専門性の認知と自負
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2018年9月19日、インターネットセキュリティーの専門家の人間モデルを意思決定から解明することを目的としてインタビューをしました。2回目でした。1回目では取り上げなかったある特定の仕事の最初から最後までの経過を語って頂き、その途中の意思決定の場面を掘り下げました。
インタビューを受けられた方をAさんとします。
AさんはIT企業に勤務され、通信技術を研究されていました。ある時、その技術に興味を持った他社から自分達の製品に組み込む依頼がありました。
Aさんは研究者から、その技術を依頼元の製品に組み込む仕事に変わりました。当時、Aさんの研究所では、純粋に研究を進めていらっしゃって、その研究がどんな製品に繋がるのか誰も分からない状況でした。
そんな中、Aさんは研究テーマを製品に結びつけることに興味を持たれていたことも、仕事を変えられる動機でした。
結果的にその仕事は、その後も拡大を続け、会社に大きな利益を齎しました。
新しい仕事では、部長になってからの取締役の説得が大変な仕事でした。この仕事が面白くなってきたのは、取締役との関係性が良好となり、ご自身の稟議が通りやすくなり、意図が担当のプロジェクトに反映されやすくなってから。
ここまでがAさんが面白かった、成功した仕事の経過です。
“後述しますが、組織開発は「実務のニーズ」に応えることを選び取り、時に「アカデミックな整理」を犠牲にしてきました。このことは、組織開発に「高いニーズ」を提供しましたが、同時に、組織開発が抱えてしまった「脆弱性」でもあります”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.33, ダイヤモンド社, 2018)
この対極にあった仕事を、その違いとして教えて頂きました。
それは、1社の要望から始めたプロジェクトで、顧客情報が足りなかった商品の開発でした。
結果的に商品化しても売れませんでした。
最後に仕事に対する基本的な考え方をお尋ねしました。
Aさんは新しい何かを吸収できる仕事を選択され、新しい何かを吸収できない仕事は避けられていました。
今、担当しているインターネットセキュリティの仕事では毎日、何かを吸収しています。
仕事に関する意思決定において最も重要なのは「時間」。
トラブル対応の際、要求された時間内に解決できないと判断したら、まず、時間を延ばす交渉。そして時間を延期して、トラブルを解決。
Aさんは仕事における意思決定の核をお持ちで、更に、階層的な判断基準をお持ちでした。
Aさんは、ご自身がご担当された領域では社内No.1と認知されていました。また、その自負を持って仕事をしてこられました。定年を延長され、今、顧客に提供しているセキュリティシステムの第一人者として仕事を続けていらっしゃいます。
もちろん、Aさんにも仕事が大変な時期はありました。しかし、こうして、毎日、新しい何かを吸収しながら、社内のセキュリティシステムの第一人者として定年を延長して仕事をされている姿を私は幸せに見えるのですが、あなたにはどう見えますか?
#幸福論
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