第93回天皇杯 横浜Fマリノスの優勝
2024/07/08
皆さん、こんにちはfootball CoachのSHIMOMURA Takujiです。
「勝ちたいという想いの強い方が勝つ」
プロローグ
昨日、テレビで第93回天皇杯を観戦しました。
横浜Fマリノスがサンフレッチェ広島を下して優勝しました。
マリノス優勝おめでとうございます。
闘い方(スタイル)
試合開始からマリノスがしかけて、サンフレッチェは様子見。
ペナルティエリア付近では、ドリブルで相手の陣形を崩すマリノスとパスワークで相手の陣形を崩すサンフレッチェ。
両チームの闘い方にはこんな違いがありました。
ゴールシーン
ペナルティーエリアにドリブルで侵入されると対応が難しい。それは、ファールをするとPKになるからです。
マリノスの1点目を振り返りましょう。
右DFの小林選手がドリブルでペナルティエリアに侵入しました。こぼれたボールが兵藤選手を経由して斉藤選手に流れてワンタッチでシュートしてゴールが決まりました。
ライナーのクロスは対応が難しい。それは、守備側に余裕がなくなるからです。
マリノスの2点目を振り返りましょう。
中村選手のコーナーキック。中町選手がゴールから離れながらヘッディングシュート、キーパーがボールをはじいたところに中澤選手が走りこんでヘディングしてゴールが決まりました。
ゴールシーンの動画はこちら。
http://soccer-douga.com/douga/12497/(20240708 リンク切れを確認)
ゴールシーンからの学び
ヒトは予測を立てて行動しています。サッカーの試合では選手は瞬間的に状況を把握し予測してプレーしています。
ボールと両チームの選手の軌跡を予測してポジショニングします。
ボールの軌跡を予測してタッチしたりキックしたりします。
斉藤選手があのポジションに居なくてもシュートできたでしょうか。
中澤選手があのポジションに走りこんでいなくてもゴールは決まっていたでしょうか。
予測とプレー
瞬間的に状況を把握し予測してプレーする。この当たり前のことを現実化するためには何が必要でしょうか。
以下に、私が選手として試合中に予測してプレーしていた状況を説明します。
サッカーの試合では、予測の目的はゴールです。どうすればゴールできるかということを予測します。
「1分後にゴールするために予測する。」これは現実的でしょうか。刻一刻と状況の変わるサッカーの試合では意味がありません。予測した瞬間から1分間、その通りに試合が動く確率は限りなく0に近いでしょう。
私の経験では現実的な予測の間隔は3秒です。3秒後を予測しながらプレーしていました。もちろん、3秒間のうちに予測が現実化しなかった瞬間に、次の予測を立てていました。また、ピッチの場所によって、選手の密度によって予測の間隔が短くなったり、長くなったりしていました。
なお、相手チームがボールを保持している場合、まず、ボールを奪わなければゴールできないので、ボールを奪うことをベビーステップにしてました。
攻撃の予測
攻撃の場面では、ゴールの確率を高めるためのボールの軌跡を両チームの選手の軌跡とともに予測していました(道筋の予測)。なお、ボールが奪われた瞬間に、守備の場面での予測に切り替わります。
この予測の前提は、自チームは最後には相手ゴール前にボールを運ぶということです。そして、予測には自身は直接ボールを扱うか、コーチングするかを含めていました。
自身がボールを保持していなければ、まず、ボールを保持している味方選手の意図を予測します。
「相手選手がボールを奪いに来る争点がどこになるか、その時、自身はどこに居ればチームとしてボールを運びやすいか。そして、その争点からボールをどの方向に動かせば、ゴールの確率が高くなるか、それをサポートするために自身はどう動けばよいか。争点をクリアした後、次の争点はどこになるか。その時、ボールを保持している味方選手の意図。」を予測します(そして、最初に戻る)。
自身がボールを保持していれば、「相手選手がボールを奪いに来る争点はどこになるか、その時、自身をサポートする味方選手は誰でどこに居るのか。その争点では相手選手を抜くのか、味方にパスするのか。争点をクリアした後、次の争点はどこになるか。その時、ボールを保持している味方選手の意図。」を予測します(そして、最初に戻る)。
守備の予測
守備の場面では、相手チームのゴールの確率を下げるためのボールの軌跡を両チームの選手の軌跡とともに予測していました(道筋の予測)。なお、ボールを奪った瞬間に、攻撃の場面での予測に切り替えます。
この予測の前提は、相手チームは最後には自ゴール前にボールを運んでくるということです。そして、予測には自身が直接ボールを奪いに行くか、コーチングするかを含めていました。
まず、ボールを保持している相手選手の意図を予測します。
