人間中心のAI社会原則(案)の設立背景
2020/03/16
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2018年12月27日に内閣府より公表された「人間中心のAI社会原則(案)」は「人間中心のAI社会原則検討会議」で2018年5月から11月まで合計7回の会議の成果です。
<最終版はこちらです。>
今回は、この7回の会議の経緯を追いました。
この短期間に本原則をまとめることのできた背景や動機を読み解きました。
後半に検討内容を各回に分けてまとめてありますのでご参考にして下さい。
大きな流れとして教育改革から始まった社会体制の変更の流れの中で、働き方改革に組み込まれながら本原則が現われました。
短期間に出来上がったのは、先行していたAIの活用を目的とした国の検討会議の存在と、本検討会議で活動された構成員の熱意によるものだと思われます。
社会はマインドの写像。あなたが積極的なら、社会も積極的。
各会の記録を読むと、米国と中国の動向、米国の場合は米国企業、中国は国策、を構成員の皆様は非常に危惧を持たれていました。
いわゆる覇権主義です。技術=経済力の図式は多分、AIで終止符を打たれることになるでしょう。ヒトのあらゆる認知を拡張する万能の汎用人工知能が社会に実装されると、やがて何か思うとそれが自動的に目の前に現れる社会になって行くからです。
この技術を何のために使うのか?
多くのヒトが人工知能時代に不安を持たれる原因はここにあるのではないかと私は感じています。
次にどんな人工知能を創るのか?
何かの目的に特化したAIの方が未来を予測しやすいとのことで議論の中心は特化型AI、いわゆる弱いAIでした。
汎用人工知能、いわゆる強いAIは実現がもっと先になるだろうということで今回の原則では考慮の対象外にされています。
人工知能はヒトの幸せを実現するように扱われる。
情報弱者を作らない。情報リテラシー。
お年寄りや子供がAI時代の情報弱者になるのではないか。この年齢層へのサポートが必要。
ディープラーニングには結果に至る過程を説明できない。学習用データーにバイアスがあると学習済みデータにバイアスがかかる。
現時点ではディープラーニングの結果の信頼性は保証されていない。AIの仕組みを理解して、AIを活用し、自分で決断する国民を増やす。
個人情報の所有権とセキュリティ。
米国企業の覇権主義による危惧です。自分の情報を自分で管理できないこと、fbの情報漏洩が現実に起きているからです。
Society 5.0 の実現に向けて。
人工知能を課題先進国の日本における解決手段として社会に実装し、そのモデルSociety5.0を世界に発信する。
その文脈としての原則。
人工知能時代の社会の原則と開発の原則に分ける。開発の原則は今後検討予定。
SDGs17の課題への対応
Society5.0の実現と重複しますが、国連で取り組んでいるSDGsの課題を解決する。
新たな技術は、それまで明らかになっていなかった社会の不明領域を明らかにします。
それらは、多くは氣付かなかったモノだと思いますが、中には隠れていたモノもあるでしょう。
新たな技術が出てきた時は、その技術によって社会をどう変えて行くのか、どう変わって行くのかの設計図を描くと、その設計図から技術の扱い方の説明書を社会で合意する過程に入れます。その設計図がないとみんなが安心して新しい技術を使う環境ができて来ません。
よくわからないけれども社会に実装する。
これもありですが、社会に新たな不明領域を抱えることになり、それが社会で暴れ始めるとコントロールを試行錯誤から始めることになり、社会が安定しない時代を長きます。
原発の事故は、よくわからないけれども原発の取り扱い説明書を作っていたのか、想定していた自然災害を超えていたのか。
何にしろ、これから出てくる新しい技術は、想定外の事態が起きても社会を不安定にさせない、もしくは論理的にリカバリーできる体制を持つことが必要かと思います。
AIの場合はリスクが高まる、もしくは事故が発生したら電源を切る。
ここを最終的に合意できれば、よくわからない部分を抱えたAIでも社会に実装は可能だと思います。
もちろん、事故のリスクを抱えていたとしてもあまりある有用性が期待できることが前提です。
例えば、食糧やエネルギーの無料化を実現するとか。
最低限、人命に関わる事故は発生しないレベルにはコントロールしたいですね。
