開かれた関係と閉じた関係
2019/06/12
「もし、あなたがなりたい自分を言語化していないとしても、常に意図はお持ちであり、その先にはなりたい自分があると私は考えています。」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2018年3月31日、執筆中の本に、「世界の一体化」という言葉があります。
これは、自分にとってこれまでにない体験だと判断した時に、あなたが選択する行動の一形態です。
“自己主体感とは、ある行為を自分自身で行っているという感覚である。”
(乾俊郎, 感情とはそもそも何なのか, P.50, ミネルヴァ書房, 2018)
その詳細については本に述べて居ますのでここでは割愛しますが、これはあなたの体感覚の成長と密接に関わって居ます。
何故ならば、世界の一体化は、体感覚の成長に直結するからです。新たな対象への理解が深まることで、世界観が更に詳細になったり、拡大します。
「世界の一体化」の原動力は、今、自分の周囲にあるリスクの回避と、新しい楽しみを見つけるという2つの欲求からできています。
正に、「今、幸せを感じて、次の幸せに向かう」という態度と共にあります。
そして、開かれた関係と閉じた関係は、正に、今の体感覚に新しい世界を一体化する場面で起きて居ます。
ここでいう関係とは、体感覚と新しい世界との関係のことです。
体感覚
新しい世界
“経験のゲシュタルト・サイクルでは、地から図となり、また地になっていく認識の過程について、図表40にあるような7ステップを想定しています。①感覚、②気づき、③エネルギーの高まり、④アクション、⑤コンタクト、⑥解消・凍結、⑦引きこもり、です。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.223, ダイヤモンド社, 2018)
開かれた関係では、新しい世界を観察しながら、認知したコトを既存の体感覚と照合します。その方法は要素に分解してであったり、塊としてであったりします。
閉じた関係では、新しい世界の観察をやめて、体感覚に取り込んだ新しい世界観の要素や塊の居場所を探しています。
違和感のない居場所を見つけると、再び、開かれた関係になり、追加の新しい世界の情報が体感覚に取り込まれます。
この2つの関係は明確に分かれているのではなく、今、ある部分は開かれた関係だが、他の部分は閉じた関係ということもあります。
例えば、あなたは生物学で、初めてタンパク質の生合成の授業を受けたとします。その授業で、細胞の表面にある受容体に成長因子が結合し、細胞内情報伝達により、核内のある遺伝子が発現し、その細胞がタンパク質を合成し、エクソサイトーシスにより、細胞の外へ、タンパク質を放出する過程を学びます。「タンパク質の生合成」は塊としては未知の情報でした(開かれた情報)。しかし、そのすべてが全く新しい知識というわけではなく、例えば、細胞に細胞膜、受容体、核、遺伝子のあることは知っていました(閉じた関係)。でも、成長因子、細胞内情報伝達、タンパク質の合成、エクソサイトーシスは知りませんでした(開かれた関係)。あなたは先生の話を聞いた先から、受け取った情報の意味を理解して順次、自分の世界観に取り込みます。情報は塊なので、その塊は「開かれた関係」(青)と「閉じた関係」(赤)と「定着(一体化された状態)」(茶)のまだらになっています。
今回の場合、最初は茶色が最も大きく、次に、青色、そして赤色でした。先生が教科書の図に沿って説明をされたので、あなたの中の塊は説明と共に大きくなり、そして、新しい用語を聴くと青色が増えました。青色ができると茶色からアクセスして赤色に変わり、更に茶色へと変わります。一通り、先生の説明が終わった時、赤色が最も大きく、次に青色、茶色は一番小さくなってました。生徒が先生に質問をします。その質疑応答によって、青色→赤色→茶色と知識がどんどんと「定着」して行きます。最後、残った青色の中から2箇所と赤色の中から1箇所についてあなたは先生に質問をしました。その結果、青色は赤色に変わり、赤色は茶色に変わりました。この授業が終わった時、あなたの塊は最初に比べて20倍に膨らんでいました。内訳は茶色と赤色がほぼ半々で、青色が2箇所残りました。休憩時間、生物学に詳しい級友に質問をして青色はなくなりましたが、赤色と茶色はほぼ半々の状態でした。学校が終わった頃には茶色が3/4、赤色が1/4。一緒に帰宅した級友とお互いに知りたいことを相手に尋ねお互いの疑問を解消。最後に残った「細胞内情報伝達」は、帰宅して夕食後、ネットで調べて茶色になりました。これで、この日に受講した「タンパク質の生合成」の知識はあなたの脳に定着。この時塊は当初の30倍に膨らんでいました。
