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フィンランドの幼児教育 ABLE 2020 FEBRUARY

      2021/10/13


フィンランドの幼児教育 ABLE 2020 FEBRUARY2020年2月23日投稿

2020年11月20日追記
フィンランドの幼児教育のコンセプトを取り込んだ”withコロナat人工知能時代の社会アーキテクチャ”の構築をデジタル庁アイデアボックスへ「チェンジ・リーダー・プラットフォーム」として提言をしました。

昨日(2020年2月22日)、ABLE 2020 FEBRUARY に参加してきました。

標題がテーマです。

twitterSHIMOMURA Takujiでも呟いていますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。

幼児教育の対象は未就学児です。小学校に入学する前の子供。

フィンランド、トゥルク大学、教師教育学部 幼児教育講座 教授 マアリット・シルベンさん。

フィンランドの幼児教育は、ECEC (Early Childhood Education and Care――幼児の教育と保育)プログラムが核となり、現場では幼児教育の専門家(高等教育を修了)を含む3名のチームになって活動する。ECECには道具としてのICTを扱うことも含まれている。専門家としての知識を定期的にブラッシュアップすることが求められている。
このチームが、一人一人の幼児のプランを両親と共に作成し、それを6ヶ月毎に見直す。このプランには、have to はありません。その日にやりきらなければならないモノは何一つない。
その子にとって大事なモノが何なのか、それを学ぶことを優先する。カリキュラムはそのための一つの手段であるとの扱い。その場その場のアドリブで手を打てるのが幼児教育の専門家。それができないと先生の資格はない。

遊びが学び。

幼児教育の現場はデイケア(幼稚園、因みにキンダーガーデンはドイツ語、幼児を植物のように育てるという意味。先生は職人さん)と呼ばれていて、外遊びを中心になります。遊び道具を予め用意するのではなく、その場で遊び道具を作る。木の枝や丸太が遊び道具となる。
動画で身体と言語を使ったカリキュラムを拝見しました。就学後、言語能力を獲得するためのBackgroundを一人一人の幼児への形成を促します。

日常が教育、遊び、生活の境界がない。すべての場面で全人格的な発達へのアプローチがある。
幼児へのフィードバックはポジティブなモノしかしない。
幼児が好ましく無い行動をしたとしても、その行動を無視する。咎めない。

会場で流れた動画とシルベンさんの解説です。なお、動画は後日、ABLEのHPにリンクをアップするとのことで、現地での録画は禁止された。

動画:幼児4名と先生が椅子に座って、テーブルの上でボードゲーム。

このボードゲームは、袋の中にあるカードを取って、そのカードを集めている参加者にそれを渡す。自分が集めているカードを引けば嬉しい、という感覚になるようです。

一人の幼児が引いたカードを向かいの幼児に向かって投げました。カードは投げた勢いでテーブルから落ちました。先生は、カードを投げた幼児に何も言わず、床に落ちているカードを拾って、向かいの幼児の前に置きました。

カードを投げた幼児は、自分の右隣の幼児が自分の左隣の幼児にカードを渡そうとすると、そのカードを受け取って渡してあげました。

動画:デイケアから近くの森に遊びに行きます。

一列に並んで森に行く道中も学び。
途中の信号では信号機を見て、右左を見て車がきていないことをみんなで確認。

外遊びのルールは自分たちで決める。先生が決めたルールを守るという発想では無い。

森に入ると自由。
先生のそばにいなくても良い。先生が先回りして行動しない。例えば、幼児が丸太を動かしたいと思ったら、先生にそれを手伝って欲しいとお願いをする。森を出るとまた先生と一緒になる。

動画:移民の子供が和になって身体を動かしながら歌っています。

言葉をまだ覚えていないので、言葉の音で遊ぶように唄って、身体を動かします。その和に入らない子供が一人いました。先生がその子と対話を始めて、やがてその子は和に加わりました。

