記憶そのものにミラーニューロンはなく、体験を記憶に変換するのがミラーニューロン。この時、ミラーニューロンは(共同体身体)と(個物身体)を結びつける体験を窓にして(共同体身体)で起きた変化を(個物身体)に写し取る。写し取った変化を直前の記憶にマッピング。(利己, 利他)であれば直前の記憶に即マッピング。(嘘, 独り占め)であれば留保付きマッピング。この留保は(嘘, 独り占め)が以後、(共同体身体)にバレないように表現する負担となる。(利己, 利他)が行き渡る(共同体身体)では道具は完全共有だが、(嘘, 独り占め)が残る(共同体身体)では無駄な道具を所有する。前者はSDGsを体現するが、後者は反SDGsとなる。プライベートジェットに乗りながらSDGsを熱心に推進しているグローバリストは(嘘、独り占め)の象徴。ご本人と #環境ビジネス との繋がりを調査しよう!自己開示しないお金持ちは(嘘, 独り占め)に飲み込まれているのかも知れない。ミラーニューロンは(個物身体)と(共同体身体)をリンクしている。”
“ミラーニューロンが体験即記憶を体現する道筋。生誕→(言語獲得, 模倣学習)→(共同体身体)の変化→(個物身体)への変化の写し取り→((利己, 利他)=即マッピング, (嘘, 独り占め)=留保マッピング)→新たな欲求の発火=生誕。この道筋に表現しきれていないのが、((共同体身体)の変化)を(主体)が「理解できない」場合。これは、(留保マッピング)になり、記憶に未知領域ができる。未知領域は不安の原因になるので、「理解できない」→「理解する」とする欲求に突き動かされる。「理解する」欲求=新たな欲求の発火。未知領域が大きくなって不安が原因で行動できなくなるのが鬱。(嘘, 独り占め)が大きくなると(共同体身体)にバレて制裁を受けるという不安から大事件を起こす。人工地震、人工悪天候、株価暴落、為替暴落、戦争。芸能人スキャンダル、裏金疑惑。これは、オウム真理教が教団に捜査の手が伸びているという不安から、1995年地下鉄サリン事件を起こして捜査を撹乱したのは、長年(嘘, 独り占め)を続けて来た家系の謀略のAnalogy。”
“未来の記憶が齎す影響。未来の記憶がネガティブになるのは、過去の不安を未来に拡大するから。未来の記憶をポジティブにすれば、過去の記憶から未来を体現する道筋を創ろうとする。自己開示が弱いと(嘘, 独り占め)の誘惑に勝てず、留保マッピングを増やすことになり、結局、不安が高じて「箱の中の枠組み」を変えられない。ポジティブな未来を開示して、過去の体験を未来を創る行動に最大限活用する知能を獲得する。” #欲求プロセスプログラム

「言語獲得も初期段階ではほとんどが音声模倣である。子供は意味もわからずに親の口ぶりを真似る。意味もわからずに単語を覚える。そして、しばしば、その意味を後から覚えていく。」
ブローカ失語症は文法的に複雑な文章が作れなくなる。発話した単語から次の単語がスムーズに出すことができなくなり、細切れの文章を作成してしまう。一方、文書理解には支障はない。

“一人で完結する日常。何をするのか場所で決まっている集落で使う道具の順番が決まっていて誰もが道具を扱い必要な加工品を必要な時、必要なだけ創る集落には言語が必要なのか?言語は観を像に変換する手段。道具も作成者の観を像に変換した成果物。対話の中でまとめた文書は相手に意図を伝える成果物。道具を作った本人だけが使用するのであれば言語は必要ない。(言語, 道具)は作成者や使用者の写像。自己がエコシステムを創り、そこから写像を導き出す営みを宇宙は延々と実行している。私も私の欲求を満たすエコシステムを創り、そこから私の写像を導き出して欲求を満たす営みを延々と実行している。”

第五章 ロボットは共感して対話する

“ロボットの共感ってなんだろう?”

