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働き方改革を考える ヒトの認知の壁を突破する。

      2024/07/23


働き方改革を考える ヒトの認知の壁を突破する。「シュートを打つ場合、(キーパーの位置、ゴール前の状況、シュートが決まりそうなスポット、自分に最初にアプローチしてくる相手選手の状況、自分の状況)→(ボールをヒットする時空間、ボールの衝撃、ボールの飛ぶコース、シュートをブロックされる可能性)→(ボールを当てる身体部分、シュートのvelocity:方向、強さ)→(身体の動きのイメージ化)→(イメージの実行)→(プレイ開始から終了までの状況の変化)→(過程の評価とその記憶)」
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)

今、国会で「働き方改革」がテーマとなっています。

国民の働き方が多様になってきて、同じ仕事をやっている仲間のその動機が多様化するのが予測されます。
そして、多様な動機の仲間を共通目的に焦点をあてた協働作業を行う環境作りがマネジメントとして重要になってきそうです。

2018年7月14日、ある勉強会でコンサルタントをされている方とこの「働き方改革」について情報交換した時の話をシェアさせて頂きます。
私は働き方改革は働いているヒトの幸せのためにあると考えていると先方にお伝えしたところ、
「働き方改革の前に働く方改革ですね。」とおっしゃいました。
働き方は、どう働くのかがテーマで、働く方は、なんのために働くかがテーマです。

多くのヒトは生きるために働くという状況があります。
製薬会社に勤務しているとき上司が「みんな我慢している」とおっしゃっていました。
独立してから同じように会社員から独立した方は「給料は我慢の対価」とおっしゃっていました。

会社では多くのヒトが我慢している。
それでは、自由に意見を述べるヒトも少なくて、生産性は上がりそうにありません。
この自由に意見を述べられる環境は非常に重要です。それは「氣付き」の源泉だからです。「氣付き」があなたを成長させてくれるからです。そして、安全安心な場であることが保証されているからです。安全安心な場でなければ健全な発想も生まれません。アイデアを最大限表現できれば、会社の成果も最大限にまで伸びると私は考えています。
一人一人が「氣付き」により成長して、アイデアを最大限実現して会社の生産性を上げる。

ここでは、これまでの習慣を変えて新しい習慣を手に入れることを「認知の壁を突破する」と言います。
次にお示しする私の働き方改革の核は、社員一人一人の認知の壁の突破です。

最近、自律分散型の組織、会社が話題になっています。
社員が自由に仕事を決めて実行するというものです。
やる仕事は自分が決める。ノルマはない。
中には給料も自分が決めるという会社もあります。

私は、目的が明確、その実行手段は自由度が高いという体制が組織の生産性を高めるポイントだと考えます。
働き方改革のゴールも組織、会社の生産性の向上にあります。

また、雰囲気は楽しみながら仕事ができて、時々、笑い声があちこちで起こっているリラックスしたムードが発想を豊かにして、時間の使い方にも
メリハリをつけれそうだと考えています。

私は昔から、サッカー型組織が理想的だと考えて、お話をさせて頂いております。

最初のポジションは決まっているけれども、試合の状況に応じてポジションを入れ替わる。全員守備、全員攻撃。

これは、正に、目的が明確、実行手段の自由度は高い組織です。そして、試合を楽しむマインドを持つ。
この試合における判断は、すべて選手個人が自分の意思で行います。まさに、自律です。

こんなチームであれば、サッカー自体を楽しみ、サッカーによって成長する機会が沢山出てきそうです。

会社での仕事とサッカーとの違いは、現状を等しくメンバー全員で共有できるかというポイントです。
また、ゴールを共有できているかどうか。これも大きな違いになるのかも知れません。
同じフィールドですべてが見えている状態でプレイしているサッカーの方が、ゴールや現状を共有しやすいですね。
サッカーの場合のゴールは最終的に試合で勝つコトですが、局面局面をどう打開するのかというゴールも試合中に沢山出てきます。

ゴールが沢山出てくる状況は仕事も同じです。仕事の場合、最終ゴールに至るまでに出てくる沢山のゴールの共有が難しそうです。

逆に言えば、会社でもサッカーのように「すべてが見えている状態」で仲間と一緒に仕事ができれば、生産性は格段に上がる可能性はあります。
また、そんな会社では社員も自律的に能力が高まりそうです。自律的に動いているということは、組織への満足度も高いという一面もあるので、
貢献意欲の高い社員が育ちそうです。

社員の心理的な状況として、迷いや弱い部分を相談すると評価を下げられてしまうというおそれがあるのかも知れません。
これも、組織としては把握しにくいですが、実際の生産性に大きな影響があると考えられます。
メンタルヘルスのチェックを社員の悩みを解決する方向に活用できるのであれば、この部分はその実践とともに好転が期待できそうです。

自律分散型の組織の提唱者にも、この弱みを見せるコトのできる組織の有効性をあげていらっしゃる方もいます。
脳科学的にも安全安心な場では、発想が出やすくなります。不安を覚える組織では、そのヒトの能力を最大限発揮するコトはできません。

