世界を一体化、Footballer(サッカー選手)編
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2018年9月24日、小学3年生のサッカー選手の練習の記録。 そこで、行った2つの新しい試みをシェアします。
一つ目は瞑想の短いバージョンです。
集合してもコーチの話を聞くことになかなか集中できないので、最初、1分ほど目を閉じて喋らない時間を作りました。 意識を集中させるために役立つことを説明しましたが、良くは理解できていないようでした。瞑想の効果は眠たくなることと言った選手もいました。これも、また、瞑想の効果です。次回の練習では、自分が上手くプレイする姿を想像する短いイメージトレーニングにもチャレンジします。
二つ目は、試合中に固まらずにプレイするための練習。
ドリブル通過をするゴールを両端に2箇所設けたミニゲームです。最初から散らばる。そして、周りを相手選手に囲まれる前にパスをする。特に、後ろにパスをする。 ゲームを止めて、どんな動き方をすると、どこにパスをすると良い展開ができそうかを見せるコーチングを途中で何度か入れました。
この2つの試みで認められた効果がありました。
お互いのポジションについての意見交換。もう一つは、逆サイドの味方へのパスの意識。 自分の考え方を持ち、その考えを相手に伝える。チームの共通目的を選手の貢献意欲を持って達成するために必要なコミュニケーションです。
自分たちにとって攻めやすい、相手にとって守りにくい。ボールを保持している時に、スペースに展開するとそんな状況を作りやすくなります。 この2つは個人と組織の成長を実現するために役立つ変化です。
ここで、サッカー選手の成長について少し触れますね。
最初は、ボールと自分との関係から始まります。ボールを蹴るのが面白い。ボールを上手く扱えるようになりたい。そんな、動機でプレイ。
その次に、相手との関係を意識します。
まずは相手、次に味方。1対1の場面で、相手を抜こうとしてプレイします。ドリブルでプレイ。チームで戦っている時も、基本的には1対1です。ボールを持つと自分の限界まで相手との1対1で勝負する。ここが起点ですが、そのうち、チーム全体として有利に戦うことを考え始めます。
ここが、ゲーム中にピッチの時空間を意識する起点となります。
ボールがどこにあって、自分がどこにいて、味方選手、相手選手の全員がどこにいるか。次に戦略的に重要なエリアはどこになるか。この段階に入ってくると、試合を体験する毎に、時空間の意思決定の感覚が研ぎ澄まされて来ます。この感覚には自分がボールを扱う感覚から、ゲーム全体が次のプレイでどう動くかという感覚まであります。
そして、この様々なレベルの感覚が一体化しています。
ここまでくると、ボールを手放すのは無意識でできています。ボールが相手チームにあるのか、自分たちが保持しているのか。全体の中の私なのですが、全体に強い影響を及ぼす私。個であり全体である。その境界がなくなってくる。こうなるとチームは一体化しています。個の能力の向上から入るけれども最終的にはチームが一体化できるほどに感じあいながらプレイができるようになる。これは自分一人の楽しみからチーム全体の楽しみへと境界がなくなっていく過程でもあります。
“もうお氣づきのように「遠心力」の働く組織では、それに対して争う力、すなわち「求心力」が必要になります。ここで「求心力」に例えられるものの一つが「組織開発」です。組織開発は、組織に「求心力」をもたらし、結果として組織を「work」させることをねらいます。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.38, ダイヤモンド社, 2018)
私が夢中になった経験を振り返ると、すべてがこのフレームに当てはまるのに氣づきます。
自分と興味対象、そして、その関係者の和。その和の中で感じるままに行動する。
これまで何度も繰り返されてきた、未知な何かを自分の世界に取り込み幸せを感じる過程。
こうして、あなたが夢中になった体験を繋ぎ合わせるとあなた独自の専門分野が出来ます。
独自の専門分野はみんな持っています。
その専門分野の活用方法には職人としてサービスを提供する段階と、先生としてその専門知識を社会に普及する段階があります。
先生になるには専門知識の体系化が必要です。
ここに氣づき、そのコツを掴むと人生は豊かになると私は考えています。
小学3年生の選手達。楽しいからサッカーをする。この場から、自分が世界を一体化していく体験を楽しんで欲しいと願っています。
そんなコーチとしての私の自主課題は、怒らずに選手を成長させるコーチングとマネジメント能力の開発です。
子供の時間に合わせたマネジメントにはもう少し忍耐と工夫が必要なようです。
#KnowledgeAthlete
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