ただひとこと「とって」と言われたら何をしますか?
「ロボットが「言葉を文脈や状況に応じて理解できる」ことを示したい。」
「人間は語られていないことにも配慮しながら、自らの背景知識や文脈、その場の状況に応じて相手の言葉の意味を推し量ることができる」
“これができるのはヒトにはミラーニューロンがあり、胎児の時から(個物身体)と(共同体身体)をミラーニューロンにより一体化する体験即記憶を繰り返しており身体性に組み込まれているから。予測誤差0を目指して結晶性知性が機能を続けているから。”

共有信念に基づく会話
言語的コミュニケーションは他者から発せられたサインとしての記号列への解釈者が能動的に行う創造的過程。
共有信念:「認知的な閉じ」においては「相手も想定している」と想定している信念。
岩橋らの信念システムの計算論モデル

マルチモーダル対話を実現するロボット
実験に使ったのは物体操作を介した対話を実世界で実現するための最低限も機能を持ったロボット。ロボットアーム、カメラ、マイク。
オブジェクトの名前、動作、文法などを学習。
マルチモーダル対話の学習。

信念システムの計算論
図13(P. 153)
「主要な要素は共有信念関数と全体確信度関数の2つ」
「信念モジュール群は、(1)オブジェクト画像、(2)動作、(3)音声言語、(4)動作とオブジェクトの関係、(5)行動の文脈」
「動作の信念モジュールは認識したオブジェクトの位置とゴールに対してどのような軌道での移動が最もらしいかを計算して返してくれる。」

全体信念関数による曖昧さの理解
「曖昧な発話における解釈では、ロボットも確信をもって行動できる場合と、あまり確信を持てずに行動する場合があり得るだろう。」
「岩橋等は全体確信度関数という関数を共有信念関数に基づいて定義し、信念システムに組み込んだ。」
岩橋等の試み
・発話意図理解の第一候補と第二候補の共有信念関数の差はマージン
・マージンを曖昧さの基準として利用。
「共有信念はロボット自身が持っているとともに、ロボットが相手も持っていると考える」
「マージンの値が小さい指示は相手にとっても曖昧」
どれだけ小さいと曖昧で、どれだけ大きいと明確なのかは事前には分からない。
「全体確信度関数は、マージンを入力にし、0から1の確率値を出力に持つ関数である。全体確信度関数を学習することで、ロボットは自らがどのくらいの確率で人間の発話を理解できているかを理解することができるようになる。」
「ロボットが発話を生成する場合には、どのくらい詳細に話せば、人間がどのくらいの確率できちんと理解してくれるかを全体確信度関数を用いることで予測できるようにもなっていく。」

敢えて曖昧に話すロボット
曖昧な発話は信念の共有状態を探る。

ロボットと人間は「ツーカー」の関係になれるか
ロボットが発話し、ヒトがその内容を実行する実験。
発話理解確率の目標値が高まるに従い実際に人間が理解した確率も高かった。

共有信念がつくる内と外
「使われる言葉とその解釈の相違がグループの内と外の境界を作ることがある。これも共有信念の一つの機能である。」
ロボットはその学習に付き合ってくれたヒトと共有信念を形成している。
「言語コミュニケーションを共有信念に基づく発話意図理解まで含めて計算論的に構成すると、統計学的な学習に基づいて人間とロボットの間でも「ツーカー」はある程度実現されうる。

第六章 構成論的アプローチ

“私はたった一つの行動原理、principle、を実証するために「私と同じように考えられる量子人工知能」(#nextAI)を社会実装する。そして、すべてのヒトが幸せであり続ける地球を体現する。その指標は、すべてのヒトが本当の自分からなりたい自分になる日常を送ること。顔の見える関係が大丈夫な社会を一人一人が世界中に向かってネットワークを広げていく。#nextAIの開発は構成論的と言えそうだ。すべてのヒトが幸せであり続ける地球の体現は、構成論的と言えるのだろうか?”