睡眠により、この塊の世界観との融合が進み、翌朝には当初の15倍の塊になっていました。あなたの世界観としての増加は5%程度ですが、赤色が20%も増加していました。これは、「タンパク質の生合成」が生命の基本原理に近い情報であるため、あなたが関連付けた領域が広範囲に及んでいたことが原因として考えられます。あなたの脳の世界観を覗くと「タンパク質の生合成」は、「細胞」「生命体」「製造業」「健康」「情報処理」「principle(たった一つの行動原理)」との境界に赤色が偏在していました。そして、ところどころ、赤色の中に青色が。これは、あなたの世界観が「タンパク質の生合成」と他の領域との関係性を構築している活動そのものです。実は、「タンパク質の生合成」の授業の開始時の塊は、この「細胞」から「健康」までの領域から情報を受け取って創ったモノでした。途中から「情報処理」と「principle」が加わりました。
例え話はここまでです。
元々、取り込もうとする新しい世界は、体感覚と共通する何かを持って居ます。新しい世界を取り込むコトを意思決定した時には、既存の体感覚のどこらへんに取り込むかという当たりがついています。
この当たりをつける能力は、新しい世界を取り込む回数が増えれば増えるだけ高くなります。一種の慣れもありますが、自分の体感覚への理解が進むコトと、知らない世界を探索する能力が高まるためです。
“この本の全体を通して、つぎのような質問に答えていく。
コンピュータは知能を持つことができるか?
ニューラルネットワークは知能を備えた機械に発展しないのか?
脳がどのように働くかを解明することは、なぜそれほど難しかったのか?
振る舞いで定義できないのなら、いったい知能とは何なのか?
脳は実際にどのように働くのか?
新しい理論によって、つぎに何がわかるのか?
知能を備えた機械をつくることは可能か?その用途は?”
(ジェフ・ホーキンス, サンドラ・ブレイクスリー著, 伊藤文英訳, 考える脳考えるコンピュータ,P.13, ランダムハウス講談社, 2005)
また、好奇心は体感覚を成長させ、当たりをつける能力を高める入口です。
ここでお示しした現象をあなたは次の場面で体験されています。
不安。正に、新しい世界を取り込む時の感情になります。当たりをつける能力が高まれば、不安にかられる時間が短くなります。
“学習や記憶の能力が発達すると、個体は、事実や出来事に関する記憶形成、想起、操作することができるようになり、知識と感情に基盤を置く新たなレベルの知性が発達する道が開けた。この知的能力の拡大のプロセスに、やがて話し言葉が加わり、観念と言葉と文の間のやり取りがたやすくできるようになる。そこからは、創造性の洪水は抑えられなくなる。こうして自然選択は、特定の行動、実践、道具の背後にある観念の劇場を征服し、文化的な進化の連携が可能になったのだ。後者には、社会的な相互作用や共有されたいとによって生じた種々の複雑な状況における他個体の行動が、典型的なものとして含まれる。そのような行動の多くは、その個体の持つ衝動、動悸、情動に左右される。”
(アントニオ・ダマシオ著, 高橋洋訳, 進化の意外な順序, P.44, 白楊社, 2019)
パーティに参加して、ある特定のヒトと長時間話し込んでいる時。対話が弾み、新しい世界をどんどんと取り込んでいる状況です。
会うヒト、会うヒトと話が弾み、2時間のパーティで3名としか話をしなかったと言う経験はありませんか?
例え話の「タンパク質の生合成」も、あなたの興味度の高い領域になると塊は最初から茶色が大きく、青色→赤色→茶色の相転移のスピードもどんどんと速くなります。この相転移のスピードを制御するのは前後の色の比率です。青>赤よりも青<赤の方が相転移のスピードは速くなります。同様に赤>茶よりも赤<茶の方が相転移スピードは速くなります。興味度が高いと蓄積している情報量も多くなるので、そもそも、青色が現れにくくなります。他の領域との連携の取り方も興味度が高くなれば速くなります。
経験を積んだ専門家が他の領域の知識を貪欲に吸収したり、様々なヒトと会いたがるのは、自分の専門分野における新しい発見が、どんどんと無くなって行ってしまうからです。専門家の「快」の共通点として、”専門分野の情報に「広く」「深く」「速く」精通している状態”を挙げたいと思います。
世界を一体化しながら幸せな時間を過ごすと体感覚が”超成長”します。
#affirmativeArchitect
【FB, すべてのヒトが幸せになれる世界へ 15, 20180331】
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