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自律分散型組織のティールから学んだ

      2019/09/16


自律分散型組織のティールから学んだ「きっと『マインドに宿った遊び心』は、私に生涯に渡る幸せと、なりたい自分を齎す原動力になってくれるでしょう。これはあなたにも起きている、もしくは起きると信じています。」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)

2018年11月2日、「第3回二之湯先生とティール」(株式会社ワークハピネス主催)に参加して参りました。

働き方改革→個人の能力開発の流れを社会に作る。このための体制作りと設計図作成のための情報収集が目的でした。

登壇者をご紹介します。
参議院議員の二之湯たけしさん。国会でティール組織をご紹介されました。
組織をティール、もしくは、それに近い形で経営されている企業の代表者も3名ご登壇されました。
ダイヤモンドメディア株式会社 武井浩三さん
株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役 柴田紳さん
gCストーリー株式会社 常務取締役 萩原典子さん

ティール組織は、自律分散型組織のモデルとして、フレデリック・ラルーさんが提唱されています。階層構造を持たず、社員の自発性を頼りに成果をあげる組織です。従来の階層型組織よりも、より個人の能力を発揮しやすい組織として注目されています。



参議院議員 二之湯たけしさんのお話を要約すると。
国全体をティールにして活性化させたい。高度経済成長期のやり方を脱却できない昭和病が今の社会の活力を削いでいる。ティールを一部の優秀なヒトだけでなく、多種多様なヒトが参加できる組織にしていきたい。植物にさくらやシダやばらがあるように、ヒトにも様々である。それを一律にさくらになりなさいという社会はどうかと思う。


ダイヤモンドメディア株式会社 武井浩三さんのお話を要約すると。
自然経営(じねんけいえい)を掲げ、会社の目標は設定していない。階層構造を作らず、内発的動機で仕事をすることを推奨している。昭和に成功した経営者の哲学は「根性論」に思えた。そのヒトが居なくなった組織はどうなるのか。こんな疑問を持った。自分の給料は自分で決めている。自分を含めて社員の給料と経費をオープンにしている。そうすると経費が減ってくる。ITを扱っているが、どんなシステムを取り込むかは社員に任せている。取り込むのは自由だけれども使わなければ削除する。やめる方法を幾つも持っている。



“そしてシンプルに良い会社を目指した結果生まれた考え方や仕組みが、「自分の給料は自分で決める」、「働く時間、場所、休みは自由」、「財務情報は全てオープン」など、最近では「ホラクラシー経営」と呼ばれるような取り組みです。”
(ダイヤモンドメディア株式会社ホームページより)


株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役 柴田紳さんのお話を要約すると。
大企業にいるとき組織のあり方に疑問を持っていた。ネットプロテクションの社長になってから関係者全員が幸福に働ける組織作りに挑戦を続けている。正社員は企画とマネジメント。アウトソーシングを活用している。採用基準に従って採用したら既存の会社の枠組みでは受け止めきれないメンバーが集まった。社会に貢献するスーパーリーダーを育成する組織にして行きたい。

“そんな今までの諦められていた常識を変えて、すべての人や企業がフラットである状態。もし、そんな世界を「つぎのアタリマエ」にできたなら、とても素敵だと思いませんか。これこそが、私たちネットプロテクションズが目指す世界。誰かが笑った理想論を、未来の常識にしていこうと本気で考えています。”
(株式会社ネットプロテクションズホームページより)


gCストーリー株式会社  常務取締役 萩原典子さんのお話を要約すると。
社長が起業するとき4名で立ち上げた。今、残っているのは社長と私の二人。今はトップダウンの目標を掲げない会社になったが、前職のリクルートは真逆なトップダウンで猛烈に仕事をすることが求められていた。起業してから会社がうまくいかない時期が続いたけれども理念経営を掲げるようになってから上手く回りはじめた。組織の階層構造をなくすためマネージャーを廃止した。これを実行したのは、社員のマインドとしてその状況ができていたと感じたから。その後、自発的に活動できる社員は楽しそうに仕事をするようになった。社長は会社にいると社員の仕事に口出しをしたくなるので、出社は週2日程度になった。権限委譲が進んでいる。

“貢献のための成長
これが弊社の冠であるgC(growth for Contribution)の由来です。
個人の生き方を考えた時、社業の成長を考えた時、人類の行く末を考えた時
自分達(個人、会社、人類)だけの事を考えるのか?範囲を広げ、助け合い、分かち合い、つながっていく事を考えるのか?
この二極のどちらを選ぶのか?を私たちが問われている気がしてなりません。そして、もはやその答えは明確だと思います。”
(gCストーリー株式会社ホームページより)

ご登壇された皆様は、社会の現状に違和感を感じられ、その違和感を解消する手段として自律分散型組織、ティールに注目されていらっしゃいました。共通のテーマは個人の幸せを組織や国で実現する。

