生命体のプリンシプル
2018/12/17
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2018年9月10日、人工知能の研究者の輪読会に参加して参りました。ほとんどの方が既に面識のある輪読会。
ここではテーマの一つ「ユニバーサル・テスト」を取り上げます。
発表者の説明では、これだけで人工知能が規格通りであることを評価できるテストです。
課題本の著者の結論は、ユニバーサル・テストは難しいでした。どんな動物の人工知能も一つのテストで評価するのはいかにも難しそうですね。ユニバーサル・テストに使用する機器のレンジと効率および精度のトレードオフを考慮するための3つのコンセプトが示されていました。
・第1:主題に応じた異なるインターフェイスを使用する。
・第2:適応テストの使用
・第3:普遍的なテストが困難と差別に対する経験的アプローチに頼ることができない。
第3のコンセプトは、部分集合の評価の体験はそのままでは全体の評価には適用できないことを示していると理解しました。第2のコンセプトはinputの適格性をテストしてその結果をインターフェイスに反映するとより鋭敏な評価が可能になると理解しました。
人工知能のユニバーサル・テストは、生命体の知能の共通点を明らかにしなければ実現できないように思えます。生命体の特定にはウィルスをどう扱うのかという問いへの回答が必要となります。
その次の問いは意識です。意識はどこから発生するのか。
非常に乱暴な進め方ですが、私なりの結論をここでお示しします。
生命体とは「inputをoutputに変える変換器」です。まだ人類は、すべての生命体の意図を理解できるレベルで自然の法則を読み解けていません。
次の3つを満たすのが生命体の条件だと私は考えています。
・変化を生み出す時空間の最小単位を持っている。
・時空間の最小単位から個体レベルにまで反応を相転移させる変換器を持つ。
・それが所属する生態系の構成要素である。
知能は自らの仕組みによりvelocity(方向とスピード)を生み出す存在です。このvelocityは生命体自らは観測できなくて、観測者の視点によるvelocityとなります。ただ、自らが起こしたvelocityが生態系にどう影響を及ぼしたのかの自己評価はできます。
“この経験は、クルト・レヴィンに大きなインスピレーションを与えました。『この方法は、自分の行動が他の人にどう映るのかや、チームに対する自分の貢献度合いなどを振り返って学ぶ手段として非常に効果的なのではないか』と彼は考えました。そしてのちに、こうした場が『Tグループ(トレーニング・グループの略)』と名付けられました。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.136, ダイヤモンド社, 2018)
ユニバーサル・テストは難しけれどもそのうち可能になると私は理解しました。
生命体のプリンシプル(たった一つの行動原理)を特定して、適応テストによりその生命体の仕組みを認識し、その認識を反映したインターフェイスを組み上げる、「身体性」を組み込んだ機器になるでしょう。
ヒトが世界を理解するための知識技術「認知科学」「社会生態学」と、ヒトが意図を実現するための知識技術「コーチング」「Knowledge Management」の「共有知」が「生命体のプリンシプル」になると感じています。
産業革命以後の大量生産、大量消費の世界では、個別の物でヒトの欲求を満たす活動が席巻しました。ヒトの欲求には限りがないので、個別の物ではなく、望む感覚や体験が得られる何かに欲求の中心が移って来ました。本当に望む物は一人一人違うけれども、それを明確に示せるヒトは少ない。何故ならば、本当に望む物はピンポイントではなくエリアとしてヒトは持っているからです。それは、物ではありません。求めているモノは感覚であり、物理的な物はそれを得るための手段にしかなりません。
ヒトは個別で独自な存在だから、大量生産、大量消費を推進する社会には、本来、無理があります。本当に求めているのは物でもないし、消費でもない。これに氣づいて多くのヒトが行動を変えていて、その傾向はどんどんと強まって行くでしょう。
自然の法則に従い、社会がその方向に向かう一つのモデルとして「学校と図書館に自然とヒトが集まるコミュニティ」を提案しています。
よろしかったら、一緒に実現しませんか?
#超幸せビッグバン企業
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