学習の記録 デジタルの皇帝たち(2024)
2024/12/21
2024年11月9日記録開始
ヴィルレードンヴィルタ著, 濱浦奈緒子訳, デジタルの皇帝たち, みすず書房(2024)
はじめに=Background
たまたま、図書館で展示図書を眺めていた時に見つけた書籍。
「序論」に目を通して通読することに決めた。
私の事業は人類を「自由は獲得する文化」から「生まれながらに自由な文化」へ回帰させる。
お金を使ってお金が不要な次世代の社会システムを創る生産性を高める。
ジャーナリストへの期待(2024)はその生産性を高めるために世界に向けて情報発信した。
製造業はすべて知識集約型になる。
これは、私が塩野義製薬で仕事をしている時に気づいた未来です。
「序論」にはアマゾンは小規模事業者が登録した製品が売れてくると、それに似た商品を開発して安く売り出す。最初は安価な条件でシステムを利用させて、段階的に高価にする。その時にはサンクコストを手放せない状態になっている。とあった。
このアマゾンの手法はマーケティングにおける「囲い込み」に似ている。アマゾンのような企業の売り上げが伸びるということは、貧富の差が拡大する、同じようなビジネスモデルが別の業界にも出現する。これは、社会が不安定になる流れを加速することになる。
アマゾンがこのビジネスモデルを実現できている背景には工業化と情報化がある。
つまり、アマゾンのビジネスモデルを地域行政が行えば、その地域では地域住民のアイデアを広く地域全体に行き渡らせて、そのアイデアを出してくれたヒトが地域に感謝される文化を涵養できる。
#三原発グローバル産業 では、この地域ビジネスモデルを体現する。三原市民が三原の地域通貨やっさを使って経済活動ができるプラットフォームを社会実装する。三原市民が4班に分かれて、週4日、1日4時間の協働作業を日常にすることで、三原市民の食糧とエネルギーを三原市で自給自足する。そして、三原で生まれ育ったヒトが事業を始められる三原になる。そのために、学校は午前中だけ、午後からは地域活動。先生も副業可能とする。勿論、先生も週4日、1日4時間勤務。1クラス、教師免許の取得者1名を含む合計10名の先生(地域の大人)が担当。つまり、生徒は4つの先生グループから日常的に学ぶ。学校では、生徒が夢中になれる何かを見つけることを優先する。それを見つけたらとことんそれを極める学習を先生が支援する。研究開発対象が見つかるまでの生徒は、先生がトレーニングメニューを作る。研究開発対象が見つかった生徒は、午前中の学習カリキュラムを自分で作成して公開する。生徒の成果発表会を月1回実施する。発表会の目的は生徒同士の協働作業を促すため。お互いの研究開発の重なる部分は協働作業を行う。日常生活で使う商品はほぼ揃った社会になっている。デザインを変更したり、使い勝手を良くした製品を開発し、それをオンデマンドで生産する仕組みを三原市に実装する。勿論、品質保証も組み込む。
成果=Output
本著の記述は「 」、私のコメントは” “、何も付さない記録は本文の要約。
第1章 序論
P.1〜P.15
デジタルプラットフォームで市場を創り、運用すると市場の管理者が運用を支配することになる。まるで、デジタルプラットフォームが国家のようになる。
図1 デジタルマーケットプレイスにおける調停のモデル
図1は需要側が仕入れ品が期待通りでなかったため供給側に支払いをしない事例を取り上げている。デジタルマーケットプレイスの調停担当者は相互の折衝を仲介して、最終的に案件を処理するための4つの枠組みが示されている。
紛争の処理件数はデジタルマーケットプレイスの方が国家よりも多い。
1年間の紛争件数
イーベイ(デジタルマーケットプレイス) 6000万件以上
イギリス 400万件
中国 1100万件
アメリカ 9000万件
プラットフォーム企業が処理する紛争の合計は、世界中の公的機関が扱う紛争数よりお多いだろう(予測)。
“紛争数を単純に比較はできない。リアルな市場では紛争が起きてもその場で当事者が解決している事例も数多くある。バーチャルな市場では当事者が共有できる現場がないので自動的にプラットフォーム企業が仲裁することになる。”
