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サッカー型組織とサッカー型社会

      2019/07/01


サッカー型組織とサッカー型社会「ここでの私の行動は、コーチとして選手の成長を支援するコトに幸せを感じて、場としてサッカーチームを選択し、役割として小学生のコーチを選択しました。これは、既に存在している場、既に存在している役割を選択して幸せであろうとした事例です。  図4.ヒトの活動の3要素」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)

2018年12月27日に内閣府より「人間中心のAI社会原則(案)」が公表されました。

本原則は「人間中心のAI社会原則検討会議」で2018年5月から11月まで合計7回の会議の成果です。

「人間中心のAI社会原則検討会議(以下「検討会議」という。)は、AIをより良い形で社会実装し共有するための基本原則となる人間中心のAI社会原則(Principles of Human-centric AI society、以下「原則」という。)を策定し、同原則をG7及びOECD等の国際的な議論に供するため、AI技術並びにAIの中長期的な研究開発及び利活用等に当たって考慮すべき倫理等に関する基本原則について、産学民官のマルチステークホルダーによる幅広い視野からの調査・検討を行うことを目的とする。」

私はCoachingAI「クライアントの内面の矛盾を検知して、その矛盾に氣づいて頂けるように質問を繰り返すAI」の開発を開始した時から、AIのPrinciple(たった一つの行動原理)を探していました。これは生命体のデフォルトと言えるモノで、ヒトが社会を構成して生きる目的を示すと考えています。AIのPrincipleは、ヒトのPrincipleであり、一人一人の幸せがテーマとなります。

“これら一連の発見では、「未完の達成課題には心理的緊張が伴うので、達成課題よりも想起されやすい」ことも示唆されたといいます。ツァイガルニクによれば、「課題遂行の完了」を通して人は、自らのゲシュタルトを「閉合(完了)」することができるといいます。ゲシュタルトが「閉合」した場合、人は、そのゲシュタルトを素通りすることができます。しかし、これを課題が「未完」の状態に終わり、自らのゲシュタルトを「閉号」できない場合には、いわば「心残り」としてその人の中に記憶として残り続け、心理的緊張を高めてしまいます。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.147, ダイヤモンド社, 2018)

そして、

2018年8月20日に電子書籍「マインド・ドリブン・ソサイエティα」(以下、拙著)を出版。「すべてのヒトが幸せになれる社会」の実現に向けての社会アーキテクチャ(社会の設計図)を提案しました。残念ながらこの時点でPrincipleを明らかにできませんでした。

その後、このブログのタイトルにもなっている「理念の体現」がPrincipleではないかと思えるようになりました。

そこで、今回、本原則(案)と拙著との共通点を読み解いて、principleに迫りたいと思います。

まずは、結論から。

人間中心のAI社会原則(案)とマインド・ドリブン・ソサイエティ(以下、MDS)は非常に親和性が良いと考えられます。
一人一人が幸せになるためには、自分の幸せにリーダーシップを発揮できる環境を自らが創る。
そのために、入手した情報の質を自らが判断できる能力が必要である。
AIはその能力を拡張する役割がある。が、AIは不明領域を抱えるヒトが創ったモノであり、完璧ではない。
AIが出した答えも、意見の一つに過ぎない。

「Society 5.0 で実現する社会とは、AI、IoT(Internet of Things)、ロボット等先端技術が社会に実装され、今までにない新たな価値
を生み出し、多様な人々がそれぞれの多様な幸せを尊重し合い、実現でき、持続可能な人間中心の社会である。」

本原則で示されているSociety 5.0は、すべてのヒトが幸せになれる地球であると読み取れるのですが如何でしょうか?

それでは、個々の具体的な内容を読み解いて行きましょう。

「本文書は人間中心のAI社会原則検討会議がとりまとめる人間中心のAI社会原則の草案である。今後、国内外から広く意見を募った上で 2019 年 3 月に本原則を策定する予定である。

1 はじめに
現代社会は地球環境問題、格差の拡大、資源枯渇等、人類の存続に関わる問題に直面している。AI はこれらの問題の解を導きSDGs(Sustainable Development Goals)で掲げられている 17 目標を解決し、持続可能な世界の構築するための鍵となる技術と考えられている。