私はFootball(サッカー)に夢中になってから個人と組織との良い関係に興味を持っていました。製薬会社に入社してからもこのテーマをずっと持ち続け、「良い組織が良い個人を育て、良い個人が良い組織を設計する」と考えるようになり、そんな組織を設計して提案していました。技術経営の修士課程では「モノ創り」における個人と組織との関係性を新製品開発担当者の視点から体系的に学び直しました。その結果、私なりに出した理想的な組織は「サッカー型組織」です。誰よりも早く動き出した個人をお互いにサポートしあう関係性を持った組織。

新薬開発をティールで実行できたら楽しそうですが、なかなか難しそうだなあと思っています。振り返ると新薬開発はすべての部門が繋がる仕事だったので、顧客や行政対応等の解決したい課題があれば、個人的に自律分散的に仕事をしていたことに氣づきました。

ここで、本記事における言葉の使い方を整理しておきます。ここまでは「ティール」という言葉を使いましたが、ここからは「自律分散型組織」に統一します。「ティール」は「自律分散型組織」の一形態です。

“その上、私たちには、「更なる困難」も待ち受けています。それは組織開発が「現場を持つ実務」であり「現場の人を支える実戦」である宿命から生まれます。端的に申しますと、「組織開発の実務・現場の世界」は、いつも「定義」を超えてしまうのです。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.28, ダイヤモンド社, 2018)

新薬開発の場合、法律で会社の体制そのものが要件になっています。その体制は、ある意味階層型です。この階層を前提にすると、自律分散にできるのはある機能を担っている部門内か、法律で決められた体制の枠外に限定されます。

今回知った自律分散型組織の具体的な事例から判断すると、新薬開発において自律分散的に仕事ができる場面は限られてくるようです。

この場面は、多分、多くの製造業に共通する場面でもあるでしょう。

抽象的な表現になりますが、製造業で自律分散的に仕事ができるのは次の2つの場面です。なお、製造業に標準と方針が必要なのは製品の品質保証のためです。

・標準が決まるまでの組織的な思考と行動は自律分散、標準に従った実行は階層構造。
・方針が決まるまでの組織的な思考と行動は自律分散、方針に従った実行は階層構造。

組織では個人で完結する仕事はまずありません。仕事を始める前に仲間と合意しておかないと、仕事の実行ではなく調整に大半の時間を費やすことになります。従って、お互いが無駄を排して仕事をするためには、様々なレベルの標準や方針が必要になります。これを必要だと感じた個人が起点となって自律分散型組織でみんなで決めます。

実行の「階層構造」は「情報処理」の階層構造です。個人が行動した結果を個人は記憶し、その一部を組織が共有しますね。製造業の会社では社長を頂点として市場調査、研究開発、製造販売、経営企画等の専門部署が配置されています。これは、過去の業務経験を担当部署に知識として蓄積し、社内に必要な専門家を育成して経営資源を最大限に有効活用するためです。専門家を育成する過程、情報伝達の経路とも階層があります。

そのために製造業では一般的に組織は階層構造をとっています。属人的な仕事の体制では情報や知識の交換が「個人の関係性」で決まります。従って、組織の体制を階層構造にせざるを得ません。しかし、仕事が属人的でなくなれば、組織は階層構造でなくても実行できます。ただし、仕事を属人的にしないためには、個人が複数の専門性を「要件を満たして」持っていることが必要になります。例えば、3ヶ月前に市場調査を担当していた個人が、今は製造販売を担当している状況を実現するためです。どちらも、専門家のレベルで実施できなければ、会社の信頼を失うことになるかも知れません。
従って、標準が決まった後も、または方針が決まった後も自律分散で仕事を進めるには、個人が単能ではなく多能になることが条件になります。

最後にパートの自律分散で操業している
工場「パプアニューギニア海産」の事例 をご紹介します。パートの働き方に焦点を当てた働き方改革です。嫌いな作業はやってはいけない。出社退社は自己申告、休みの連絡はなくても良い等。ユニークな体制を実践されています。パートが全員休んだ日はなく、パートの人数不足は社員が補います。

私の中では階層型組織から自律分散型組織に移行するためのポイントとその流れをモデル化できました。組織の生産性と個人の能力開発の2軸です。
このモデルを「働き方改革場」に適用して、マインド・ドリブン・ソサイエティの推進力にします。

サッカー型組織で働き方改革を実現したい経営者の方、
こちらのお問い合わせ からご連絡ください。

そして、

マインド・ドリブン・ソサイエティと戦略的提携関係を結びませんか?
お互いの理想に相乗効果を持たせて一緒に実現して行きましょう。

ご興味のある方、
こちらのお問い合わせ からご連絡を下さい。

#個人と組織の段階的な相転移

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