2020 アマゾン 推計4900億ドルの商品がマーケットプレイスを通過。これはほとんどの国のGDPを上回る。アマゾンが手にした手数料は750億ドル近く。ほとんどの政府の税収を上回る。これは主要なテック企業のCEOがほとんどの国の国家元首よりも大きな力を持っていることを示す。
ビッグテックの仮想「国家」が全てうまくいっているわけではない。企業のリーダーは巨大な権力を相応レベルの説明責任を負うことなく享受している。その権力を濫用している。アマゾンの経営陣はベストセラー商品を特定し、模倣した商品を製造して、オリジナル製品ではなく模倣品を消費者が購買するように仕向けた。商品リストに載っているアマゾンの顧客の商品の模倣品をアマゾンが製造して販売する。
インターネットは強大な組織から我々を自由にすることが期待されていた。「私たちはサイバースペースに思考の文明を創出するのだ、政府がこれまでに作ってきた世界よりも、より人間味があり公正な文明を」彼らがもたらしたのは政府によく似ているが、私たちに投票機会がない世界。
“サイバースペースは「自由は獲得する文化」の手段になっている。人類本来の「生まれながらに自由な文化」に回帰するには、食糧とエネルギーの自給自足が伴う必要がある。お金の力でサイバースペースをお金でお金を増やしやすい手段にしたヒトがいる。国家財政を超える規模の私有財産を持つヒトに共同体を搾取の対象にしていないことを証明してもらう。「あなたが持っているみんなのお金を何に使うつもりですか?」搾取の対象にしているのであれば、そのヒトの行為は反人類と見做される。サイバースペースを使って反人類と見做される活動を特定し、それを世界中のヒトと共有すれば、人類本来の文化に回帰して行く。”
3000年の歴史が30年に
各章で象徴的なプラットフォームについて語る。
同時に1980年代の分散型サイバー市場から今日(2024年)のアメリカのメガプラットフォームまでのeコマースの制度構造の進展を追う。
本書における制度は、法律や規則、伝統、社会規範、「ゲームのルール」など、社会において人々の交流を体系化するものを指す。
デジタルプラットフォームの前は市場に関する紛争は裁判所が担当。しかし、その後になると紛争解決センターを通してデジタルマーケットプレイスがそれを執行している。
第1部は経済制度に焦点を当てる。誰が利益を享受し、誰が負担を強いられるのか。
第2章は巨大プラットフォーム企業が現れるまでの市場を検証。ジョバーロウ「デジタルマーケットは単なる互恵主義」小さなコミュニテイでは機能したが電子コミュニティが新興都市に成長すると崩壊。
第3章は評判の検証。「人は良い判断があれば誠実であり続ける」という古い考え方。評判だけで秩序を維持するには、根本的な原因があった。イーベイは公的に規制する中央集権体制に変貌した。
第4章は交換の基盤、身分証明の役割に焦点を当てる。オンライン麻薬市場の構築には揺らぐことのないある種の身分証明が必要。
第5章は国境がテーマ。国境のない労働市場をアップワークというプラットフォームで構築した。経済危機からこのプラットフォームを守るため、プラットフォームの周辺に仮想国境を築かざるを得なかった。
第6章はプラットフォームの設計者が自由市場の創成から中央計画経済の統制へどのように移行したかを示す。監視や情報伝達の仕組みでソ連ではなしえなかった計画経済が可能に。しかし、その人道上の課題の根本的疑念は解決できなかった。
e-コマースは親しい知人間取引から、正規の取引へ。さらに、組織だった当局が保護する機械的なマーケットプレイスに変貌し取引が何倍も増加。市場への参入管理、参加者の行動を絶えず記録、紛争解決の裁判官を雇い、必要に応じてルールを強制執行。ただし、当局は国家ではなく企業。
「プラットフォーム企業は単に強大だから、国のごとく威厳があるように見えているのではない。重要ないくつかの点で、国のような振る舞いをしているからこそ、強大なのだ。」
“動画スライブによると経済ー金融ー政治システムのピラミッドにおいてグローバル企業は国家の上位にある。その上に金融がある。1717年以前から活動している #悪魔崇拝者 の牛耳る #死の血盟団 が(通貨発行権. 株式市場)を手段にして、世界統一政府による支配体制を創ってきた。工業化と情報化を極一部が圧倒的多数を支配する目的で誤用していることを、圧倒的多数側が知ることとなっている。#Paris2024 で世界中の民が目撃した #マリーアントワネットの斬首シーン はオープニングであった事実を悪魔崇拝者は忘れないで欲しい。そして、自らが脱がんを果たして欲しい。”