・・・」

MDSでは、汎用人工知能の社会実装と、食糧とエネルギーの生態系の研究開発により食糧とエネルギーの無料化を掲げています。

「2 基本理念
AI は、Society 5.0 の実現に大きく貢献することが期待される。我々は、単に AI の活用による効率性や利便性から得られる利益が人々や社会に還元されることにとどまらず、AIを人類の公共財として活用し、社会の在り方の質的変化や真のイノベーションを通じて、SDGs などで指摘される地球規模の持続可能性へとつなげることが重要と考える。

(1) 人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)

・・・

(2) 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion)

・・・

(3) 持続性ある社会(Sustainability)

・・・」

「Society 5.0の実現にAIが貢献する構図」は、「MDSの実現にヒトが認知の壁を突破するのを支援するAIの構図」と同じだと考えられます。また、MDSでは自己承認と他者承認のバランスが取れた個人の育成、人財育成を社会の中心に据えています。自己肯定感(今の自分で良いという感覚)を持ち自己効力感(なりたい自分になれそうな感覚)を自ら高めるヒトが自然と育つ社会アーキテクチャを提案しています。例えば、小学校、中学校でコーチングとリアル起業家教育を当たり前にして、社会との接点の創り方を学びます。そして、生涯続く、主体的、対話的で深い学びにより、一人一人が大切にしている何かを、自分にしかできない何かに結びつけて、誰かの役に立てる仕事を生み出していく社会です。

「3 Society 5.0 実現に必要な社会変革『AI-Ready な社会』
Society 5.0 の実現への貢献が期待される技術には、IoT、ロボティックス、超高速広帯域通信網等と並んで AI がある。AI を用いて複雑な処理を機械にある程度任せられることが可能になっても、『何のために AI を用いるのか」という目的設定は、人間が行う必要がある。AI は、社会を良くするために使うことも可能であれば、望ましくない目的達成のために使われたり、無自覚に不適切に使われたりすることもありうる。そのため、我々は、『何のために AI を用いるのか』に答えられるような『人』、『社会システム』、『産業構造』、『イノベーションシステム』、『ガバナンス』の在り方について、技術の進展との相互作用に留意しながら考える必要がある。

(1) 『人』

・・・

(2) 『社会システム』

・・・

(3) 『産業構造』

・・・

(4) 『イノベーションシステム』

・・・

(5) 『ガバナンス』

・・・」

「AI-Ready な社会」について具体的に述べられています。AIをヒトが使いこなせるようになる。この1点について触れられています。MDSでは、AIが出した答えも意見の一つとして扱うことを提案しています。一人一人が蓄積したデータを共有していくことについてMDSではKnowledge Management Systemが、一人一人の標準化した仕事を自動的にプログラム化して、それを他者が活用できるAIとして実現することを提案しています。また、個人の創造力の発揮には、例えば、小学校、中学校ではリアル起業家教育をカリキュラムに組み込み、一人の生徒に十人の先生(教員免許を持っていらっしゃる先生は一人でも良い、他は地元の大人)を配置する。そして、生徒には自分の疑問に答えてくれそうな先生を自分で見つけることを勧める。リアル起業家教育で自分と社会との接点を経験し、自分が社会に貢献するための課題に主体的に取り組む場面で、協力者を見つける感覚を養う。この体験は、その後の生徒の人生において主張と支援の感覚を育む起点となるでしょう。最後のガバナンス。これに必要なのは設計力です。そして、その設計力を支える俯瞰力が求められます。MDSでは、主体的に活動しているヒトが感じた違和感が、社会システムの変更の起点となることを想定しています。

「4 人間中心のAI社会原則
我々は、「AI-Ready な社会」を実現し、AI の適切で積極的な社会実装を推進するためには、各ステークホルダーが留意すべき基本原則を定めることが重要と考える。

・・・

4.1 AI 社会原則
AI 社会原則は、「AI-Ready な社会」において、国や自治体をはじめとする我が国社会全体、さらには多国間の枠組みで実現されるべき社会的枠組みに関する原則である。
(1) 人間中心の原則

・・・

(2) 教育・リテラシーの原則

・・・

 AI が広く浸透した社会において、教育環境は、一方的かつ均一的に教える教育の在り方から、個々人の持つ関心や力を活かす在り方へと変化すると考えられる。そのため、社会は、これまでの教育環境における成功体験に拘ることなく、常に最適な形へと柔軟に変化し続ける意識を全体として共有する。教育において、落伍者を出さないためのインタラクティブな教育環境や学ぶもの同士が連携できる環境が AI を活用して構築されることが望ましい。