“ちなみにTグループは、その後の組織開発で頻繁に用いられるさまざまな概念を多数、生み出しました。その1つに「ジョハリの窓」があります。「ジョハリの窓」は、Tグループでの学びを説明するための図式モデルとして、Tグループの参加者に説明するためにつくられました(実際には、NTLが主催するべセルでのTグループにおいてではなく、後述する西海岸でのWTLにおいて、このモデルは作成されました)。また、NTLメンバーによる、組織開発のさまざまな手法や理論の中で有名なものには、ダグラス・マクレガーの「X理論」と「Y理論」、エドガー・シャインの「プロセス・コンサルテーション」があります。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.157, ダイヤモンド社, 2018)
以下が第1回から第7回の検討会の要約です。
初めての会合で、参加委員の自己紹介と本原則への取り組みに関する意見が述べられました。
本原則(案)を公表して、日本が人間を中心としたAI社会の実現にリーダーシップを発揮することが意図されています。
産業界、学会、政府からこれまでの取り組みが紹介され、特に米国、中国に対してAI開発の現状が遅れているとの認識を持たれている委員がいらっしゃる中、技術的には遅れていないとの認識を持たれている委員もいらっしゃいました。
社会全体としてAI開発に取り組むとともに、例えば、個人の生涯に渡る医療データを標準化して蓄積することの対策や、本原則を「AI-Ready なプラネット」に適用するモノとして世界に提案するという意見もありました。
中国が高校の教科書には画像認識、ディープラーニングのみならず、GAN(Generative Adversarial Network, 敵対的生成ネットワーク)までも取り込まれています。国を挙げて取り組んでいる様子が伺えます。
中国は国を挙げて、米国は企業が、国際的なルール創りにはあまり関与せず、自分たちがルールを創るつもりで活動を展開しています。
期限は1年で本会議が開始されましたが、それを待たずに原則(案)をまとめたいと言う発言もありました。
第1回の議論を受けて、「AI readyな社会」について3名のプレゼンターが各々の意見を発表。
個人がある課題を解決するためにAIを扱いデータを収集して分析して課題解決のための参考データを得ることができる。こんな社会を「AI Readyな社会」として描いているようです。
その社会を実現するには、今の企業では、自分が理解できないアイデアを承認しない上司がいたり、分析を前提としたデータの取得をしていないので、機械学習のデータとして変換するまでに1年が必要になったり、データ処理のコストが高額だったり、クリアしなければならない課題が多い。
機械学習を中心としたAI社会では、データ量が計算の精度を決める要因となるのでデータを持っている企業には太刀打ちができなくなる。
本会議は独占的にAIの利活用の利益を享受する企業や国に対するメッセージとして原則をまとめるべきであるとの発言もありました。
第3回は国際的な取り組みの全体像と国内における経団連の取り組みが紹介された。
経団連ではSociety 5.0にはOpportunity, Productivity, Diversityがあり、最終的にはHappinessを目指す。それを実現するのが「AI readyな社会」。このフレームの中で戦略的枠組みと企業のあり方の改革、そして教育改革を検討している。
その後、3名のプレゼンターが医療、保険、国際標準化の観点からAIの現状を報告した。
医療におけるデータの標準化、AIの応用事例、課題。データは検診から標準化してかかりつけ医が利用可能にして行く。用語の辞書、データ変換に取り組んでいる。
保険では保険金を素早くお支払いすることからリスク回避に関心が移っている。実現しているのは保険証書等の証書の画像認識により、保険計画から契約書作成までの作業の7,8割を自動化。課題として教師データの選定がある。
AI技術の課題には「ゴールが1つに定まらない問題」と「ゴールが定まった問題」がある。前者は人への示唆の高度化であり、後者は圧倒的な効率化である。一方、国際標準化機関等は機械学習を中心に倫理・リスクを議論している。国際的な議論は始まって数年。
本検討会における議論のポイントが示された。
理念
1. いわゆるAIがあたかも人間のように意思を持つようなものではなくて、人々の生活を豊かにするようなフレンドリーなツールとしてのAI
2. 女性、子供、高齢者、障害者といった様々な方々に便益をもたらすようなものであること、さらに、そのAIのもたらす便益が世界のあらゆる人々に幅広く共有されること