次に、これからの「働き方改革」で取り組む課題を考えたいと思います。

組織も結局は個人の集団なので、個人間の信頼関係を基本として活動が成立しています。
個人が自律的に仕事をして成長し、その成果を取り込むことで組織全体が成長する仕組みを創るのがこれからの会社の課題です。
また、それと同時に、個人間の認識の違いを乗り越える体制を創るコトが信頼構築を確固としたモノにします。

1つ目は、信頼構築です。
仕事上の信頼関係の基本は言行一致です。
次に、トラブル発生時の対応です。トラブル発生時にその原因を突き止めるのは対策を講じる上で重要ですが、その責任をテーマにし始めると個人間の関係性の悪化が危惧されます。特に、一人一人、別々の認識を持っているので、同じ事象を同じ様に捉えているかどうかは定かではないからです。
この事実を理解しているとしても、時間に迫られていたり、感情が安定していないとついつい自分の「常識」を頼りに責任に関する発言をしてしまいます。これが、相手の「常識」ではない場合、関係性悪化の原因となってしまう可能性があります。
「常識」という言葉は控えて、事実経過に基づく論理的な説明に徹すると、相互理解が進みます。
認識の違いを「常識」で説明しているヒトは気をつけて下さいね。事実経過に基づく論理的な説明の結果、あなたにトラブルの原因があるという結論になるかも知れません。「相手との信頼関係」よりも「自分の常識」を優先していると判断されてしまうと、その後の仕事に影響します。全社員が事実経過に基づく論理的な説明ができると日常の職場での対話が事実ベースとなり具体的な業務改善に繋がる事例が増えそうです。また、信頼構築にも有効です。

2つ目は、お互いの幸せを共有するです。
これは、仲間との相互理解に繋がります。お互いの幸せに繋がるように仕事をする関係性が構築できそうです。相手を尊重する態度は、相手の幸せを知り、それを尊重することで揺るぎのないモノとなります。幸せは伝播しますから、職場に幸せなヒトが増えると雰囲気がどんどんと良くなって行きます。
仕事での幸せは理念の体現として表現できます。個人の仕事の理念を共有すると、一緒に仕事をしている仲間との協働作業をお互いの理念を体現する活動に転換していくという精神的な観点が加わり、更に、高次に主体的になって行きそうです。

3つ目は、組織の成立条件を満たすです。
これは、チェスター・バーナードさんが提唱された理論です。共通目的、貢献意欲、コミュニケーションの3つを成立させると組織は機能するというモノです。まず、この理論をメンバー全員が知るということと、何か、組織がうまくいっていないなあと感じたら、この3点を確認して下さい。
ほとんどの課題がこの3点から解決できます。

4つ目は、組織の成功循環モデルを採用するです。
これは、ダニエル・キムさんの提唱された理論です。関係の質→思考の質→行動の質→結果の質。この順番で組織の質が高まり、成功すると(結果の質)、関係の質が高まり、次の成功レベルに向かうという考え方です。ついつい、やってしまいがちになる結果の質から高めるやり方は関係の質の低下を招き、思考の質の低下、行動の質の低下、結果の質の低下に繋がります。無理は長続きしません。

5つ目は、自分の専門性を1枚の絵にまとめるです。
これは、社員が自分の認識している役割を他者と共有するためです。公開できたらなおよしです。自分が何の専門家であるかという自覚が、そのヒトの専門性を高める動機の一つになります。また、社内で支援が必要な社員に、その支援が可能な仲間を繋ぐコトを可能にします。
「1枚の絵」にまとめる行為自体が、本人のキャリア形成に良い影響を与えるのも期待できます。

6つ目、社員の自発性を高める方策です。
最終的に、ヒトは「幸せ」を求めて行動するので、仕事を通して幸せを実感できると、生産性がぐんと高まります。社員一人一人の自発性が「幸せ」に繋がる仕組みが社員の自発性を高める方策になります。これは個別対応にならざるを得ません。この方策を公開すると、自分の自発性をもっと高める方策を知ることも可能になり、自発性↑、幸せ↑の流れが大きくなり、会社全体が仕事で幸せを実感する雰囲気に満たされます。
ほとんどの社員は自分の専門性を高める方策を工夫して創りそうです。この流れが、社員自身が標準化した作業はコンピュータとロボットで代替する仕組みに繋がると、更に、会社の生産性が高まりそうです。その先に、自分の専門性でコンサルタントとして独立したり、副業の希望を叶える制度ができると、優秀な人財が集まる会社として社会から認知されることにも繋がりそうです。これは人材育成の観点からの会社のブランド化ですね。
会社が用意する方策として「3人プロジェクト」をすすめています。誰かが発起人となり2名の協力の合意が得られれば、それを会社の正式なプロジェクトとして認め、それに必要な時間を勤務時間から配分するのを認めるのです。例えば、6000人の会社では全員がどれにも重ならず、「3人プロジェクト」と立ち上げたとしたら2000できます。その1割が成功すると200プロジェクトが成果となり、会社の生産性に貢献できます。
これは社長候補の発掘にも利用できます。自らのアイデアを実現して会社に貢献する事実を全社で共有できるからです。
テレワークが可能になれば、子育て世代の社員は自宅で、田舎ライフを楽しみたい社員は遠隔地から、旅行好きの社員は旅行先からと、プライベートと仕事の充実が両立できます。
ティール組織等の自律分散型組織は、この自発性を高める方策に含まれます。

