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リーダーシップのホメオスタシス

      2019/06/09


リーダーシップのホメオスタシス「次に自己効力の成り立ちについて触れます。これは、今の所、私のコーチングやコンサルティングで体感している私の理論です。そして、MDS(マインド・ドリブン・ソサイエティ)の中核的なモデルになります。」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)

2019年3月16日より、アントニオ・ダマシオさんの「進化の意外な順序」の講読を開始しました。過日、藤沢のイノベーション拠点で開催されたシンポジウムで講師をされた方から勧められたからです。

このシンポジウムに参加した目的はprinciple(たった一つの行動原理)を解明する。

この方のご講演をお聞きして、懇親会でprincipleのお話をさせて頂いて、後日、お時間を頂くことをお願いしました。ご多忙な方で日程調整をして約1ヶ月後に再会。数日前のその日、principleに関するブレイン・ストーミングを約1時間半行い、お互いのキーワードが「#ホメオスタシス」であることが分かりました。その日のうちに、非常にエクサイティングで楽しかったとのメッセージを頂き、その後も毎日のようにメッセージのやり取りをしている中で、先のダマシオさんの「進化の意外な順序」をお勧め下さいました。

“感情とはホメオスタシスの心的な表現であり、感情の庇護のもとで作用するホメオスタシスは、初期の生物を、身体と神経系の並外れた協調関係へと導く機能的な糸とみなすことができる。この協調関係は意識の出現をもたらし、かくして生まれた感じる心は、人間性の最も顕著な現れである文化や文明をもたらした。このように感情は本書の中心的なテーマをなすが、その力はホメオスタシスに由来するのである。”
(アントニオ・ダマシオ著, 高橋洋訳, 進化の意外な順序, P.15, 白楊社, 2019)

今回のテーマ「リーダーシップのホメオスタシス」は、principleの一つの見方です。
私がお伝えしたいのは、principleを知ればリーダーシップに迷いがなくなることです。

話を先に進める前に、ここでホメオスタシスについて説明をさせて下さい。別の言葉で「恒常性」と表現されます。これは、「生命体は常に一定の状態に保たれるように調節されている」という意味です。
もう一つ、リーダーシップは「導くこと」です。本来、リーダーシップは一人一人が発揮するモノであり、誰か特定のヒトが発揮するモノではありません。あなたは誰かを導くことが出来るのです。これは、あなたの視点を持つヒトはあなたしかいないからです。
「リーダーシップのホメオスタシス」は「ヒトは誰かをある方向に導き続けている」という意味です。

話を本題に戻しましょう。

「リーダーシップのホメオスタシス」とは何なのか?

まず、結論からお伝えして、その結論のBackgroundを後からお伝えしますね。

それでは結論です。

ヒトは生まれた時から自分の世界観で幸せになるために、自分に対してリーダーシップを発揮し続ける。

わかりやすいのは、あなたが面白くて「何か」に夢中になっている時の状態です。
常にポジティブなあなたは、ネガティブな状況に落ちてもそこで行動をやめません。落ち込むだけ落ち込んだら、再び、夢中になる活動に没入します。そもそも、それをやめさせられない限り、何があっても落ち込むことはないのかもしれません。

慣れ親しんだやり方ではなく、全く新しいやり方に挑戦しよう。

次に、この結論を導き出したBackgroundをお伝えします。

なりたい自分に向かって一直線に進んでいる感。

これは、「リーダーシップのホメオスタシス」が最も効いている状況です。

あなたは、こんな状況の共通点をどう説明できますか?

一方、その対極の状況もあります。

「なりたい自分」に近づけない状況。
これは「リーダーシップのホメオスタシス」の外観が機能不全になっていると考えていらっしゃるからだと判断しています。この最も大きな原因は「世界が閉じている」と思ってしまうことではないでしょうか。分かりやすいのは、固定された人間関係の中で「本当の自分」を表現できない状況。それは、今の固定された関係とは違う関係を他者と構築できないと思い込んでしまう状況なのかも知れません。色々なところで見られる、固定された人間関係は、本当は一時的な関係で、それを解消したいのであれば解消できる。若しくは、別の解釈ができる。一人一人がこのことを理解し、実際にそれが実行できる社会アーキテクチャにして行きたいですね。