3. 人間の能力や創造性を拡張し、あるいはそこを強化する
4. プライバシー、セキュリティ、透明性、公正さといったところを確保することを目指す
5. リテラシー教育
6. AIをアグレッシブに利用することで、生産性の向上、社会課題の解決、新サービスの創出というようなことを通じた経済成長を実現
ヴィジョン
1. あらゆる市民が便益を享受でき、恩恵を認識できるような社会
2. AIを過度に恐れずに、また逆にAIに過度に依存しないような、自らの行動を自ら判断できる
3. あらゆる分野、あらゆる業界が、AIで活用できるレベルでデータ化されているような社会
4. プライバシーやセキュリティを確保した上で、あらゆる人々が安心してデータを提供でき、逆にデータから便益を受けられ、安心してデータが流通できる
5. データが特定の国とか企業に集中することなく、自由にデータが流通することで公正な競争環境が確保されるような社会
6. AIとデータの力をかりて、いろんな夢やアイデアが実現することで、人々が未来を確信できるような社会
7. 責任の分配がある程度整理されており、安心・安全に使うためのルールが整備されているような社会
8. 人々が単純労働や重労働から解放されて、創造性・生産性の高い仕事にどんどん移行していくという社会
9. 社会のデータバイアスで人が差別されることのない、人間の尊厳と個人の自律が尊重されるような社会
テーマ
1. 研究開発: AIの判断根拠
2. データ/セキュリティ/プライバシー: 自分のデータが一部の企業とか一部の国とか政府とかに集中する、の偏ったデータそのもので社会が動かされてしまう
3. 法/ルール: バランスの良い法やルール
4. 雇用/経済: AIに仕事を奪われてしまうという不安
5. リテラシー/教育: AIとかITの教育を進めていく上で、どのような壁が存在しているのか
6. 倫理: 人が悪意を持ってサイバー攻撃をかけたりするということに対する不安
7. AIready な社会の加速策: どういった方策で加速していくべきか
ステークホルダー
1. 政府
2. 産業界
3. 研究者
4. 教育機関
5. 実際のユーザー
6. 個人/利用者
情報提供の後、各構成員の意見交換があった。
例えば、
中国ではAI開発の世界的なポジションについて目標値を掲げ、投入する国家予算を決めている。日本でも同様のアクションを起こした方が良い。
AI開発の実験場を国内に設置する。
既に示されている人工知能学会の倫理指針とかアシロマ原則とどう差別化するのか。
第4回は総務省のAI利活用原則案が紹介され、海外ITメーカーのプレゼンがあった。
AI利活用原則案には10個の原則がある。そのうち、次の3つの原則が説明された。
・適正学習の原則: 利用する過程でAIが学習を通じて振る舞いが変化する
・公平性の原則: 人種や性別等で不当に差別されないようにするための原則
・透明性の原則: AIがブラックボックス化することで事故が生じた場合、事故の経緯や責任の所在の特定が困難になるリスクを防ぐ
マイクロソフトでは「保証できるAIの実現」を掲げている。その中心に画像、自然言語、音声がある。人の可能性や創造性を高めるAIに取り組んでおり、例えば、全盲の方のメガネにカメラを組み込み、クラウドで画像解析をした結果を手元のスマホに送信して、目の前で起きている事象を伝える技術を開発した。「保証できるAIの実現」は責任、透明性、そしてその上に公平性、信頼性、プライバシー、セキュリティ、インクルーシブと、大きく8つの分野に整理をして、それぞれの取組を行っている。
IBMからはPrinciples for Trust and Transparencyにおける次の3つのテーマがある。
1. AIはヒトの知能を拡張するものである。
2. データと洞察、知見はお客様のものである。
3. 透明性と説明可能性を探求する。
グーグルからはAI利用における基本方針と、責任あるAI利用を促進するための政府への要望が示された。
基本方針
1. AIは社会にとって有益でなければならない。
2. AIが不公平なバイアスを発生したり、それを助長したりするべきではない。
3. AIは、安全性確保を念頭に置いて開発・テストするべきである。
4. AIは人々への説明責任を負う。
5. AIにはプライバシーデザイン原則を適用するべきである。
6. AI開発においては、科学的卓越性を追求するべきである。
7. AIは、これらの基本理念に沿って利用できるようにするべきである。