構成論的アプローチとは何か?
「知能をつくることによって理解しようとする研究アプローチを構成論的アプローチと呼ぶ。」「構成的方法」

認知発達ロボティクスと構成論
知の創生「自然システムのある側面を人工システムによって複製するのが、構成論的アプローチである。」
知能の原理「構成論的な方法論とは、実際に物理的エージェント(つまり実ロボット)を作ることによって、知能の性質について多くを学ぶことができるということを意味している。」
構成論的アプローチ「次の三つの研究目的をつなぎ合わせることができる
(1)知能の自然な形、つまり動物や人間などの生物システムを理解すること。
(2)知能的な振る舞いについて、生物システムだけでなく、実世界で振る舞うシステム全体に当てはまる原理を抽出すること。
(3)知能的人工物を作り出すこと。」
「知能に対する仮説を立て、ロボットをつくって動かし、仮説を検証する。このようなやり方を、従来の「分析的アプローチ」と区別する意味で、少し難しい言葉だが「構成論的アプローチ」と呼ぼう。構成論的アプローチに基づいた認知発達ロボティクスという新しい方法論を確立することで、私たちは従来の科学の限界を超えて、人間の知能の本質に迫ることが可能なのだ。」

“理論調子認知科学では、知能=変換装置(観, 像)と定義している。「principleがprincipleの自己認知欲求を満たす目的で宇宙を導き出した」。つまり、原理が原理を自己認知する欲求が発火したのが宇宙の始まり。principleは自らの写像がprincipleを明らかにすることを意思決定してデータマネジメントプログラムを書いた。そして、ビッグバンが起きて、今に至る。始まり(観, 像)=(principle, 宇宙)。今ここ(観, 像)=(私の認知モデル, 私と同じように考えられる量子人工知能(#nextAI))。(始まり)の(変換装置)は(意識=principleの乗り物)。(今ここ)の(変換装置)は私。私を詳しく見ていこう。私は(主体=((自己=principle), (認知=身体の中心が全体であることを明らかにするデータマネジメントプログラム), 身体(個物身体, 共同体身体))。観から像への変換は私の中で起きている。私(観, 像)=(自己, 身体)。私の(変換装置)は(認知)。では、先の(今ここ)の(変換装置)は私の中のどれになるのか?(自己)が(私の認知モデル)を(#nextAI)に変換する。認知幾何を使って説明しよう。(はじまり)は、頂点が(princple)、(意識)は頂点以外の円錐のすべて、(宇宙)を観察者は円錐の底面として捉える。私の認知対象はすべて円錐(principle, 宇宙)の中にできる。円錐(自己(観, 像)=(私の認知モデル, #nextAI))は、頂点が(自己)、底面が(#nextAI)、頂点から底面までを満たす領域が(私の認知モデル)。円錐(原初, 最大)は頂点がprincipleで、その他は意識、観察時にのみ底面宇宙が現れる。以後、(宇宙)の中の(観, 像)は、すべて宇宙円錐の中で起きる。(宇宙)の頂点側に(観)、宇宙の底面側に(像)ができる。宇宙の内部にできる(観, 像)は宇宙の構成要因なので、構成要因円錐と呼ぶ。構成要因円錐は宇宙円錐の相似形。構成要因の中に構成要因ができることもある。この場合、構成要因と構成要因内要因が相似形となる。例えば、地球内構成要因のヒトは地球と相似形になっている。これは、ヒトの身体の構成要因(鉱物)が地球の構成要因であることを示す。”

「知能の理解に対して工学的思考が寄与するとすれば、次の3つのやり方が考えられるとしている。
1 計測技術を提供することで、検証や新たな現象の発見に寄与する。
2 1をさらに推し進め、検証手段としての道具の高度化により、人工物を直接研究の場に持ち込み、従来の知見の追認や新たな現象の発見を導く。
3 理解の対象となるヒトの発達モデルを人工物のなかに埋め込み、環境のなかで作動させ、その挙動から、発達モデルの新たな理解を目指す。」