また、
「なりたい自分」がない状況もあります。
「リーダーシップのホメオスタシス」の内観が一時的に機能していない状況。
例えば、スポーツ選手が金メダルを取った後、競技を引退する現象です。これは、トップアスリートがそれまでの動機を保てなくなってしまうことが原因です。リーダーシップの対象の喪失です。こんな方は、新しい目標が出来ると「リーダーシップのホメオスタシス」が再び機能を始めます。

元サッカー選手の中田英寿さんは2006年ドイツワールドカップを最後に引退しました。その後、自分探しを目的に世界中を旅して、海外で日本のことを尋ねられて答えられない経験をしました。そこで、中田さんは、日本のことを誰よりも知りたいと思い、世界を旅した後、日本中を旅して周りました。この間、日本酒の良さを世界のヒトに知ってもらう活動、日本の伝統工芸を世界のヒトに知ってもらう活動を開始され、それを事業にされています。

この中田さんの活動は、サッカー → 世界への理解 → 日本文化の情報発信の順番にリーダーシップの場が遷移しました。どの場でもリーダーシップの主体は中田さんです。引退当時、サッカーが楽しくなくなったとおっしゃっています。それまで楽しかったサッカーを楽しめなくなって、次に自分の楽しめる何かを探した。そして、日本のお酒や伝統芸能を世界に発信することを楽しめる自分に氣づかれた。私には中田さんには「リーダーシップのホメオスタシス」が一時的に機能していない状況はなく、リーダーシップの対象を変えて来られたのだと感じています。

最後に、私の事例をご紹介します。

私は大学受験で一浪しました。現役の時は体育の先生を目指すも不合格。せっかく1年間ガリ勉をするのだからと目標を薬学部に切り替えて一浪して薬学部の大学へ。
大学では癌の研究者になりたいと思い大学院を受験しましたが、試験の出来が悪く不合格。目標を製薬会社での新薬開発に切り替えて、製薬会社に入社、入社前の面接で新薬開発の希望を伝えましたが、最初、営業を経験してもらった後で開発への異動を考えるという説明に納得をして入社。3ヶ月間の営業の新人研修の後、配属されたのが新薬開発部門。

社会人になるまでの経緯を振り返ると、高校卒業時には体育の先生 → 一浪時、薬学部に進学して癌の研究者 → 大学卒業時、大学院に進学して癌の研究者 → 大学卒業時、製薬会社で新薬開発 → 新入社員として製薬会社で営業 → 新人研修終了後、製薬会社で新薬開発。

高校を卒業する時は体育の先生になるつもりでしたが、社会人になった時は製薬会社の営業の先生になるつもりになっていました。そして、社会人としての仕事のスタートは製薬会社での新薬開発でした。この通り、目標は変わりましたが、私の内面で起きていた変化を振り返ると、「自分が楽しい何かを仕事にする」を価値判断基準にして行動したことに氣づきます。この判断基準が「リーダーシップのホメオスタシス」でした。この判断基準は今も変わっていません。ただし、一旦、「自分の仕事を決めたらそれを楽しめる自分になっていく」が判断基準に切り替わります。

製薬会社での仕事が始まってからもリーダーシップの対象は変化します。
最初、新薬開発でした。この仕事は大変面白くて、経営企画に誘われたのですが断ったほどです。今の仕事が企業の経営企画に当たるのでご縁を感じております。新しく医薬品の副作用情報を担当する安全管理部が立ち上げられた直後、部長さんの「一本釣り」で異動。その後、品質保証部に異動しました。
ず〜っと、新薬開発を担当するつもりでいた私は、安全管理部に異動が決まった時、会社を辞めようかとも思いました。最終的にはこの会社を成長させるつもりになって異動しました。新薬開発と安全性情報管理を知ると、一人でも新薬開発ができそうな氣になってました。その後、品質保証部に異動した時は、一人で製薬会社を経営できそうな氣になっていました。そして、会社員のままでは自分のやりたいことが出来ないと思い独立し、意思決定コンサルタントに。

