【意思決定クラブ】理念が現実を生み出す サッカーの世界から観えるモノ 5(下村)
意思決定コンサルタント 下村拓滋です。
前回のメルマガでは、
ワールドカップの歴史を振り返ると、2014年までにワールドカップ(20回)で優勝した8か国は、全て自国の監督がチームを率いて優勝。
2014年ドイツと2010年スペインの2カ国が取り組んだことは選手育成のシステム構築。日本でもトレセン制度、JFAアカデミー、Jリーグアカデミーで選手を育成しています。「日本が男子ワールドカップで優勝するための提言」。今やっていることを信じて続けていれば優勝できるのでしょうか。それとも、何か新しいしくみや考え方を取り入れた方が良いのでしょうか。
前回のメルマガはこちら。
http://manmodelmarketing.com/blog/744.html
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チームの強化は理念から。ご自身のチームを強化するポイントがここで得られます。サッカーのみならず、もちろんビジネスにも。
http://www.reservestock.jp/events/63192
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選手強化の体制は既に日本にもあります。
日本の体制とドイツの体制、スペインの体制は何が違うのでしょうか。
その違いが男子ワールドカップの成績の違いに現れているのでしょうか。
それとも・・・。
あなたとこれまで共有して来た事実から違いを考えて見ましょう。
まず、ドイツとスペインに共通していて日本にないモノ。
それは、両国ともサッカー先進地域の欧州にあること。
欧州がサッカー先進地域であることは、この20年間のワールドカップ優勝国、そしてこの10年間におけるクラブワールドカップ優勝チームの比率からも理解して頂けることとと思います。
・この20年間のワールドカップ優勝国に欧州の占める比率 80%
・この10年間のクラブワールドカップ優勝チームに欧州の占める比率 70%
単純に代表チームが、そして、選手が日常のリーグ戦で切瑳琢磨する環境が欧州にはあるということが大きな違いと言えるでしょう。
日本サッカー協会もアジアのレベルをあげることが日本のサッカーのレベルをあげることに繫がると考えて、求められれば日本人のコーチや監督を各国に送り出しています。そして、アジア各国からの希望者を対象にコーチ研修を行っています。
日常のサッカーの質を高めることが代表チームのレベルを上げること。
これも、日本サッカー協会が数年間言い続けていることです。
選手は試合によって成長する。
地理的な制約がなく、日本が欧州の中にあれば、自然と自国のリーグのレベルが上がり、代表チームのレベルが上がるのかもしれません。
欧州でプレーしている日本人選手が毎月1試合、代表チームを構成して欧州でテストマッチを繰り返せば、今よりも代表チームの日常のサッカーの質を高め、レベルアップに繫がると考えるのですが如何でしょうか。
最近、代表監督を他国から招聘することで監督が変る度に、代表チームのスタイルが変ることに疑問の声を上げている方がいらっしゃいます。
私は代表監督を他国から招聘することに関しては良いこと、悪いことの両面があると考えます。でも、もしかしたら、これは「代表監督を変えること」そのものに対して良いことと悪いことの両面があるのと同じレベルなのかもしれません。
「脳」はヒトによって異なるので、監督が変ればそれまで継続していたやり方は変ります。日本の目指すサッカーを言語化し、それを常に代表監督に伝えてその達成度合いを定期的に評価する。そういうシステムが代表チームの継続的な強化に有効なのかもしれません。
それでは、具体的に他国から代表監督を招聘した時の変化について触れてみたいと思います。
私はオフト監督が代表監督を務められた時、代表監督が変るとチームが激変すると感じました。
国の代表チームに限らず、クラブチームでも監督が変るとチームが激変することが良くあります。
私はこの変化を齎(もたら)す要因を「イメージする力」「イメージを伝える力」「イメージを共有する力」「イメージを現実にする力」にあると考えます。
そして、サッカーの原則に対する認識。
極論するならば、監督が持つ「イメージする力」〜「イメージを現実にする力」以上のチームにはならない。この一連の活動は、監督が持つサッカーの原則を起点にしている。ということは、監督が持つサッカーの原則の質が、「イメージする力」〜「イメージを現実にする力」のレベルを決めるのです。
また、監督から選手に何かを伝える場面においては、常に全てを言語で伝えることは出来ません。
つまり、監督が持つサッカーの原則を起点に、
監督と選手間の「イメージする力」〜「イメージを現実にする力」のギャップ、
監督と選手間のサッカーの原則に対する認識のギャップ
を反映した結果が試合におけるチームのパフォーマンスとして現れる。
これらのギャップを埋めるにはコミュニケーションしかありません。