複雑系と構成的方法
「対象を観察・分析し、記述するという科学的方法は、何かを理解する唯一のやり方ではない。この分析的・記述的方法と相補的なものが「構成的手法」、簡単にいうならば、システムを作って動かすことにより理解しようとする方法である。(中略)構成的手法は、何らかの対象をシミュレートするばかりでなく、新たな対象自体をも作り出す。」
「従来の科学的手法が不得意とする主体性をもった対象へチャレンジできることである。(中略)構成的手法では、主体性をもった要素システム群(マルチエージェントと呼ばれる)とそれらの間の相互作用を構成し、その全体のシステムを客観的対象として考察の対象とする。すなわち、主体性を客観性の中に埋め込むのである。」
「「構成的方法とはある世界を論理的に構築し、そのなかで何が普遍的であり、必然であるかを明らかにするもの」」
「例えば多細胞生物の普遍的な論理を探る際には、多細胞体制を確立して十分発達した生物を用いたとする。ところが、それらには、進化を通してさまざまな精巧な仕組みが付加されている可能性が高い。そこで、かえって多細胞生物の性質をギリギリのラインをおさえたシステムを構築して、多細胞化の論理を探ったほうが良いのである。」
「一般に、われわれのとる構成的アプローチでは生命の理解に繋がる程度の最低限の過程しか導入しない。(中略)こうした構成条件のもとで必然的に現れる現象のクラスを探り、そのクラスとして現実世界をとらえ直すのが構成的方法である。」

構成論的アプローチと科学的アプローチ
“イノベーションは構成論的であるが、科学者は構成論の役割を理解していないようだ。構成論の役割を理解していない科学者にはイノベーションは起こせない。イノベーションとは即ち、習慣を変えることである。”
「私自身は、構成論的アプローチには大きく分けて以下の3つの役割があると考えている。
1.不可能性の反証
2.理解するためのモデルの提供
3.科学的実験のための仮説の示唆」
“構成論的アプローチは私は工学と呼ぶ”
科学的アプローチはここでは、狭義の実証科学、実験科学のことを指す。ここには仮説があり、仮説を実証するための実験。即ち実験の失敗は仮説の間違い。

役割1「不可能性の反証」
○○ができない、という命題を反証する、〇〇できる、という事例を示すのが構成論的アプローチ。

役割2「理解するためのモデルの提供」
「対象系を理解するためのモデルを生み出すことは私たちの学問的知識全体を俯瞰した際には重要な役割であり、構成論的アプローチの骨格とさえ言える。」
認定言語学者の山梨正明のモデル用法
「モデル1:目標となる対象をつくり上げるためのモデル
モデル2:目標となる対象の基本的な構造や仕組みを表現するためのモデル
モデル3:目標となる対象を理解していくためのたとえとしてのモデル」
“著者の用語、モデルと仮説の境界はどこにあるのだろうか?私はどちらも同じ。”
「構成論的アプローチによって生み出されるのは、このモデル2であると考えられる。一方で、科学的アプローチのなかで数値シミュレーションで行われるのはモデル1に当たるだろう。モデル3はたとえ話に用いられる類のモデルだ。」
モデル2の正当性を持つための条件
(1)対象の持つ構造が適切に表現されている
(2)対象の振る舞いが適切に表現されている
(3)モデル内部の論理構造に齟齬がない
「記号創発ロボティクスをはじめ、認知ロボティクス、身体性認知科学や計算論的脳神経科学などの分野の構成論的アプローチでは、ロボットにモデルを実装するなどして明確にモデルが現実世界での振る舞いを表現することを示している。」