パスすると予測すれば、「キック力を予測します。次に自ゴールに一番近い相手選手から順番にパスの受け手を予測します。そのパスをカットできるかできないかと同時に、パスの受け手にボールが渡った瞬間に味方の誰がマークするか。パスが通った場合、ボールを保持している相手選手の意図。」を予測します(そして、最初に戻る)。
ドリブルすると予測すれば、「フェイントの能力とドリブルのスピード及びスタイルを予測します。次にその選手をマークする味方がボールを奪うのか、抜かれるかと、そのタイミングを予測します。抜かれた場合、次に誰がマークするのか。ボールを保持している相手選手の意図。」を予測します(そして、最初に戻る)。
プレー
予測した通りプレーできた場面とできなかった場面はありますが、全てのプレーを次のプレーのBackgroundにしていました。
プレーをボールの有無によって整理します。ボールを扱う技術にはボールコントロール、ドリブル、キック、ヘディング、スローイング、キャッチングがあります。ボールを扱わない技術にはポジショニング、コーチングがあります。フェイントは両者共通の技術です。
試合が始まると相手チームの能力を把握するために、しかけて情報収集しました。目の前の選手のドリブル対応能力、キーパーのクロス対応能力やキャッチング能力、最終ラインのカバーリング能力、相手チームの各選手のプレースタイル。
情報収集しながら、相手を崩す手段を探ります。そのアイデアが浮かべば即実行。これを繰り返すことで、ゴールを奪うための探索的なプレーから検証的なプレーへと変化して行きました。チーム全体として検証的なプレーに切り替えていくには、言葉及び行動によるコミュニケーション技術が必要となります。
試合中、どのポジションに居たとしてもやることは一緒です。まず、目の前の相手選手に勝つ。次に、味方ボールの場面ではゴールを奪う、相手ボールの場面ではボールを奪う。これを常時、情報収集と学習(予測とプレーの繰り返しによる)をしながら試合終了まで続けていました。
精度
ゴールを決めて相手チームに勝利することを考えると、それを可能にする予測の精度とプレーの精度が求められます。
これら2つの精度は、意図した通りにゴールを奪うこと、相手チームのゴールを防ぐことに直結するからです。
再度、マリノスのゴールシーンを振り返りましょう。
1点目の斉藤選手のシュートと2点目の中村選手のコーナーキック。キックの角度がずれていても決まっていたでしょうか。ボールスピードが遅くても決まっていたでしょうか。
1点目の斉藤選手のシュート。向こう側に居たサンフレッチェの選手が斉藤選手を完全にマークしていてもゴールは決まっていたでしょうか。
2点目の中町選手のヘディング。サンフレッチェの選手が競り合っていたとしてもゴールは決まっていたでしょうか。
ゴールシーンには予測の精度とプレーの精度の重要性を認知できる情報が詰まってます。
選手とコーチの成長
予測した瞬間からプレーが始まります。意図したとおりにプレーする。ひいては、意図したとおりに試合を展開する。そのために予測の精度及びプレーの精度を高めて選手は専門化して行きます。コーチは選手の専門化を「気付き」により支援するためにトレーニングメニューを開発します。この観点からコーチは専門化して行きます。
勝ちたいという想いの強いチームは、必然的に予測の精度及びプレーの精度が高まります。そのためにできることは全て実行する。
その意志を全員が共有しているか。その意志を妥協することなくどのレベルで実行して来たか。それを試合でも実行できたか。
これらを自問自答し、抽出された課題を克服し続けるチームが、最終的に勝つのだと考えます。
成長と人財育成
「勝ちたいと強く想う」から「予測の精度とプレーの精度を高める」というプロセスは、サッカーのみならずスポーツ全般に、そしてあらゆる仕事にも共有できるプロセスではないでしょうか。それは、個人の視点では成長、そして組織の視点では人財育成のプロセスそのものだからだと思います。如何ですか。
エピローグ
勝ちたいと強く想い、その想いを実現するために予測の精度とプレーの精度を高めるのは何故か。その理由は様々であるとも言えるし、かなりの部分共通しているとも言えると思います。Backgroundによって表現方法が異なるだけかもしれませんね。
私は、その表現方法を選択した理由が理念にあたるのではないかと思っています。
あなたが最も成果を上げたいと想われている場面での「勝ち」(成果)をどう定義されますか?
あなたがその場面で勝つ(成果を上げる)ために何を予測していますか?
その予測の精度を測る指標は何ですか?
あなたがその場面で勝つために何をプレーしていますか?
そのプレーの精度を測る指標は何ですか?
変更管理
20240708 ゴールシーンの動画(20240708 リンク切れを確認)
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