 このような教育環境の整備に向けて、行政や学校(教員)に負担を押し付けるのではなく、民間企業や市民も主体性をもって取り組んでいくことが望ましい。

(3) プライバシー確保の原則

・・・

(4) セキュリティ確保の原則

・・・

(5) 公正競争確保の原則

・・・

(6) 公平性、説明責任及び透明性の原則

・・・

(7) イノベーションの原則

・・・

4.2. AI 開発利用原則
我々は、開発者及び事業者において、基本理念及び上記の AI 社会原則を踏まえた AI開発利用原則を定め、遵守するべきと考える。

・・・ 」

AI社会はある程度予測できているけれども開発の現状については整理できていないと読み取りました。「いいヒト」が中心となってAIの開発を勧めることが社会にとって安心材料になるのだろうと思います。また、開発の現状が公開されていて開発者が盲点となっているリスクを予め抽出できる社会環境が好ましいと感じました。拙著では、これらの課題はAIのPrincipleと、一人一人が相互に幸せを尊重する態度を身に着ける、社会システムに違和感を感じた本人がシステムの健全性をチェックする起点となることを提案しています。
「(2) 教育・リテラシーの原則」で抽出した内容は、既述の通りMDSでも提案をしている。

「5 おわりに
「AI-Ready な社会」を世界に先駆けて構築していくため、我が国は、本原則を政府、関係企業、団体等で共有し、政策等に反映させるべきである。
また、国際的な議論の場において、我が国は、本原則を世界各国と共有した上で、国際的な議論のリーダーシップをとり、コンセンサスの形成を目指すべきであり、それによって SDGs の実現を支える Society5.0 の社会像を世界に示し、国際社会の協調的かつ創造的な新たな発展に寄与すべきである。
なお、本原則は、今後、AI 関連技術の進展、社会の変化、世界の情勢等に応じて、今後柔軟に進化・発展させるものである。」

製薬会社に勤務していた1990年代からサッカー型組織を提案しています。これは、今で言う、自律分散型組織、ティール組織と非常に似た組織です。ただ、製品やサービスの品質保証や、組織でのKnowledge Managementの観点から組織の構造として階層が必要な部分があると私は考えています。サッカーの試合ではリーダーシップは一人一人の選手が持っています。逆に持っていないと試合が成立しません。今、判断してプレイする。ボールに最も近い選手の動きが他の選手のプレイを決めます。すべての選手がゲームに勝利することがチームの幸せ、自分の思い通りのプレイが自分の幸せだと感じて試合をしていると私は考えています。

社会のゴールがすべてのヒトの幸せであるならば、MDSはSociety 5.0の一つのモデルとしてお示しできると確信しました。

最後になりましたが、拙著における主張を簡単にまとめますね。

ヒトの幸せを、「本当の自分からなりたい自分になること」と定義しました。
この「幸せの感覚」をデフォルトとしてヒトは持って生まれ、この感覚を頼りに思考と行動をしている。
すべてのヒトは共通する「幸せの感覚」を持って生まれるけれども、身体の設計図である遺伝子と過ごして来た時空間が一人一人異なるので、一人一人が独自の脳と独自の身体を持ち社会的な活動をしている。
独自の脳と独自の身体には、独自の「進化したデフォルト(標準)」があり、ヒトは困らない限りこの「進化したデフォルト」に従い思考と行動をしている。
お互いの「進化したデフォルト」が違うことはよく考えると理解できるが、普段、特に時間に迫られている時、この事実を忘れて議論してしまう。
これが多くのヒトの悩みの種となる。この悩みは「思い込み」を解くことでしか解決しない。
人類は認知の壁(「思い込み」)を突破することで文明を発展させてきた。新しい技術や知識は認知の壁を突破することで齎される。
自分の外見は姿見によって確認できるが、内面を確認する手段はない。
CoachingAIはクライアントの内面の姿見として、悩みの種である「思い込み」を解く鍵を提供するAIである。
一人一人が描く社会は一つとして同じモノはない。
一人一人が大切にしている何かをそのヒトにしかできない何かに結びつけることのできる社会。
それが、マインド・ドリブン・ソサイエティ。一人一人が主体的に生きるこの社会の実現を支援するのがAIの役割。

#すべてのヒトが幸せになれる地球

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