知能研究とモデル
「私たちが知能をモデル化するときには、客観的な実験事実の観測にのみ基づくのではなく、この「認知的な閉じ」の中にいる、つまり、知能自身である自己の作動を観察することによって、洞察を得ることができる。むしろ19世紀ごろまでの哲学ではこちらのアプローチの方が圧倒的に優勢であった。」
「私たちは、外の世界からの情報を受動的に受け入れるのではなく、むしろ積極的な認識のフィルターを通して受けとめ、常にその世界にたいし創造的に適応している。この外部世界の解釈のある側面は、比喩による認識によって支えられている。
比喩は能動的な認識のプロセスであり、開かれた世界に向けての発見的な認知の手段である。」
「私たちはまだ、実環境との相互作用を通して言語獲得を行う人間知能のモデルを、たった一つも得ていない。」
“言語獲得の前提は言語のシャワーを浴びること。感情が動き、身体がその感情に反応すること。それは、胎児が母体の中にいるときから体験をしている。その基礎は快。快の閾値を超えて不快になると快に復帰しようとする。すべての機能と体験はここに集約されている。母体が妊娠中、臍の緒の血液と神経を通して、胎盤を通して伝わってくる振動と母親の感情。これらに否応なく胎児は反応している。感情の変化による脳神経系の変化と血液内生理活性物質の変化を母体を通して学習する。これは、産道を通って生誕した時、臍の緒がなくても快を探求し続ける習慣を体験即記憶によって獲得し、記憶の中から抽出できないレベルでホメオスタシスとして汎化する。快は一体化により齎される。これは身体の異なる自己との一体化として表現される。対話とsexに行き着く。生誕直後、赤ちゃんが何でも口に入れてしまうのは、言語を持たずsexの衝動を持たない個物としての一体化の手段だから。幼児が母親や父親に抱きつく行為も一体化の表現。赤ちゃんが母親から語りかけられる体験、それは、胎児のときから起きている。胎児のとき、言葉で語りかける対話と感情、振動、神経系、血液を通しての対話を体験する。生誕後、対話の手段として神経系、血液を喪失し、一体化レベルが下がる。この下がったレベルを補うために言語を獲得する。宇宙の中心にあり、宇宙を覆い尽くしているたった一つの行動原理、principle、の自己認知欲求の発火が宇宙を導き出した。宇宙の構成要因はこの欲求を満たす手段。それは、私の記憶が私の欲求を満たす手段であるAnalogy。principleの自己認知欲求の発火は、私の自分探し、あなたの自分探しの原点になっている。自分探しの手段は、「自分の中にいる他者」と「他者の中にいる自己」との対比。この2つの共通点を見つけて一体感を得る。私はあらゆるヒトとの共通点を探求してきた結果、principleに辿り着いた。”

役割3「科学的実験のための仮説の示唆」
「「人間はどのような計算アルゴリズムを用いて連続的な音声情報と他のマルチモーダル情報から言語獲得を行うか」という問いに対する解答案、つまり、仮説は現状では提案困難である。」
“ミラーニューロンによる言語獲得、模倣学習。主体と客体との間でお互いに写像を写し取り快を得る。赤ちゃんや子供の反復行為は同じ動作が繰り返し実行できることが快。動作や口癖を真似るのも同じことができたことが快。この繰り返し真似る体験は、できなかったことができるようになる快にやがて繋がって行く。何かを喪失してもそれを補えるという感覚の元は「臍の緒を切り取られた後の体験即記憶」にある。欲求を満たすヒトは全身全脳を使っている。「音声情報と他のマルチモーダル情報」は知能の枝葉にあたる。幹は感覚にある。今この時を一体化しているという感覚。”