私は「働き方改革」=「マネジメント改革」だと捉えています。

大きくは自律的、自発的に仕事に取り組む環境をマネジメント側が提供する改革です。

仕事の発生時にゴールを明確にするコト、仕事に必要な情報を遅滞なく共有できる体制をとるコト、関係の質を高めるコト、計画の実行精度を
高めるコト。
もっと、本質的なポイントは、個人間の関係性は上下ではなく役割にあり、個人の役割をまっとうできる信頼関係を構築するコトです。
事業全体のデザインによってこれらは自動的に決まる部分が出てきます。

この観点から課題を一つ追加します。

7つ目、事業をデザインする人財を育成する。
機能毎に専門化した組織の仕事では、会社全体の動きをなかなか掴めません。それができる人財もなかなかいません。その人財を内部で育成をしましょう。一番は本人の志向にあるので、働き方改革で会社の制度を変更する時に、この課題に対応する仕組みも組み込みましょう。
社員の自発性を高めて会社の生産性を高めるにはマネジメントの力量が問われます。その制度設計は全体を俯瞰する力と、会社の共通目的達成に向けて、経営資源を効果的に組み合わせる洞察力と、全体像を完成させる実行力が必要です。この制度がシンプルなルールでデザインできると日常のマネジメントのポイントが絞られて社員も自分の役割、専門に専念できます。一方、複雑なルールでデザインしてしまうと日常のマネジメントのポイントが増えて、社員は自分の役割以外の何かを負担するようになり生産効率がこの分下がります。この能力を発揮できる人財の有無が会社の安定した成長の実現を左右してしまいます。

これら7つの課題に対する実際の事例ですが、
・副業を認める。
・自分のやりたくない仕事は登録して担当しない。
・出社時刻、退社時刻は社員がその日に決める。
・休みの連絡は不要。
・自分の仕事は自分で決める。
・人事評価は360度評価。
・自分の給料は自分で決める。

会社で最も効果的効率的に成果を上げるためのポイントは、協働作業をするメンバーとの認識の差を”0”にするコトです。
これは1つ目の信頼構築でも触れましたが「常識」が邪魔をします。

そこで、協働作業を行うメンバーが決まった時、お互いに答えを共有しておくと、認識の差が生まれにくく、差が生まれたとしてもその壁を乗り超え易い関係性が構築できると考えました。その質問を3つ以下に提示します。

Q1. あなたはビジネスにおいて「信頼関係」と「常識」のどちらを優先しますか?

Q2. 事前に決めていたあなたの役割。その役割を果たせず、必要な情報を協働作業をしているメンバーに提供できないと結果に繋がりません。これを未然に防ぐためにあなたはどう行動しますか?

Q3. 協働作業の途中で、それまでの経過に認識の違いが認められた場合、お互いの事実経過に基づく論理的な説明の他に、そのギャップを埋める方法はありますか?

AIを働き方改革のヒントを外部の事例等から見つけたり、自発性を高める方策のビッグデータ解析により、本人の気づかない方策の提案のマッチングが可能になると、社員の自発性に基づく人財育成のインフラが出来上がりそうです。上記Q3は会議やメールをビッグデータとした解析を行い、今までの経過を1枚の絵としてまとめて共有できるシステムがあると便利そうですね。また、論理的な矛盾のある文書をチェックする機能も実現すると、仕事のスピードも確度も高まって行きそうです。

私のコンサルはこのフレーム(枠組み)で行います。最も重要なのはあなたの「何のために働くのか」です。
これをチームのメンバーと共有できることが、ここでお示ししたフレームを反映した組織にすること、その組織をより良いものに改善していく核となります。
一人のメンバーのここが不明確なため業務フローの完成に通常の倍かかることもあります、これまでのコンサルの経験上、この「何のために働くのか」の言語化に最も時間がかかります。
ここに困ったらご連絡ください。

本当の自分を感じる

働き方改革においては、ヒトの認知の壁の突破を支援するためにAIを活用して行きましょう。

ここにお示しした働き方改革のフレームは、私の世界観の中にあります。すべてをあなたに理解できるようにお示しできていません。
何故ならば、あなたと私が住んでいる世界が違うからです。それは、お互いが独自の脳と独自の身体を使って人生を歩んで来たからです。そして、言葉の定義も違います。この制約はあると思いますが、ご参考にして頂ける部分もあると思います。
是非、取り入れて頂ける部分は、あなたの世界観に取り入れて頂き、あなたの働き方改革を始めて下さい。

具体的な働き方改革、そのAI活用等のご相談は、本ブログの 問い合わせからお願いします。

#答えは何のために働くのかにある

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