政府への要望
1. 一般市民のAIに関する理解を深め信頼を高める。
2. 優先産業分野においてAIの理解を促進する。
3. AI実装の障壁に取り組む研究を支援する。
4. 責任あるデータ共有を奨励し、AIシステムのトレーニングに使用できるデータを充実させる。
5. 建設的なガバナンスの枠組みを確立し政府機関の専門性を高める。
6. 政府が責任あるAI採用のロールモデルになる。
7. 労働力の移行に備えて準備をする。
Society 5.0のアップデート情報が提供された。すなわち、はSociety 5.0が齎すものを明らかにする意味で、for Japanとfor SDGsの2種類を検討することになった。日本に向けてと、世界に向けて。ダイバーシティ、クリエイティビティ、プロダクティビティに、セーフティ、サステーナビリティの2つが加わった。
構成員の意見交換が行われた。例えば、
グーグルの政府への要望は、「AI readyな社会」の条件である。
AIの活用が増えてくるとデータを見て現場を見ないという現象が出てきている。現場を見るということも重要。
第5回はドイツのAI戦略、G20デジタル経済大臣会合の情報提供の後、本会のアウトプットに向けて構成員の意見交換が行われた。
ドイツでは研究強化、国内外のネットワーキング、社会との対話、行動フレームワークなど13項目が提示された。12月に発表予定。
G20でもAIが優先課題となっている。
アウトプットに向けての意見交換は次の通り。
・原則の主旨を国民の幸せにするのか、経済で成功することにするのか。
・国家レベルで個人情報を保護するルールはやはり重要で、国際共通で決めたらどうか。
・世界へのトップレベルメッセージとして、例えば(1)AIは学術の粋を集めて発展させるべきで、(2)日本は世界超先進社会インフラをつくって、これをSociety 5.0と称した上で、(3)一方でAIは様々な反社会的副作用を生んでしまう可能性があるので、これら全てのステークホルダーが人類共通のゴールであるSDGsに照らして行動すべきであるということを掲げる。
・あたかも人間のように振る舞うようなものではなく、人間と対等の立場に立つものではなくて、人間の幸福追求のための手段であるということをもう少しはっきりさせてもいいのではないか。
・ヒューマン・AI・エコシステム、人間を共進化させるco-evolutionというような考え方があるのではないか。
・日本独特の問題として、異物を嫌う差別的な心を乗り越えるためのAI技術。
・社会を変革させるほどに大きな影響を与えるAIの特性があるゆえに、AIの開発、利活用にはやはりアカウンタビリティが求められるという修正意見。
・若者とか中高生のAIリテラシーを上げるという意味では、このAI原則が公表された後にワークショップなどを積極的に使ってAI原則の浸透を進める。
・メリットもあればリスクもあるということをきちんと理解できるようなリテラシーを持たせるべき。
・Happinessを促進する要素として、Diversity、Productivity、Creativityがあり、留意すべき要素としてSustainability、Safety、それからIdentityがある。
・Happinessに対して、安心とか健康といった概念も含むと思いますが、well-beingという表現もあるのではないか。
・Happinessの構成要素として、Healthy Capitalもあるのではないか。
・倫理等の人文科学も含むリテラシー教育のような、STEMだけではない表現がよい。
アウトプットを構成する内容としては次の通り。
・Society 5.0は単に利便性や効率性をもたらすのみならず、多様な背景と価値観、考え方を持つ人々が多様な幸せの形を追求する持続可能な社会を実現することによって、我が国が直面する社会的課題を解決する。それだけではなく、世界が直面、またこれから直面する課題に対する解も提示ができるということ。日本はそのためのモデル国家になるということにより、国際的にも魅力ある社会であることを世界に発信することにより、明記はしていませんが、人材や投資の面で世界に選ばれるようにする。
・モデル国家になるためには教育のシステム、社会システム、産業構造、データの利用環境、研究開発環境といった、社会のあらゆる分野を変革させるAI-Readyな社会を世界に先駆けて構築する。