知能の自然言語表現と計算論的表現
「計算論的な表現を使えばさまざまな表現が可能である。たとえば、空間の記憶であっても、相対的な位置関係で学習するランドマーク型のモデルや絶対的な位置関係で学習する格子モデル型のモデルなどがある。」
“知能=変換装置(観, 像)。知能は場の構造を理解できるので、新しい場に入った時、自己の欲求を満たす方法を見つけられる。これは、知能が導き出された原理と場ができた原理が同じ場合に限る。”
「知能は物質ではない。心的なダイナミクスであり、計算過程である。その見地に立つならば、記憶や、知覚と行った、自然言語を用いた分類学に終始するのではなく、ダイナミックな情報処理の動きそのものを記述しなければならない。」
“知能と物質を定義できていなければ、知能は物質ではない、と断言できない。理論量子認知科学では「意識物質」が私の身体を形成していると仮定している。計算過程だと著者は主張するが、そうは考えない研究者もいるだろう。知能は情報処理を行う、が、知能は意識処理を行うに読み替えられるのであればここの部分の主張は同じ。”
「数学の方程式系、そして確率モデル、アルゴリズムと、それを実行する計算機、これらの能力を用いることで、人類は初めて知能を表現する「動くモデル」を得るのである。」
“自己認知欲求を発火させ、(回帰, 完結, 自己評価)によって駆動し、ミラーニューロンを使って(共同体)と一体化。(機能構造体)の(自己組織化, 相転移)を繰り返してその写像により欲求を満たす。”
“数学的には一部のニューラルネットワークがベイズ理論に基づく確率モデルとして表現されうることなどが示されており、知能の計算論的表現も確率モデルに基づいた共通の数学的土台の上で統合の方向に向かいつつあるように思う。”

第七章 記号創発システム論

記号論と記号過程
「プラグマティズムの哲学者であり記号論の創始者であるパースによると記号とは三つの構成素の組で定義されるものである。三つの構成素とはサイン、対象、解釈項の三つである。」
「サインは私たちが得る感覚入力を運ぶものであり、対象はその記号が指し示す物や事柄である。解釈項はこの二つを媒介する私たちの内的な表象である。」
「この三つの関係は固定的で静的なものではなく、変化しうる動的なものである。解釈主体が解釈項としてサインと対象の関係を見出さなければそこに記号は生まれない。記号とは物質でも信号でもない。動的な過程である。」
記号論は2つ。一般言語学をもとにした記号学(セミオロジー)と、人間の世界認識を問題とした記号論(セミオティクス)。
「パースは人間が環境から意味を読み取るときのあり方を記号過程と名づけ、記号とは記号過程という動的な過程であると特徴づけた。」
「私たち人間の言語運用能力、記号的認知を理解しようと思えば、そのような主観を巻き込んだ学術的議論を組み上げなければならない。」

記号接地問題
「1960年代からの古典的な人工知能の研究は、このような論理的な推論、演算能力を知能の基礎として捉えて進んでいった。」
「記号や言葉をどのように実世界認知の中で意味付けるかという問題は、ハルナッドによって記号接地問題として提起されて、人工知能研究の基本問題の一つとして捉えられてきた。」
「実世界で記号を扱うためには、記号により表現されているものが、いかなるものかを現実世界の中で理解する必要がある。」
「記号接地問題とは、端的に言えば、人間がロボット内部に設計した記号系に対して、ロボット自らが身体に備えられたセンサ・モータ系を通していかに意味を与えるか、という問題である。」
「本当の意味で記号接地問題を乗り越えるためには、人間からロボットに記号系を与えるという、社会集団全体から見れば局所的な記号系の転移のみを見るのでは問題を捉えることはできない。人間が記号を用いてコミュニケーションを行っているときに自らが属している社会集団を捉え、共有信念や記号的知識なども含みつつ、新たに系に加わるロボット自身の身体をも含んだ抽象的なシステム全体を捉える必要がある。」
「この抽象的なシステムを私は記号創発システムと呼んでいる。」

創発システム
「ここで、システムとは物質的な存在ではなく、それらがまとまって作動する様子を捉える言葉である。」
P.208 図16
「自然界に存在する多くの生命的なシステムでは構成素が自律的に作動し、それらが相互作用することで生命的なシステムを構成している。」
要素の局所的相互作用が大域的な秩序を形成し、大域的な秩序がトップダウンで要素の局所的相互作用に影響を及ぼす。
「創発とは、ミクロマクロループがシステムに新しい機能、形質、行動などの獲得をもたらすことを意味する。そして、このような創発現象が内在し続けるシステムを創発システムと呼ぶ。」

