U-12のFootballer（サッカー選手）へ、リベロとトータルフットボールって知ってますか？

2021/02/26 2021/07/26

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2021年2月26日脱稿　
2021年3月　岐阜薬科大学サッカー部部誌「頌球第32号」掲載

本記事は、私の母校のサッカー部の部誌への投稿記事です。

1988年卒業の下村拓滋です。本稿では次世代の人財育成の一つのモデルをU-12のサッカー選手へのメッセージにしてお伝えします。このBackgroundは文末のQRコードをご参照下さい。それでは、本題に。

私はU-12のコーチ。目指しているのはトータルフットボール。一人一人がサッカーをよく理解して、チームに貢献するプレイを表現できる選手。それは、「試合のリズム」を掴み、自分の役割を果たす「今」を作れる選手。その意思決定をコーチングしています。

1970年代に現れたリベロとトータルフットボールは、それまでのサッカーを変えてしまいました。古いサッカーは選手が自分のポジションでプレイしていて、攻撃は攻撃、守備は守備に分かれていました。守備の選手がシュートを打つ場面はほとんどなく、バックの選手がいつの間にかトップにいるということもありませんでした。

リベロは、イタリア語で「自由な人」。ドイツのベッケンバウアー選手が現れて、このポジション名ができました。ベッケンバウアー選手のポジションはキーパーの前、最も後ろのバックでした。でも、チャンスになると相手のゴール前まで出て行ってシュートを決めていました。

ベッケンバウアー選手と同じ時代のもう一人の「自由な人」が「空飛ぶオランダ人」クライフ選手。当時のオランダ代表は、自由にポジションを変えるクライフ選手を中心に、他の選手もポジションを変える全員守備、全員攻撃のチーム。誰かがこの戦い方をトータルフットボールと名付けました。イメージしやすいように、実際のオランダ代表の動き方から日本語にすると「チーム全体がまるで生き物のように相手ボールを奪い、ゴールを奪うサッカー」になります。

ベッケンバウアー選手がどうしてそれまで誰もできなかったプレイができたのか。オランダ代表はどうしてそれまでどんなチームもできなかった戦い方ができたのか。この続きは、次の機会にお話しします。それまでに、考えて下さい。そして、それまで、誰もできなかったプレイ、それまでどこも実現できなかった戦い方をチームで実行して下さい。望めば、あなたもあなたのやり方で新しいサッカーを創って行けます。

最後に意思決定を説明します。意思決定とは、自分が何かを感じてから行動に移すまで、意識の中ですること。サッカーではパッと観て、パッと決めて、パッとプレイ。感じたら意思決定は一瞬ですね。私は3秒後までの展開を予測しながら、その予測を状況に合わせて変えながらプレイをしていました。多分、すべてのサッカー選手は展開を予想してプレイしているのでしょう。意思決定は２種類。リズムとタイミングをどう創るのかを決めることと、その時のプレイを決めること。試合全体のリズムとタイミングを自分のリズムとタイミングに合わせて行く感覚を持てるようになってください。試合中にあなたはチームと一体になる。この感覚を掴むことができれば、あなたはサッカーだけでなく、遊びや仕事、色々なところでリズムとタイミングを掴んで、上手く表現できるようになります。

あなたが自由にサッカーができるようになり、仲間が自由にプレイするチームを創って下さい。そして、そのチームをサッカーの外、つまり世界中へ広げて行かれることに期待します。自分の自由と幸せをあなたのリズムとタイミングで広げて行きましょう！