・まずは教育システムが改革されていて、誰もが数理・データの素養を身につけられているという状況にする。それから、多様性を享受できる社会になっているということで、多様な背景、国籍、考え方、ライフスタイルの人々が各々の幸せを追及できる社会となっている。
・あらゆるデータがAIで活用できるという状況。
・産業構造が変革しているということで、ベンチャー企業が中心となってけん引する、IT/AI人材がしかるべき処遇が受けられるような社会。人々が創造性・生産性の高い仕事に従事できるような社会への変革。
・研究開発環境としては世界中の研究者が集まれるような魅力あるテーマが設定できている。
・国民のマインドにAI受容性が備わっている。
・上位理念として、Happinessとかwell-beingのような大きな目標でありますとか、それを実現するための軸ですね、Diversity、Productivity、Creativity、Sustainability、Safetyなど。
望ましい社会の実現に向けたAI原則は次の通り。
・AIはフレンドリーな道具であり、人間の生活を豊かにするものである。
・AIは人間と協調することによって、人間の能力や創造性を拡充する、AIも人間から学んで高度化する。
・AIによって多様な人々の夢やアイデアが実現できる。
・データが特定の国や企業に集中することなく、自由に流通することで公正な競争が確保される。
・セキュリティ、プライバシー、そして公平性・アカウンタビリティ・透明性というFATの確保。
・AI開発やデータの流通に関して、公権力が過度に干渉すべきではない。
・AI・ビッグデータに関する知的所有権。データはそれぞれデータを出している個人に帰属するだとか、あるいは経済産業省のAIデータ利用に関する契約ガイドラインに基づいて、例えばAI学習モデルの知的所有権は適切に配分される。
教育に関する意見は次の通り。子供の教育と大人の学び直しの両方の意見が出ている。
・恐らく近未来的、10年とか15年くらいのペースで考えるとすると、初等・中等教育ということを考える。
・即効性があるものとしては、オンラインコースのようなもので実際に仕事をしている技術者がどんどん新しい技術にキャッチアップできる。
・少しでもAIに関係しそうな人はどんどんと新規の技術にキャッチアップできるようなコースウエアを充実させる。
・AIの時代に対応した文理断絶からの脱却。
・自分の価値観をきちんと答えることのできるヒトを育てる教育。
・AIというものを人間がうまく使えるようになるために必要な素養を提示する。
その他の意見は次の通り。
・ストレスなくデータがたまる仕組みを考える。
・最終的にビジョンを1個打ち出して、原則を幾つ作っていくのかとか、そういう大枠のところがもう少し見えるといい。
・AIをここでは広く先進的な情報システムでると明確に述べる。
・AIあるいは情報システムが出した結果をうのみにするユーザーとか、それを意図的に利用する使用者とか、そういったものがこの社会における最大の脅威になる。
・高度に自動化された社会で万が一想定外のことが起きた場合を想定した時に、どういう人材が必要かという議論。
・本来あるべき人間の姿というものを、AIを含む社会全体、人間として追求する。何故ならば、人間も社会も一定不変じゃなくて、より理想的な人間というあるべき概念を追求して、変化していくという考えているから。
・人間とは何かというところをもっと重視する社会。
・複雑なデータ体系および日本人の固有のデータに対するセンシティビティをうまくレイヤリングして、企業同士のウイン・ウイン、組織や国にとってのウイン・ウインのメカニズム作る。
・やはり個人個人にとっての納得度や満足度が十分反映されたような「精度が高い」じゃないかと思うので、この「精度が高いAIシステムの社会実装」という表現に違和感を覚えた。
・共進化。
・デジタルデバイド、分断、を招かないための、多様性・包括性・包摂性をクローズアップする。
・完全ではないがかなり自律的な人工知能がどんどん社会に実装されてくる。例えば、自動運転はかなり自律的なAI。これに対応する法律がないと物事は動かない。
・責任の適切な配分の枠組みを事前に作らないと、最初に不幸になる人がかわいそう。
・人間って不幸になる権利もある。
・情報は基本的にはパブリックドメイン、一定の場合には尊重しましょうというのが基本的なルールなのではないか。
・民主主義の根本的価値がAIとかデータアナリストによって侵されているというところに、多くの人が危惧感を持っているのではないか。
・どうやってこの自己決定権というのを整理していくかということを世界に訴えていくこともありうる。