古代からある問題
「私たちの経済活動がオンラインに移ると、テック企業はルールを設定し、詐欺やサイバー犯罪から私たちを保護する新たな中央権力となった。」
企業のリーダーは聖人ではなく、自らの地位を利用してルールを曲げ、自身や仲間が有利になるように臣民たちを食い物にした。
第Ⅱ部 政治的制度 プラットフォーム経済の中のヒトが誰が見張りを見張るのかに対応してきた経緯を検証する。
経済的制度がマーケットプレイスのゲームルールだとすると、政治的制度はルールそのものを変更するメカニズム。プラットフォーム経済の君主たちに対して実際になされた反乱を取り上げる。
第7章 アマゾンのジェフベゾス。無数の独立した事業者のためのプラットフォームを法外な手数料を搾り取り儲かるビジネスを盗むようになった経緯。ベゾスの権力の濫用を完全には抑えきれなかった。
第8章 ブロックチェーン技術。権力の濫用を機械で回避する試み。行政は自動化したが立法は自動化しなかった。
第9章 出来高払いのデジタル労働プラットフォームのルール策定に労働者の発言権を求めた。目的は悲惨な労働条件の改善。
第10章 集団行為によりプラットフォームのルールを変更した事例。アップルストアに依存する小規模事業者の破綻を未然に防ぐため果実を小規模事業者も享受できるようにした。
「集合的意思決定のための政治的制度がプラットフォーム経済では欠如しているために、ユーザーは君主の言いなりとなって身動きが取れなくなる・・・生計のためにプラットフォームに依存する人々や会社は、過去に独裁政治を転覆させたツールを再発見しだした。それは、資源であり、同盟であり、組織化だった。」
“過度の私有は社会を不安定にする。プラットフォーム企業は過度の私有が共同体からの搾取になりかねない。多くの国民が利用する事業は私企業から公共化する道筋が必要。独占禁止法の領域。国家反逆罪の領域。”
祖先からのインスピレーション
社会的制度は、ここでは保障と教育を目的とする制度。
プラットフォーム経済が既存の社会的制度をいかに弱体化しているかを表している。
プラットフォーム帝国自身が長期的に存続していけるのか雲行きが怪しい。
プラットフォームの巨人を独占資本家が支配する企業とみなしていては対処できない。
我々の先祖が貴族に対抗したやり方にインスピレーションを受けるべきだ。
“国民国家におけるプラットフォーム企業が国家反逆罪を犯していないのか?この視点が有効。”
本書の読み方
デジタルテクノロジーと社会の関係性は、現代に生きる私たちにとって、気候危機に次ぐ大きな課題の一つであることは間違いない。
“貧富の差の拡大が最も大きな課題である。北回帰線の北上を伴う、太陽活動の活発化に伴う、天体運行に伴う温暖化にはCO2削減は無力である。”
デジタルテクノロジーが弊害を起こしている事例
・政治学者はデジタル選挙操作が政府の正当性を傷つける
・セキュリティの専門家らは、サイバー兵器は国家が国民を保護する能力に挑戦するものだと警告する
・法律からは、ギグエコノミーのアプリや仮想通貨は、法秩序を見出すと主張する。
本著では、テクノロジーが代替となる秩序をいかに構築するだろうかという視点で検討している。
第1部:デジタルマーケットプレイスを自ら構築しようとしているヒト向け
第2部:活動家としてプラットフォーム企業に対抗する人々の苦悩に関する理論と実践を学びたいヒト向け
政府当局に代わりコミュニティ、分散化に関心のあるひと向け 第2章、第3章、第8章
リモートワーク、国債開発、労働問題に関心のあるヒト向け 第5章、第6章、第9章
競争政策に関心のあるヒト向け 第7章、第10章、第12章
政策立案者向け 最終章