コミュニケーションには言語と非言語があります。
故に、
チームのパフォーマンスを高めるポイントは、
・認識しているサッカーの原則の質を高める。
・イメージを現実にする力を高める。
・コミュニケーション力を高める。
の3点になります。
監督を他国から招聘する場合、自国の監督よりも不利なのは言語によるコミュニケーション力のみです。
言語によるコミュニケーション力が低くても、非言語によるコミュニケーション力でカバーできるかもしれません。
更に、
認識しているサッカーの原則の質、イメージを現実にする力の次元が違えば、当初、コミュニケーション力に難点があったとしても、時間が解決し、結果として圧倒的なパフォーマンスを実現するチームになるでしょう。
それでは、3点の代表チームのパフォーマンス高める環境を整備する方法はあるのでしょうか。
ありました。
この3点を高める場としては、クラブチームは最適なのかもしれません。
スペインにおけるバルセロナの例です。
そういえば、通訳をされている方よりお聞きしたことがあります。
それは、
スペインの方に「あなたにとってサッカーとは」と質問したところ、「バルサ!」と答えられたと言うことです。
スペインのサッカーを体現している、強いチーム、スペイン代表を沢山輩出している。
回答したスペインの方はこんな思いをもたれていたのでしょうか。
この観点から、今治FCは今後の日本サッカーのレベルアップを担う存在になるかもしれません。元日本代表監督 岡田武史さんがオーナーをされているチームです。小学生からトップチームまで一貫したトレーニングメソッドを用いると宣言されています。
今治FCのトレーニングメソッドで小学生の頃から育った選手がどう変容して行き、トップチームがどんなチームになるのか。楽しみです。
このようにチームの側、環境の側として対策を講じることは有効だと思います。
一方、もっと有効な対策があります。
それは、選手のマインドを「自分が想う理想の選手になり、そして、理想のコーチになる。一生、サッカーに関わり続ける」というマインドにすることです。
このマインドになるのが早ければ早いだけ、あらゆるコーチを超える選手になる可能性が高まります。
理想の追求者はそれを追い求める場を改善し続ける。
このマインドを持つ選手は、自分の中で選手としての成長の理論を磨くことになるでしょう。
この活動はそのまま、
・認識しているサッカーの原則の質を高める。
・イメージを現実にする力を高める。
・コミュニケーション力を高める。
ことに繫がります。
そして、この体験をそのままコーチでの活動に転換できます。
ポイントは「自分が想う」という部分です。「他人が想う」ではありません。
自分のアイデンティティを持つ、それを貫く。
「脳」は人によって違う、私はコーチになってこの当たり前の事実を痛感しています。
選手は一流を目指す、答えは選手の中にある、選手は一人一人「脳」が異なる。
これを選手、そして、コーチとして実践することでアイデンティティの確立した選手及びコーチが溢れるサッカー環境になり、マッチングのシステムを機能させれば、多様なパーソナリティがお互いの専門性を組み合わせながら成長し続ける生態系を日本のサッカー界は得ることができると考えるのですが如何でしょうか。
そういえば、ある番組で日本のJリーグを長年取材している外国人記者が、「アイデンティティーの確立」を日本サッカーの強化のポイントとして上げていました。
最後に、非言語によるコミュニケーションを究極にまで磨き続ける。
コミュニケーションは言語よりも非言語の方が圧倒的に優れている。
一般的に言われているこの原則は、見事にサッカーの場面で適用されます。
試合における選手の連携プレーは、ほとんどが非言語によるコミュニケーションで行われます。
攻守ともボールに最も近い選手の意図が、他の選手の意思決定の根拠になる。
ボールに最も近い選手の意図をどれだけの味方選手が読み取ることが出来るか。
チームとしてのイメージの共有は非言語によるコミュニケーション。
意図を明確に示すこと、意図を読み取ることには、意識を研ぎすますことが有効です。野生の勘を取り戻す。
直感を磨き、直感を信じるマインドの涵養。
日本人は元々、自然の中に生き、四季の中で自然の変化を敏感に感じ取る民族でした。そして、あうんの呼吸という言葉もあります。
意識を研ぎすまして、お互いの意図を読み取り合う。
あうんの呼吸による連携。
これは日本人の強みの一つだと思うのですが如何でしょうか。
これに正確な技術、俊敏性、持久性が加わるとどんなチームになるのでしょうか。
一言でいうと「忍者」。これが私がイメージする世界で闘うSamurai Blue(男子日本代表の愛称)です。
気配を消した次の瞬間、相手選手の前でボールを合わせる。
ワンタッチプレーを続けてゴールに迫る。
プレーに躊躇がない。
スペースを創ってギャップを衝く。
ギャップを衝いて、スペースを創る。
これを連続して実現するチーム。
こんな日本人の強みを発揮するチームを想い描いています。
「日本が男子ワールドカップで優勝するための提言」