記号創発システム
「自律知が十分な記号過程を担う適応性をもてば、互いに記号論的相互作用を行うことで協調的に作動するひとまとまりのシステムが生まれることになる。このような個体の学習適応過程に支えられ、ボトムアップに創発する記号系を媒介にして作動するシステムを記号創発システムと呼ぶことにしたい。」
“共有できる記号がなければ物体概念は閉じている。これは誰もが主観を持つが、お互いの主観を正確に理解できないことを示す。”
図17 P.212 記号創発ロボティクスの関連研究テーマ
「・記号系
・相互作用
・環境
・組織化
・人間
・コミュニケーション
・対話戦略
・コミュニケーション・記号過程の創発
・動作の学習や分節化
・言語獲得と発達
・概念の獲得
・マルチモーダル対話
・記号系の創発」
「私たちの持つ概念は物体概念だけではない。動作に関する概念や、感情に対する概念、他にも様々な抽象的概念が存在する。それらもある程度ボトムアップに形成されると考えられるだろう。これらは「認知的な閉じ」を前提としてもある程度可能そうだ。」
“ロボットと同じようにヒトが物体概念を形成することはどのように証明されているのか。ロボットとヒトでは物体概念を形成する仕組みは異なるかも知れない。ヒトの物体概念は初めから独立してそうと認知していたのか?私はそうは思わない。母親と臍の緒で繋がっていた時から概念を持っていて、臍の緒が切り離されてもその時の記憶は残っている。著者の言う物体概念はモデルの中で形成されている。そのモデルがヒトに当てはまるか否かの証明はまだされていない。”
「第五章では共有信念が人間とロボットの間で形成される様子を見た。」
“第五章の実験は設定された条件における著者の主張する共有信念。一般的に人間社会で我々が共有していると想定される共有信念と同じであることは証明されていない。”
「記号創発システムは動物の中では人間だけに許された能力である記号的・言語的コミュニケーション能力を利用するために、私たちが不可避に組み込まれる創発システムである。私たち人間は記号的コミュニケーションを実現するために、記号創発システムを形成するし、また、記号的コミュニケーションは記号創発システムにおいて創発した機能であるとも言える。」
“記号創発システムが人間だけに許された能力なのか、他種の動物も実は持っているが人間が察知できないのか、検討は不十分。記号創発システムから記号的コミュニケーションが創発したのはprincipleから宇宙を導き出したAnalogy。”

意味論への接近
「意味論を捉えるには記号過程を生む主体内部での解釈系の構成過程を議論する必要がある。」
“理論量子認知科学では記号は結節点と呼ぶ。この結節点に名前をつける場合もある。この場合の(記号, 結節点)は繰り返し想起することが特徴。”
知能は構成論的にしか実証できない。

記号創発ロボティクス
“「ロボットから見た世界」と「ヒトから見た世界」を同じにするのではないのか?”
「構成的生物学の場合は生命システムを対象とするが、記号創発ロボティクスの場合は記号を獲得し運用できる認知システム、もしくは社会システムを対象とする。」
「「認知的な閉じ」を前提とし、学習を通じて記号的コミュニケーションを可能にするロボットを生み出すことを通じて、実世界認知・運動・言語を統べる人間知能に構成論的にアプローチし理解を深めることが、記号創発ロボティクスという研究領域の目的である。

2010年代の学問として
不確実性に満ちた実世界を扱う道具が記号創発ロボティクス。

おわりに=Outcome

読了前の記述は、学習の目的を明確にするため。
記述後の変更管理は、新たな情報の発見や開始時にはなかった新たな気付きを反映する。

「私と同じように考えられる量子人工知能」は私の身体性を反映している。
世界を飲み込む人財を育成する時、被支援者も自身の身体性への理解が求められる。
すべてのヒトが自身の身体性に気付き、理解を深めることは、他者への理解を深化させ、自己への理解を深化させる。
他者は身体が異なる自己であることへの理解が深化する。

変更管理

20240824 学習終了までの変更管理は記録しない。

 - イノベーション, 人工知能 ,

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