新薬開発部門で、画期的な新薬を開発する → 安全性情報部門で、市場での医薬品のリスクマネジメントの質を高める → 品質保証部門で、製品実現のフローと経営品質を結びつける → 意思決定コンサルタントで、一人一人のリーダーシップの質を向上してすべてのヒトが幸せであり続ける地球を実現する

画期的な新薬を開発するためには、それを可能にする人財が必要です。その要素、必要な知識技術、それを獲得する手段を体系化しました。
市場における医薬品のリスクマネジメントでは、その兆候を察知する嗅覚を持つ人財が必要です。医療関係者からの医薬品に関する生の臨床情報、お一人お一人の患者さんのご使用状況、医薬品の製品そのものの有効性、安全性、有用性の全体的な特徴のすべてを頭に入れて評価分析します。大量の情報を迅速に処理するITの力とそれを使いこなす感覚がその人財には必要です。
製品実現のフローを経営品質を結びつけるには、新薬開発から市場における医薬品のリスクマネジメントまでの段階的な製品実現に関する知識技術を持つ人財が必要です。その要素は既にお示しした2つの領域に加え、工場における医薬品の製造のフローと、日々の製造を管理する仕組みへの理解力が必要です。これらの要素を知っていること、更に、新薬の研究開発から市場における医薬品のリスクマネジメント、そして工場における品質が保証された医薬品の製造までを切れ目なく一連のフローとして経営する会社の全体像を描く能力、その上、経営現場や市場で日々発生する事象と、経営のフローおよび自己再帰的に影響をし合う市場と経営との主体と客体としての関係性を結びつける嗅覚が必要です。この嗅覚は、ここでお示しした製薬業を俯瞰し、そこに含まれるすべての要素の相互作用を洞察し、経営品質を保証する「時空間」をデザインする実行力を同時に磨いていくことでしか成長しません。
製薬会社での仕事は、その会社が実現する未来を牽引する人財育成に私の注意を向けさせてくれました。会社員人生の大半は、会社を牽引する人財育成。そのためにリーダーシップを発揮し、その知識技術を伝播していました。
この世界観を持って会社員を卒業して、意思決定コンサルタントとして独立しました。お客様の会社におけるリーダーシップ開発を通して新規事業や新商品開発の成功に導くのが今の仕事です。この仕事を推進しやすくするために「ヒトの認知の壁を突破するのに役立つ人工知能」を開発しています。

社会人になった後も私のリーダーシップの対象は変わりましたが、常に自分を幸せにするためにリーダーシップを発揮し続けて来ました。社会人になってからの私のリーダーシップは「自分が楽しい何かを見つける」に「その何かで出来るだけ多くのヒトに貢献する」の加わった「リーダーシップのホメオスタシス」でした。社会人になるまでにも他者貢献の感覚はあったのですが、それは「今、一緒にいるヒト」に対してでした。社会人になってからは「今、一緒にいないヒトを含めて出来るだけ多くのヒト」への他者貢献に「相転移」しました。

私は8歳の時に「すべてのヒトが幸せであり続ける地球を実現する」という目標を掲げました。本当の起点はもっと昔かもしれませんが、明確に目標を意識して言葉にしたのは8歳の時です。この8歳の時に決めたゴールが社会人になるまでと、社会人になった後の私の「リーダーシップのホメオスタシス」の核になっています。

ヒトは生まれた時から自分の世界観で幸せになるために、自分に対してリーダーシップを発揮し続ける。

ヒトは自分が幸せであり続けるために「何か」を調節しています。その調節役がリーダーシップです。
そのリーダーシップにもprincipleが反映されています。

「ヒトは常にゴールに向かうように行動し続ける」ことがprincipleの一つの側面です。

こう考えたときに、「リーダーシップのホメオスタシス」とは、その時の「あなたの在り方」になります。
この在り方を実現している時のあなたの姿は、いつも同じ態度でゴールに向かい続けている。

私のリーダーシップのprincipleは、8歳の時に決めた目標とその実現に向かって今を楽しむという行動です。
私の場合、自分が楽しめば、周囲のヒトたちも楽しんでいるという状況を子供の頃から体験して来ました。