以上をまとめますね。
<実践による選手の能力UP、代表チームの能力UP>
欧州でプレーしている選手が毎月1試合、代表チームを構成して欧州でテストマッチを繰り返す。
<実践の前提となる能力のUP>
・認識しているサッカーの原則の質を高める。
・イメージを現実にする力を高める。
・コミュニケーション力を高める。
<小学生から代表まで選手が同じ「日本のサッカー」のコンセプトを共有している>
代表監督が変ったとしても日本でサッカーをして代表になった選手は、同じ「日本のサッカー」のコンセプトを共有している。
スペインのバルセロナのように、例えば、日本の今治FCのコンセプトが「日本のサッカー」のコンセプトになるのかもしれない。
<選手のマインド>
選手のマインドを「自分が想う理想の選手になり、そして、理想のコーチになる。
一生、サッカーに関わり続ける」というマインドにする。
このマインドがあらゆるコーチを超える選手への変容の起点になる。
この選手は自分の中で選手としての成長の理論を磨くことになり、
・認識しているサッカーの原則の質を高める。
・イメージを現実にする力を高める。
・コミュニケーション力を高める。
ことに繫がる。
この先に、独自の成長の理論を持った多様なコーチが活動する日本がある。
<日本人の強みを発揮するチームのモデル>
あうんの呼吸による連携×正確な技術×俊敏性×持久性=忍者の集団。
気配を消した次の瞬間、相手選手の前でボールを合わせる。
ワンタッチプレーを続けてゴールに迫る。
プレーに躊躇がない。
スペースを創ってギャップを衝く。
ギャップを衝いて、スペースを創る。
これを連続して実現するチーム。
非言語によるコミュニケーションが他国を圧倒する日本代表。
これらの提言を一言で言うと、「可能性の追求。」
これは、私が理解しているヒトの原理原則でもあります。
では、仮にこれらの提言を実現するのであれば、次の5つのどのレベルで実現できそうですか?
1.今の制度をこのまま強化拡充する。
2.今の制度とは全く違う制度を確立する。
3.今の制度内の連携を強化する。
4.今の制度の大枠は変えないが、新しい概念を持ち込んだしくみを追加する。
5.その他
これも、もしかしたら人によって1〜5まで意見の分かれるところかも知れませんね。判断する人の世界観、志が影響しそうです。
今、信じているモノをいつまで信じるのか。
私は、3か4のレベルで実現が可能だと思うのですが如何でしょうか。
今回を含め5回のメルマガを通じて、サッカーの話題を取り上げて、意思決定の過程をあなたと共有しました。
ワールドカップで優勝している国は全て自国の監督が率いていた。
これは何を意味するのか。
これをテーマにしてこの一連のメルマガを配信してきました。
私の結論は、
「自国のサッカーのコンセプト」をチーム全員で共有することがワールドカップにおける優勝の要因となっている。
言い換えれば一体感。あうんの呼吸。チームのみならず、国全体としてのコンセプトの共有と言えるのかもしれません。
No.1はOnly 1である。
そして、
Only 1がNo.1への道である。
「自国のサッカーのコンセプト」がOnly 1であることが、No.1 ワールドカップで優勝することに繫がる。
ということになります。
ところで、
もしかしたら、あなたは既にお気づきなのかもしれません。
「コンセプトの共有」はチーム、集団、組織において、ある課題を克服するための重要な要件となります。
実は、この5回のメルマガもあなたと「日本が男子ワールドカップで優勝するための提言」のコンセプトを共有するために配信しました。
この提言は私の提言であり、あなたが持つものとは異なるかもしれません。
私は既に繫がっている仲間と、そしてこれから繫がることになる仲間と、「日本が男子ワールドカップで優勝する」ことを実現し、更に良い世界に繫がって行く行動を取り続けますね。
あなたの意思決定も実は誰かとコンセプトを共有するために行われています。
未来の可能性は誰かとコンセプトを共有することで高まることを無意識のうちにヒトは理解しているからです。
異なるコンセプトと出会う機会は、あなたの世界観を広げて行く、変化させて行くきっかけとなります。
私は異なるコンセプトを融合して、私の世界観を変容させ、広げて来ました。
もしかしたら、あなたも同じかも。
あなたの意思決定を「コンセプトの共有」という観点から振り返ってみませんか。
・言葉を適切に使うポイントとは。
・伝わるコミュニケーションのステップとは。
きっと、あらたな気付きがあると思いますよ。
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コンセプトの中心にあるモノは何でしょうか。ぶれない中心がぶれないコンセプトを創ります。あなたの「ぶれない中心」を言葉にしましょう。
http://www.reservestock.jp/events/63192
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