言葉の習得が必要な幼児には、それに適したカリキュラムを創って遊びながら学ぶ。

言葉をシラブルに切って、繰り返し、その言葉をゼスチャーを加えて発音して音の感覚を身につける。言葉の連呼。
体全体を使って、音感を育てるカリキュラム。

講演後、広島県教育委員会の主体性を育む幼児教育の取り組みの、ドイツの予算を投入の合意が得にくい状況と専門学校の過程を修了した先生が幼児教育に取り組んでいる現状が報告された。

パネルディスカッションでは、各国の幼児教育の比較からの意見交換と質疑応答が行われた。

フィンランドの特筆すべき特徴は、幼児教育の専門家としての地位を国として確立をしていること。一人一人に幼児教育の専門家を中心とした3人体制の教育システムは日本にもドイツにもない。

フィンランドでは宿題もテストもない。でも、PISAでは上位国。アメリカでテストの弊害が証明されている。テストを前提に授業が行われるからである。日本のカリキュラムでは長文読解力がつかない。

次の質問をした。
「先生方のお話をお聞きしていると、幼児教育は主観(その子の価値観と世界がこんなモノだという感覚)の形成(その後、その子が人生を通して自分の必要なモノを学び続けられる主観)であると受け取れた。この見方は間違いないか?
→「そう理解して間違いない。」パネリストの一人、環太平洋大学 代表 内田伸子さんより、「保育所保育指針養護」の一覧表を頂いた(後日、ABLEのHPに掲載予定)。内田さんは、この一覧表にある「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」の10項目(健康な心と体、自立心、共同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会性との関わり、思考力の芽生え、自然との関わり・生命の尊重、数量・図形・文字等、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現)が、形成したい主観の総体とお考えでした。また、内田さんはヒトは10ヶ月齢から周囲との関係を構築しているとお考えで、幼児教育が最も重要であるとおっしゃってました。

イベント終了後、シルベンさんと直接対話をした。
私「私は今、汎用人工知能を開発しています。私と同じように考えるAIです。このAIを開発する上で、ヒトの発達、特に思考がどう形成されるのかを更に深く知る必要があると考え、本日はそのヒントを求めて参加しました。シルベンさんのレクチャーから、感情のコントロールと社会性(Social Intelligence)が幼児教育の柱になっていることを学びました。
幼児期から感情のコントロールと社会性を学び続ける、驚くことにヒトはやがて世界中で起きていることを感じることができるようになると私は考えています。」

シルベンさん「はい、幼児教育において感情のコントロールと周囲のヒト達との関係性構築は非常に重要です。その中でも思考をどのように形成するかが重要です。
世界を感じるとは、周囲のヒトの感情を感じることとして起きる現象だと理解しました。」

コメント
“その子の行動に間違いはない。それを前提に発達心理学を組み上げているように感じた。
とにかく、本人が氣付く、それを第一にカリキュラムを組んでいる。外遊びを中心にプランを組んでいる。
フィンランドの子供は自然の法則をいつの間にか身体で覚えている。
フィンランドの幼児教育のコンセプトは次の3つにあるように受け取れた。

一人一人の幼児の感情の尊重、身体感覚の統合、周囲のヒトとの関係構築。
コーチングもネガティブなフィードバックはしない。ネガティブな言葉をポジティブに言い換えて対話する。

きっと、ECECの基本的な考え方は、小学校、中学校、高校、大学の教育にも反映していて、フィンランドの文化になっているのだと思う。
ヒトの万能感、有能感を考えた時、自分の感情をコントロールして周囲との関係性を構築する能力は中核にあると感じた。
U-12のFootballer(サッカー選手)に是非とも伝授したい。”

#生涯学習、#自己組織化、#MultiDisciplinaryLearningPersonality
#KnowledgeAthlete

 - イベント, ケース, モデル, リーダーシップ, 下村拓滋, 学校, 幸福論, 意思決定, 成長, 社会, 自然, 言語化 , , , , , , , , , , ,

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