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チームの連動の意識を高める  3.ボールを抑える。

      2014/08/07


チームの連動の意識を高める  3.ボールを抑える。「あなたは言葉で変わる。」

意思決定スタイリストの SHIMOMURA Takuji です。

ボールを奪った後の初動が、ゴールまでの流れの質を決める。

プロローグ 連動

4回シリーズのメルマガ「チームの連動の意識を高める。」

その構成は次の通りです。

1.周りを観る。

2.ボールの軌跡を予測する。

3.ボールを抑える。

4.コミュニケーション。

1.周りを観る の Key word は「顔を上げる、首を振る」でした。

2.ボールの軌跡を予測する Key word は「まず、ボール。そして、スペース、
最後にゴール」でした。

パッと観て、パッと判断してからの、しながらのボールへのアプローチを考え
ましょう。

3.ボールを抑える。

まず、ボール。

あなたにはコントロールに対する欲求がありませんか。

状況をコントロールしたいあなたは、まず、自身をコントロールしたいと考えて
いらっしゃると思います。

試合をコントロールする審判は、まず、自身をコントロールしています。
感情の変化が意思決定に影響するからです。
そのために、争点(両チームの選手がボールを奪い合う場面)を直視できる
ポジションで観ようとしています。自分と争点の間に、選手が入ってしまうと
争点を直視できません。

常にそのポジションで意思決定できるように走り続けます。

攻守の切り替えが早い、ロングキックが多用される試合では、審判は消耗します。
そんな試合でも自身をコントロールできる体力を獲得し、その体力を有効活用で
きる知力を獲得する。

この絶え間ない精進、成長があってこそ、審判は試合中に自身をコントロール
できるのです。

自身をコントロールして何かを成し遂げた感覚は成長を促進します。
それまでの経験からではなく新たなやり方で何かを成し遂げることを制御体験と
言い、エフィカシー(Self-efficacy 自己効力感 ゴール達成に対する自己の
能力評価 なりたい自分になれそうな感覚)
を成長させます。

選手も同じです。

試合中に感情が昂ぶって報復的な行動に出るとその選手は退場(審判はレッド
カードを示します)となり、少ない人数で試合を闘うことになります。
ボールを奪う場面でボールよりも先に相手選手を蹴ってしまうと相手チームに
フリーキックを与えることになります。

自チームがボールを保持している場合、迅速かつ確実にシュートに持ち込むた
めにボールを運ぶ。その運び方、パスによる中継やドリブル を予測して、各
自が自律的にポジショニングする。

相手チームがボールを保持している場合、まず、ボール保持者のプレーを制限
(ドリブルやパスをさせない、自陣のゴールに近づけない)し、守備網を構築
しながら、ボールを奪いに行きます。

更に目に見えない心理戦が加わります。

これを試合中やり続けるために体力と知力を獲得する。

これら絶え間ない精進、成長があってこそ、選手は試合中に自身をコントロール
できるのです。

そして、審判と同様、何かを成し遂げた感覚が選手の成長を促します。

成長の前提は自分をコントロールできているという感覚です。

まず、ボール。

自チームがボールを保持している場合、迅速かつ確実にシュートするまで、
失わない。

相手チームがボールを保持している場合、ゴールを守り、ボールを奪う。

ここでチームの戦術について触れておきたい。

戦術にカウンターを意識しているチームは、相手チームにボールを持たせる
試合を行うことがあります。
点差にもよりますが、シュートを打たれない限り、ボールが相手チームにあって
も、試合をコントロールできていると認識できるのです。

そして、スペース、

ボールはスペースのあるところに向かいます。

自チームがボールを保持している時、幾つかのスペースを経由してシュートに
持ち込むイメージをチームで共有します。
ここで重要なのはボールを保持している選手の姿勢と気迫です。
この2つの要素から、味方選手はボールの動きを予測します。

視野はどの程度確保できているのか。視界に入っている選手は誰か、スペース
はどこか。
ボールと軸足、蹴り足との関係。蹴り足は効き足か。顔は上を向いているか。
ボールがあるのはコートの右側か左側か中央か。ボールと2つのゴールとの位置
関係は。

あの雰囲気はドリブルか。それともパスか。キープか。
フェイントを入れるのか。

これらは、次の瞬間を予測するために周囲の選手が意思決定している項目です。

一方、ボールを持っている選手は、

ドリブルしようか、パスしようか、キープに入ろうか。
味方選手はどこにいるのか、相手選手はどこにいるのか。
目の前の相手選手を振り切ることができるか、裏をかくことはできるか。
次の展開に有利なスペースはどこか。

これらのことを頭に浮かべながら、次の瞬間の行動を意思決定します。

ボールを保持している選手と味方の選手が、パッと観て、パッと判断して
プレーする。これを連続して行います。

攻守の切り替え、つまり、ボールを保持しているチームが交代する場面では、
この意思決定が錯綜します。

次の瞬間、ボールはどこに転がるのか。
私は選手として、審判として、その予測の質を向上させていました。

攻守の切り替えを含む、この経過がボールの軌跡としてコートの中で表現
されます。
片方のチームがボールを抑えている間は、そのチームの意思決定に従い
ボールは動き、もう片方のチームがボールを抑えると、そのチームの意思
決定に従いボールが動きます。