・分かりやすさみたいな観点をもう少し意識した方がいい。
・打ち出した後のフォロー体制をあらかじめ仕込んでおくというのはすごく大事。
・第4項の「AIのフル活用に実現すべき望ましい社会」が最初にあって、それをやるために実現すべきAI-Readyな社会と入っていくのが、順番
的には頭には入りやすいのかなと思います。
・自分できちんと考えられる、あるいは何か問題があってもセーフティネットがあってこそAI-Readyの社会ができるのではないか。
・章の順番は要検討。
・人権と公共の福祉について触れる。
・原則を発表した後に、生活者、国民一人一人がどうなるのという、何か分かりやすい実例のようなものを提示する。
・AI社会原則とAI開発原則というふうにペアにするという打ち出し方もある。
その他、AIに関する情報は次の通り。
・人工知能とロボットが実験をして、人間は企画段階で実験を設計する。
第6回は日本のAI戦略(案)の全体俯瞰図と労働政策の現状の報告の後、原則案に対する意見交換が行われた。
日本のAI戦略(案)は戦略パッケージの骨子を年内にまとめ、4月頃にAI社会原則とともにこの戦略パッケージを国際社会に情報発信する。
労働政策審議会労働政策基本部会報告書が報告された。AI等の技術革新の雇用労働分野への影響について取り上げられている。人工知能と技術革新の動向と雇用・労働への影響を検討した。働く人の全ての活躍を通じた生産性向上等に向けた、例えばキャリア支援、テレワーク、副業・兼業、あるいはクラウドソーシングなどの、多様な働き方、時間・空間・企業に縛られない働き方等について議論を深めた。
9月11日ユネスコで開催されたラウンドテーブル”Artificial Intelligence Reflection on its complexity and impact on our society”の報告。現在のAIの状況と社会への影響の懸念や課題が共有された。会議の後に、セネガル、パキスタン、シンガポール、ロシアなどの代表委員の方々より、「日本との協力を是非とも強化したい」と個別に接触があった。
人間中心のAI原則検討会議取りまとめ構成案について構成員の意見交換が行われた。
今後の政府の課題として、次の7点が示された。
1. イノベーションの創出と安心・安全のバランスに配慮したような責任分担の明確性を提示するようなルール、制度の整備
2. 社会課題解決に向けた研究開発支援策
3. 人材育成の支援策
4. データ利用環境
5. データ流通確保のためのルール
6. 中小企業やベンチャー企業の社会実装の推進や支援
7. AI社会実装に投資
今後の産業界、研究者の課題。
1. 大学と連携することでAIの利活用の実課題への対応を通じて、人材育成システムを構築する
2. 産業界全体で雇用、起業環境を改革する
3. プライバシー、セキュリティの保護のためのシステムの開発
4. 民間レベルでも責任分担に関する自主ルールの策定
5. AI工学、FAT(Fairness, Accountability, Transparency)でを実現するための研究開発、AIアルゴリズムの開発
今後の大学、教育機関の課題。
1. AI、数理、データサイエンスの知見を活用できる人材を輩出するための教育体制
2. 創造性や推論、課題解決能力というところを身につける人文系の教育システムの充実
今後の個人の課題。
1. AI、数理、データサイエンスに関する知見を獲得することによる生産性、創造性の高い仕事への従事
2. 数理リテラシーを有することで、AIの処理結果をうのみにせず、自ら判断できるような能力の獲得
本記事の執筆時点(20190108)で議事録が公表されていないので、配布資料の説明のみです。
AIの信頼構築と社会実装を促す原則(To Foster Trust in and adoption of AI)の内容の絞込み等を行うことを目的として、2018年9月24、25日のOECDの第1回AIに関する専門家会合(AIGO: AI expert Group at the OECD)が開催された。
欧州連合(EU)のAI倫理等に関する議論。AIに関する倫理ガイドラインのドラフト案には、公平性、安全性、セキュリティ、社会的包摂性、アルゴリズムの透明性が含まれ、さらに広範囲な議論として、プライバシー、尊厳、差別禁止などの基本権利への影響が含まれる予定。
#人工知能の社会実装
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