理系の社長 パナソニック 津賀一宏さん
会社の力は論理的に意思決定ができる体制作りと言えるのかも知れません。
あなたの意思決定が世界を創る。
意思決定コンサルタントの下村拓滋です。
今週末、地元のサッカーチームの合宿に行って参ります。菅平高原へ。
4年生以上の選手と一緒に。
毎回、テーマを決めて練習メニューを考えます。チーフが中心となって。
今回は マイボールを増やす。
サッカー選手の成長の過程には、落ち着いてプレーする 段階があります。
この段階に必要なのは、自分のボールにしてからプレーする ことなのです。
少し、分かりにくいですか。
ボールをプレーする前に、自分のボールにする。
具体的に言うと、ボールと相手の間に自分の体を入れる、そしてボールを
プレーする ということです。
ワールドカップでプレーしている選手は、これを無意識に実行しています。
当然、ネイマール選手も。
数年前からネイマール選手を応援しているパナソニックのwebにスーパー
プレー集がありました。
こんなところにも人工知能の活用が・・・。
そんなパナソニック社の社長 津賀一宏さんの記事を見つけました。
今回は、津賀さんのインタビュー記事を切っ掛けとして、情報収集の質と意思決定、
その場面における会議の役割についてまとめました。
「儲かるビジネスをモデル化することは難しい。」
2012年から社長に就任された津賀さん、実は大学では生物工学を学ばれました。
アメリカに留学されコンピュータサイエンスの修士に。
その後、パナソニックに入社されDVDの開発を担当。
技術で成功することと事業で儲けることは別であることを学ばれた後、社長に。
「縦割り から 衆知を集める に」
津賀さんが社長になって問題だと感じたことは縦割りで情報が社長に報告される
ことでした。途中の過程で「衆知を集める」構図になっていない。
そこで、
チームに情報が集まるように、事業の責任者と本部の役員の10名程度の「グルー
プ戦略会議」を開くように。
「社長は時間の無駄の塊」
家電事業の問題は、住宅事業の責任者に直接関係ない。
その通りだが、グループ戦略会議ではメンバーが同志になって、みんなで知恵を
出せる。
会議中、参加者の質問とそれへの回答から議題に対する理解が深まった経験は
あなたにもあるでしょう。
全て社長一人が決めていたのでは、情報を上げるまでの時間がかかって意思決定
が遅くなったり、社長の現場感がズレていたりすると間違った意思決定をする
可能性があります。
そこに至るまでに社長を含めたチームで意思決定できる体制に。
これは組織として意思決定のスピードを高める体制への変更です。
実は、
ヒトがある意図を持って行動するとき、必ずこの構図を持っています。
縦割りで情報を入手するか、衆知を集めた情報を入手するか。
メディアで目にする情報は、この2種類に明確に切り分けることが出来ます。
個人の観点から書かれている記事なのか、それとも集団の観点から書かれて
いる記事なのか。
専門家個人を扱った記事であれば縦割り。しかし、その中で専門家集団と
しての見解が示されているのであれば、そこの部分は衆知の情報。
衆知の情報だとしても、全体を掲載していないのであれば、それを引用した
ヒトの意図や解釈が含まれているので縦割り的衆知の情報。
何人かの専門家個人を扱った記事をあなたが集めると、あなたが擬似的に
衆知を集めた情報になります。
つまり、
情報提供者のバックグラウンドが情報の質を決めます。
ヒトは意思決定をする時に必ず情報収集をします。
そして、
収集した情報の質が目的を達成する確率を決めます。
私がかつて勤めていた製薬会社での経験です。
ある新薬開発のプロジェクト会議での出来事。
研究所のメンバーと臨床試験のメンバー。
研究所のメンバーから実験データの提示があり、そのデータの意味すると
ころが説明されました。
そのデータで次の段階に進んでも良いか。
それが、その会議での意思決定事項。
臨床試験のメンバーからは、専門医師に実験の結果を評価してもらう必要
があるとの意見が出ました。
研究所のメンバーも、もちろん専門医師の評価を確認するつもりでしたが、
そのタイミングはもう少し後と考えていました。
この会議の結果、専門医師に実験の結果を評価してもらうことになり、その
評価結果を追加して再度、検討することになりました。
この事例から情報の質と目的を達成する確率を観てみましょう。
・研究所のメンバーは十分に情報は収集できていると判断したが、臨床試験
のメンバーは次に進むのであれば専門医師の評価が必要と判断した。
つまり、前者は情報の質は十分、後者は情報の質は不十分と判断。
・新薬開発の目的は安全に使える情報を明らかにして日常診療に役立つ
医薬品として発売することです。その手前に無数の関門があり、それを
全てクリアして目的を達成できます。そして、この事例では目の前の関門
をクリア出来なかったのです。確率を上げるために専門医師の評価を入手する
ことになりました。
更に、縦割りの情報と衆知を集めた情報に分解して観てみましょう。
・研究所で実験を重ねている段階は縦割りの情報。
・臨床試験のメンバーと実験結果を共有して次の段階に進む可否を検討した
段階で衆知を集めた情報。
既にお気づきかもしれませんが、会議には衆知を集める役割があります。
新薬開発は未知の領域に踏み出す行為です。その過程の再現性は極めて乏しい。
会議でどの程度衆知を集めることができるかが、その後の開発のスピードを
決めます。
折角、数多くの部門、複数名の参加者が居たとしても、そこで必要な情報を
全て共有されて意思決定がなされなければ、やり直しになることもあります。
あらゆる意味で、会議ほど参加者の論理力が求められる場はありません。
論理的に情報を提供し、論理的に情報を理解する。
会議の成果は、会議の後、関係者が正しく行動して目的を達成するコトに
尽きます。
会社の力は論理的に意思決定ができる体制作りと言えるのかも知れません。
集めた情報で意思決定をして、更に、次の意思決定に向けて情報を収集する。
この活動を論理的に行なう。
あなたが専門ではない分野で何かの意思決定を迫られた場合、情報収集に
手間取ることになるでしょう。それは、質の高い情報がどこにあるのか、
検討がつかないからです。
それでは、これまで経験のないコトの意思決定に備えるにはどうしたら良い
のか。
それは、
情報を読み解く時に提供者の意図を意識することです。
その意図を意識して情報を収集すると、あなたが意思決定しようとしている
コトを取り巻く環境への理解が深まっていきます。
そして、意思決定をした後、その情報がどの程度役立ったのかを振り返って
評価してみて下さい。
1.情報提供者の意図を読み取る。
2.意思決定の経過を後から振り返る。
3.個別の情報の有用性を自己評価する。
最初は慣れないかもしれませんが、是非、意識してやってみて下さい。
情報の質を評価する能力が磨かれます。
更に、論理力が磨かれます。
そして、未知の分野の意思決定に躊躇しなくなります。
この場合のリスク・マネジメントは別の機会に話題にしますね。
我々の意思決定で世界を創って行きましょう。
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未知の分野に踏み出す。イノベーション体質になりましょう。
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参考:
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