メンタリティの実践 勝ちたい気持ちが強い方が勝つ
2019/03/06
(シモムラタクジ, マインド・ドリブン・ソサイエティ α, affirmativeArchitect出版, 2018)
2019年2月1日、アジアカップの決勝、日本は準優勝でした。カタールの初優勝、おめでとうございます。日本の準優勝おめでとうございます。
日本サッカー協会はアジアのレベルが上がることが、日本が世界で勝つための条件だと考えていて、長年、アジアのレベルアップにも貢献してきました。
今回のカタールの躍進は、やはり人財育成のようです。
カタールは2004年に国家支援のスポーツ育成機関「アスパイア・アカデミー」を設立し、2006年、今回代表チームを率いたスペイン人のフェリックス・サンチェス監督を招聘、2010年には2022年のワールドカップ開催が決まりました。その後の、サンチェス監督の歩みをwebサイトから引用します。
カタール代表はなぜアジア杯優勝を果たせたのか。始まりは15年前、指揮官が歩んだ軌跡
“異国の地で新たな人生を歩みだしたサンチェス監督は、その後カタールU-15、U-16、U-17、U-18と各年代別代表の選手たちを持ち上がりで指揮した。そして2014年にはアジアU-19選手権で、同国史上初となる優勝を飾っており、2015年のU-20ワールドカップ出場を果たすなど、さっそく結果を残した。
A代表監督となったのは2017年7月。就任から7試合でわずか1勝しか挙げることができないなど、当初は苦しんだが、昨年9月に行われた中国代表との親善試合で勝利するとそこから3連勝を記録。チームとして徐々に力をつけ始めてきた。”
今回のUAEの決勝ラウンドで、破竹の勢いで勝利を重ね、初優勝を果たしました。
プロの選手経験のないサンチェス監督を招聘したカタールサッカー協会の「メキキ」も今回の成果に繋がっていると思います。
ワールドカップ、フランス大会で初優勝したフランス、南アフリカ大会で初優勝したスペイン、ブラジル大会で復活したドイツ。
何の国も優勝の前に人財育成がありました。
日本も1998年に初優勝したフランスの人財育成を参考にしたアカデミーを育成システムに加えました。
森保ジャパンのSamurai Blueも日本の育成システムで力を付けてきた選手達です。この育成システムが日本がワールドカップに初出場してから常連国になっている原動力だと考えています。また、森保監督はU-23の監督も兼任され、このカテゴリーからもA代表に何名か選ばれています。
試合の後のインタビューでは、監督を初め、各選手が悔しい思いをコメントされていました。勿論、私も悔しかったです。
監督のコメントにもありましたが、前半受け身になってしまったことが結果に影響しているように思えます。実際に現場に居た訳ではなく、選手に直接話を聞いた訳でもないので推測にしか過ぎませんが、優勝へのプレッシャーか、カタール選手の身体能力への警戒か、どちらかが原因になっていると感じました。
Samurai BlueはUAE決勝ラウンドに入ってからも成長をし続けました。それは選手だけでなくスタッフもだと思います。
そして、カタールも同様に決勝ラウンドに入ってから成長したのだと思います。厳しい試合が選手とスタッフを成長させます。
サッカーには「勝ちたい気持ちが強い方が勝つ」という言葉があります。もう一つ、「試合はやって見なければ分からない。」
代表チームの能力の指標としてFIFAランキングがあります。
このランキングは過去の実績から計算されています。また、国際マッチの数や、対戦チームのランキングも計算結果に影響します。結果的に、サッカー強国が地理的に近い欧州と南米がランキングの上位を占めることになります。欧州、南米以外の国の最上位はセネガルの23位です。
アジアカップの決勝チームのFIFAランキングは日本50位、カタール93位です。ランキング通りの試合結果にはなりませんね。特に、トーナメント戦はこの傾向が強いのかも知れません。
因みに、ロシアワールドカップで日本が対戦したベルギーのFIFAランキングは当時3位(2019年2月は1位)でした。
今回のアジアカップを含め、ここ数年間、私が感じているSamurai Blueの課題はメンタリティ。
これは、選手達が精神的に弱いという意味ではありません。ピッチ上で思考と行動を止めない。自分が決めた行動を徹底するという意味です。
常に目の前の景色を自分達に有利に展開する確率を上げる。そのアイデアが常に湧いてくる、そして行動に移す勇気を持つ。試合中は常に意思決定。意思決定に躊躇しない。守りであったとしても仕掛ける。ゲームのすべてを自分を中心として関連付けられる。このKey Performance Indicatorは、primary endpointが「ゲームの勝利」であり、secondary endpointが「時空間を相手よりも先に確保した回数、割合」になります。
本当の自分を感じる
以下はこのメンタリティの質を保証するための提案です。選手に次の行動を徹底するメンタリティを持ってもらったらどうでしょうか?
・選手の自主課題の共有:一人一人がfootballerとして何を目指しているのか、それを目指す理由、良いfootballerの定義、社会におけるfootballの役割を考えて、お互いが共有し、日々の行動でそれを示して行く。それを自分の言葉で語る。
・守りの時の距離感:ファーストディフェンダーがワンサイドカットにより相手の攻め手を限定して、自由にプレーさせない。相手選手とファーストディフェンダーの距離が遠い場面をよく見る。ワールドカップブラジル大会でのクロスを上げたコロンビア選手へのアプローチ、アジアカップ決勝戦での得点シーンを思い出してください。この場面で誰が行くのか。ゲーム中、場面、場面で、ファーストディフェンダーが誰なのか、本人と周囲3名の選手が同じイメージを持てるようになる。
・ゴール前を横切る動き、横切るクロス:アジアカップの決勝戦、逆サイドにクロスが上がり、その折り返しでシュートチャンスを作る場面を見た記憶がありません。日本のクロスはゴール前中央に上がった場面が多く、カタールのディフェンダーに跳ね返されていました。ゴールポスト、ゴールライン近辺からの折り返しには、キーパー、DFは対応できません。視界の後ろにシュートを打つ選手がいるからです。また、反対サイドからオフサイドライン沿いに走り込んで、タイミングよくスペースに飛び出す味方選手の動きに合わせたクロスが決まるとキーパーと1対1の場面を作れます。キーパーは突然視界に現れた選手が打ったシュートに対応することになります。ゴール前で相手の死角に居る選手を活かす連携プレイがゴールの確率を高めます。
“マクレガーが明言したように、組織開発は専制的マネジメント(X理論によるマネジメント)ではなく、Y理論によるマネジメントを重視しています。それは、人間尊重の価値観(ヒューマニスティックな価値観)に立脚しているためです。ちなみにマクレガーは、1950年の10年後、つまり1960年には専制的マネジメント(X理論によるマネジメント)がなくなるだろうとあえて言いましたが、現在でもなくなっていません。”
(中原淳, 中村和彦, 組織開発の探求, P.204, ダイヤモンド社, 2018)
私は、今回のSamurai Blueは森保監督を始め、選手達も優勝を目標に掲げて闘ったことが今後の財産になると感じています。誰からも指示されていない、自分が掲げた目標達成のために仲間と思考と行動を続けた体験が今後の財産です。
今後のSamurai Blueの活動を、日本そして世界に良い影響を齎すように展開できるように尽力したいと思いました。
あなたは、今のSamurai Blueの課題は何だと思いますか?
#イノベーションの起点におけるスペシャリストの思考と行動
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