感性のサイエンス
2019/05/24
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
あなたは今、自分の健康状態をどうやって評価されていますか?
2019年2月19日、第3回「D2Kサイエンティスト養成研究集会」 「脳計測の進歩と疾患への対処」に参加して参りました。
目的は、個人の健康管理に応用できる知識と技術の情報収集。
ヒトの快、不快に対応する仕組みの中心には視床下部にある。感覚性脳室周囲器官(脳脊髄液接触細胞)がセンサーとなり、身体的ストレスの窓と心理的ストレスの窓からストレスホルモン中枢、空腹中枢、満腹中枢、時計中枢へ。情動を制御するのは辺縁系と内分泌系。神経と血管が繋がっていて血流を調整している。
“たとえばできるだけ有名な大学に合格できるというのも報酬となる。この場合、ずいぶん先に報酬が得られるのであるが、そのために現時点、さらに次の時点でどのようなことをすればよいかを考えないといけない。これが報酬を最大化するための行動系列の学習である。大切なことは、行動しながら学習をすることである。頭で考えるだけではなく、実際に試行錯誤を繰り返さないと学習できないしくみであることに注意しよう。”
(乾俊郎, 感情とはそもそも何なのか, P.32, ミネルヴァ書房, 2018)
失読症という障害がある。例えば、食べ物の概念は持っているけれど、野菜や果物の概念が抜けてします。野菜の概念はあるが果物の概念が抜けてしまう。ヒトによって抜けてしまう概念が違う。
パーキンソン病は1000人に一人の割合で発症する。手足、全身の筋肉が制御不能になる身体症状と認知に関わる症状がある。認知に関わる症状は多様である。レビー小体とパーキンソン病との関連性が着目されている。レビー小体は認知症との関連性も注目されている。遺伝子、膜障害、環境因子によって発症するがそのメカニズムはまだ良くわかっていない。神経細胞がドーパミンを産生しなくなることで発症する。ドーパミンの補充療法が有効だが、長期間使用していると効かなくなってくる。
精神疾患の診断や治療にIT技術を使う。過去の臨床試験を見直すと本来臨床試験の対象ではなかった患者さんが対象になってしまっている事例がある。web会議システムで診断技術の高い評価者が患者さんを評価すると、臨床試験の対象外の患者さんが対象にならなかった。薬物療法よりも効果が期待できる認知行動療法もweb会議システムで実施。良好な効果が確認をされた。診断の技術や認知行動療法の技術はヒトによって異なるので臨床試験では中央評価方法で、一定の能力が保証された評価者が精神疾患の患者さんの評価をweb会議システムで行なっている。患者さんの顔の表情や、会話をAIで分析してある程度の精度で病気を診断できることが分かった。
Appleのresearchkitを使って痛みの評価アプリを開発。天候や気圧と痛みとの関係性。自分が痛みを感じている時、日本全国で痛みをアプリを使っている人が何人いるか確認する。カメラに向かって笑顔を作るとその点数がでる。
脳磁計で海馬の機能を測定。海馬の振動を捉えることができた。海馬を中心とした認知機能を脳磁計で解明する。
あなたの成果はやがて誰かの役に立つ
個人の健康管理に使えそうな技術について情報が得られた。
私が想定している技術と取得したデータの分析について専門家から同意を得ることができた。その専門家と継続的に情報交換することになり、その技術を持っている会社との面談日が決まりました。
ヒトの意図をコンピュータ上に取り出す技術も研究中。人工知能を開発するために理解が進む、ヒトの脳科学から得られる恩恵は今後も増えて行きそうです。
“細菌や社会性昆虫の行動を考慮すると、初期の生命が慎ましやかなのは、名目に過ぎないことがわかる。やがて人間の活動、認知、そして私なら文化と呼ぶ心の営為につながるものの真の資源は、地球の歴史の消失点にまで遡る。人間の心と文化の成功は、哺乳類の起源種が持つ脳と数々の特徴を共有する人間の脳に基盤を持つと主張するだけでは十分ではない。人間の心と文化は、太古の単細胞生物と、中間段階の様々な生物が備えていた手段や方法につながっているという点を付け加えておく必要がある。”
(アントニオ・ダマシオ著, 高橋洋訳, 進化の意外な順序, P.41, 白楊社, 2019)
懇親会ではprinciple(ヒトのたった一つの行動原理)に関する意見交換。ヒトと同じように考えるAIの開発にはprincipleが必要です。principleという発想は珍しいようで、毎回、研究者とのディスカッションが弾みます。
ヒトは快、不快から階層的に欲求が構成されている。
混合物から機能を解析する技術は、ヒトの思考と行動のプロセスのシミュレーションとして使えそう。
“一般システム理論は、組織開発の源の1つである、社会技術システム・アプローチに影響しました。社会技術システム・アプローチは、イギリスのタヴィストック研究所で発展した考え方で、人々の関係性という社会システムと、仕事の仕方という技術システムという要素で捉え、両者の同時最適を目指します。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.210, ダイヤモンド社, 2018)
会場は藤沢のiPark。武田薬品工業がオープンイノベーションの拠点としてベンチャーのインキュベーターとして運営している研究所。
研究集会の前に施設見学がありました。
研究所の一画にテントやテーブル、椅子のキャンプ道具を置いていあり、テントの中でミーティングをされている研究者も。
また、iPS細胞の活用を京都大学と共同で研究されている会社も入居していました。
駐車場の向こうには徳洲会病院があり、将来的に病院と研究所とを結ぶ通路を作ってお互いに人的な交流を行う計画があります。
そこには、新しい発想が生まれる工夫がありました。
私の健康状態の評価は、痛みの有無、行動できているか、楽しいか。大きくはこの3点です。
ストレスが溜まってきたなあと思うと、寝るか外に出かけるかのどちらかで対応しています。
普段一人きりで仕事をしている時間が長いので、仕事場をカフェに切り替えて沢山のヒトがいるところで仕事をしたりもします。
もちろん、私のこの行動は私の幸せに繋がっています。
私の幸せは私のリーダーシップとともにあります。リーダーシップの対象は健康な体と精神。自分自身でどんな場面を作っているのかというと、行動して誰かに貢献する機会です。自分の体験を誰かの役に立てるために体験を理論として体系化する。
私の理論は、頭の中を整理しきれていないヒトのためにあります。このタイミングで私独自の質問で、クライアントの頭の中をあっという間に整理します。いつの間にかクライアントの無意識にアクセスできるようになりました。
行動して貢献する
理論として体系化する
現実社会でこの2つを実行するために自分自身の健康に対してリーダーシップを発揮しているという体感覚です。
“不確定原理の最初のバージョンは左に不等式になる。
Δl×Δv
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