試合が止まっていない限り、どちらかのチームが100%ボールを抑えている
ということはありません。

ドリブルにしても、パスにしても、キープにしても、ボールを保持している
チームが1秒後、3秒後、確実にボールを抑えているかどうかは分かりません。

ボールを扱う選手が予測を誤ったり、予測が正しくてもミスをすることは
あります。
味方選手も予測を誤ったり、予測が正しくても動かなかったり、ミスをする
ことはあります。

相手チームの予測を正確に認識し続けることは不可能であることは、予測を
誤る原因の一つです。

ボールが密集地帯を抜ければ、広大なオープンスペースを獲得できます。
それには正確で細かい動きや、機敏さが必要になります。

ボールが密集地帯を避ければ、密集地帯が移動します。
密集地帯を避けてボールを運ぶと、なかなか相手の守備網を崩せません。

ボールをスペースに運ぶ。

チームの意思決定に従い、ボールの動きにスピードと角度の変化を付けながら
ボールをスペースに運ぶ。

その先に相手ゴールが。

ゴールに向かうチームの意識がボールに宿っています。

最後にゴール。

ボールを運ぶスペースは相手ゴールに近づくに従い小さくなります。

何故なら、ゴールを守るために相手選手がゴール前に戻ってくるからです。

ゴールが見えたらシュートを打て。

これはシュートレンジでボールを保持している場面で有効な原則です。

この場面では「ゴールの中にボールを抑える」ことを意識するようになります。

ゴールの中。

これが大前提です。

シュートのタイミングは相手チームの守備網に対する認識によって決まります。

ゴール前に相手選手が何人も居たとしても、味方選手のマークが甘ければ、
その選手にラストパスを贈ることを考えます。

また、ボール保持者の目の前にゴールを遮る選手が居なければシュートを打つ
でしょう。

ゴール前のクロスのボールに相手選手が向かっていかなければ、後ろから相手
選手の前に入ってシュートを打つでしょう。
これは、相手選手が ball watcher になっている状態です。

相手チームの守備網を撹乱する手段として、ゴール前を横切るボール、ゴール
前を横切る選手の動きがあります。

ゴール前を横切るボールとは、片方のサイドからゴールの反対側に送られた
クロスです。
この場面では、ゴール前にいる両チームの選手の視線が反対側に移ります。
攻めるチームの選手がポジションを変えないにしても、守るチームの選手は
マークをはずさないようにするためにポジションを変えなければなりません。

ゴールキーパーは自分とゴールとの位置関係を誤って認識する、修正するのに
時間がかかることがあります。

クロスを受けた反対側の選手が、ゴール前にボールを折り返してシュートの
決まった場面を観たことはありませんか?

私は何度も観たことがあります。

ゴール前を横切る選手の動きとは、選手が片方のサイドからゴール前を横切り
反対側のゴールまで移動する動きです。

この動きを守備の選手は目で追ってしまいます。その選手にボールが渡ると
シュートに繋がる確率が非常に高いからです。

そうすると自分がマークしている選手のマークが甘くなることがあります。

ゴール前でシュートを打てる選手が複数出てくることになります。
ここで生じたチャンスを逃さなければシュートを打てます。

この場面では両チームの情報処理能力の差が結果に繋がるのです。

守備側の守備網を修正する能力と攻撃側の守備網のほころびを衝く能力の鬩ぎ
あい。
選手個人というよりも、チームとしての情報処理(情報収集→意思決定→行動)
の優劣が問われる場面。

多くのチームが急いで相手ゴールに向かうのは、ゴール前の守備を固められる
前にシュートを打ちたいからです。

速攻の場面では、ボールを受ける選手の前に開いた大きなスペースにパスを
出します。その方が、ゴールに向かうスピードが上がるからです。

エピローグ

選手は「ゴールまでの流れ、そしてポジショニング」を意識しながら、「まず、
ボール。そしてスペース、最後にゴール」の流れに従いプレーします。

これを自分達のやりたいやり方で実施する鍵は予測とプレーの質、精度です。

予測とプレーの質、精度を高める。

これは試合が始まる前からも、試合が終わってからも選手は、日々精進し、成長
している姿と重なります。

しかし、矢張り試合における予測とプレーの質が高まった体験ほど、エフィカシーを
高めるモノはないでしょう。

私は今回の記事をまとめながら気付いたことがあります。

それは、「ボールを抑え続ける」起点はボールを奪うファーストタッチであり、
セカンドタッチまでの質が、ゴールまでの流れの質を決めるということです。

セカンドタッチまでに、相手ゴールに向かいながらスペースにボールを運ぶことが
出来れば、当然、その選手は顔が上がりコート全体を見渡すことが出来ます。

セカンドタッチはボールを奪った選手でない方が良い流れなのかもしれません。

初動がゴールまでの流れの質を決めます。

良い初動を取れる選手とは、次の4つの能力を有する選手です。
・サッカーの原理原則を単純化することができる。
・その場面で必要最小限の情報を特定できる。
・ボールを奪った直後の展開のフレームを作れる。
・味方選手にファーストタッチで次の展開を予感させる。

仕事においても初動のレベルが高ければ、後の作業が楽になることは多くの方と
共有できる体験ではないでしょうか。

サッカーの試合における「スペース」とは、あなたの仕事では何にあたるモノ
なのでしょうか?

<この記事の理解を深めたい方に>

・この記事のテーマから観た、サッカーの本質と全体像は こちら

・趣味の経験を仕事に活かすエッセンスは こちら

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「あなたは言葉で変わる。」
「あなたは何によって憶えられたいですか。」
この問いに答えるための思考のエッセンス、
 「意思決定スタイリストのメルマガ」 は こちら に。

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