私が行動し続けることができたのは、その時、その時を楽しんでいたからです。楽しめる状況に自分を持って行っていたからです。自分に対するリーダーシップの発揮ですね。今を楽しむ行動は、母から学びました。
ある時、その時を楽しみ続けるには、目標を達成したり、目標に近づいている感覚が必要なことに私は氣づきました。そして、目標達成には、私の中に目標を達成するための理論が必要なことを学びました。自分の中に理論が必要なことは、父から学びました。

両親から学んだことを融合すると、「今、楽しみながら体験したことを、次の未来を実現するために再現できる知識や技術にする。」私の場合、体験から知識や技術への変換は楽しくないと上手くできません。周りのヒトがつまらなさそうにしていると、自分は楽しめません。自然と周りのヒトが楽しめるように行動したり、私と一緒に活動することが楽しいヒトと過ごす時間が長くなって行きました。

自分が体験したことを、次の未来を実現するために再現できる知識や技術にする行動は、多分、あなたも実行されています。
これを大規模に実行しているのが企業であり、それを緩やかに実行してきた結果が文明や文化。こちらは「時代の共有感覚」と呼べそうです。

あなたや私が持っている「リーダーシップのホメオスタシス」は、これまで人類が文明や文化を築いて来た歴史においても存在していました。
人工知能が色々な日常で活用されるようになって行くこれからも、ず〜っと存在し続けます。

リーダーシップのホメオスタシス
ホメオスタシスのリーダーシップ

ヒトは生まれた時から自分の世界観で幸せになるために、自分に対してリーダーシップを発揮し続ける。

それでは、これまでお示ししてきた「リーダーシップのホメオスタシス」の要素を列挙しますね。
・幸せの探求
・今を楽しむ
・体験を知識と技術に転換する
・未来予測
・感覚の共有

ここに、我々が共有できる事実を加えます。
「ヒトは独自の脳が創り上げた世界に住んでいる。その脳は一人一人の独自の身体が体験してきた人生によって形成されている。従って、誰一人として同じ世界に住み、同じ世界観を持っているヒトはいない。」

この2つから導き出されるのは、「理解」の重要さです。
「自己への理解」と「他者への理解」です。

“結果を伝える側(外部コンサルタントや内部実践者)が診断した結果をクライアントに伝える(教える)のではなく(シャインによる「医師ー患者型」)、調査結果きっかけにして当事者で対話を行い、現状について共同で診断していきます(シャインによる「プロセス・コンサルテーション・モデル」)。そして、現状でのプロセス上の問題について全員が共通の認識を持つことができたら、次のアクション計画に進みます。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.216, ダイヤモンド社, 2018)

この質を高めるポイントは、自分独自の基準を持てるかどうか。

ヒトは自分の基準から周囲の事象を分析して評価します。他者も同じように行動していることも理解しています。
自分が他者に説明できるかどうかは別として基準を持っている。他者も自分に説明できるかどうかは別として基準を持っている。

あなたが何かを達成したい時、必ずそこには協力者がいます。その協力者とともに何かを達成するために、自分独自の基準を持ち、できるならばそれを他者に説明できるくらいに、自分の理解を深めて下さいね。

“私は、ディープラーニングを AI と呼ぶことは適切ではないと思っています。実は、AI 研究者の多くが私と同じ意見を持っているに違いないと確信しています。たとえば、「AI の父」と呼ばれるあのミンスキーは、一貫して「ニューラルネット・モデルでは AI を実現することはできない」と主張し続けました。”
(上野春樹, 詳説 人工知能 — アルファ碁を通して学ぶディープラーニングの本質と知識ベースシステム,オーム社, in press)

#理論量子認知科学

「量子物理学の原理をヒトの認知の仕組みの解明に繋げる学問」

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「リーダーシップのホメオスタシス」と「我々が共有できる事実」から、ヒトがどのようにして日常を過ごしているのか。
このモデルは、2019年6月に出版予定の電子書籍「マインド・ドリブン・ソサイエティ α→β リーダーシップ編」に詳述します。ご期待下さい。

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 - イノベーション, ケース, コーチング, サッカー, データマネジメント, フローチャート, モデル, リーダーシップ, 下村拓滋, 意思決定, 未分類, 社会, 組織開発, 行動, 論理 , , , , , , , , , , , , , ,

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