“私の視点は「貧富の差の拡大の解消」アプローチの対象は全体主義の形態である企業社会主義。プラットフォーム企業は企業社会主義の基盤になりつつある。地域によって格差はあるが、人類史の大きな流れは工業化と情報化。お金を人類支配の手段にしたヒトは(武力, 通貨発行権, 株式市場)をGDP至上主義のプロパガンダに使っている。#COVID19事件、#レプリコンワクチン事件、#米国大統領選挙2024、#兵庫県知事選挙2024 は、大手マスコミが極一部のヒトが圧倒的多数のヒトを(搾取, 支配)するためのプロパガンダ機関になっていることを、圧倒的多数に気付かせる機会になってしまった。#Paris2024で世界中の民が目撃したマリーアントワネットの斬首シーン はその象徴。一つの行政単位で食糧とエネルギーを自給自足して、その地域で生まれ育ったヒトが事業を始める地域になる。この次世代の社会システムが解決方法。”
第12章 結論
P.285〜P.329
インターネットは社会の構造を変えると期待されていた。大衆に自由を齎すはずだと。インターネットの技術者達もそう言っていた。しかし、実際はそうならなかった。国家の代わりをインターネットが我々を管理する手段になっている。
“この視点は、#エドワードスノーデン さんも持っている。自伝の中でこの時代の体験を失望として語っている。”
大いなる裏切りを理解する
#ジェフベゾス、#ティムメイ、#ピーターティール、
「デジタル革命の真の目的はl、いつも、人々の支配や自由の剥奪。」
#ジョンバーロウ、#ピエールオミダイア、#オディッセイアスツァタロス、#ストラティスカラマンラキス
金儲けよりも世界を良くしたいと本当に思っていた技術者はいた。彼らが悪意を持っていたのではない。試みが失敗に終わった。技術者のコントロールを超えた社会的、経済的な力が働いている。これが、人々の支配、や、自由の剥奪、の原因となっている。
1980年代以降、これまで、e-コマースの制度的構造転換には4つの力が働いていた。すなわち、
①社会秩序の維持という課題
②規模の問題
③範囲の経済
④中央計画経済の魅力
次からこの4つについて精査する。
①社会秩序の維持という課題
商売には騙されないようにする方法が必要。労働者が賃金に値する仕事をしているか、経営者は約束通り賃金を支払うか。均衡(コスト, 労力)。インターネットの向こうのヒトが誠実なのかが分からない。
②規模の問題
小規模であれば個人やコミュニティがルールを自分で執行しても混乱はない。新興都市レベルに発展すると非公式の秩序は崩壊する。インターネット上に仮想巨大都市の建設に成功したのは、公的なルールを制定しそれを遵守する仕組みがあったから。
#ロスウルブリスト
交換の大多数の利点を享受しようとするならば非公式な仕組みでは難しい。
“共同体の運営を誠実に実行する手段としてのインターネット。みんなが顔の見える関係。お金儲けの基盤ではなく、社会的共通資本を共同体で創り、蓄積し、利活用し、変更管理するためのツール。”
③範囲の経済
初期のインターネットでは市場を機能するための機能は分権化していた。遠隔地の請負業者の労働市場。紛争は独立したオンライン紛争解決サービスで解決。仕事の頭金は第三者預託サービスで管理。
これら誠実なインターネット市場を一つのプラットフォームで担う業者が現れた。分権化された業者間では顧客情報や支払い情報を共有できない不便利を解決。
これは中世ヨーロッパの封建領主制から国民国家が最初に生まれた経緯に似ている。領域国民国家。
④中央計画経済の魅力
インターネットはリアルな市場を模した仮想の市場を提供した。電子的にアクセスする手段を持っていれば、いつでもどこからでも市場経済の仕事ができた。アプリストアに商品をアップロードすれば、世界中の顧客がダウンロードできる。事業者は商品を安価に市場に出品して、消費者は商品を安価に購入できる。
政府は国家や国民に関する統計やデータを生成、分析。市民はデジタルで登録。政策決定に記憶データを活用。デジタルプラットフォーム企業は顧客情報を蓄積して新たな市場を創った、創っている。
結果的に、プラットフォーム企業は消費者に自由な市場ではなく、トップダウンの市場を提供している。マッチングと優先付。
インターネットは競争原理で程度の差はあるが中央計画経済に向かっている。
なぜプラットフォームは国家を超えるのか?
#マークザッカーバーグ
国家がずっと行なってきたことをテック企業が単に再発見している。
国家が中央情報処理のハブになるのをやめた。国家のデータベース、アルゴリズム、ネットワークを一般企業に外注。
こうしてできたプラットフォーム企業は利益追求を名目に民主主義国家ではできないルール変更を実行する。個人の権利保護は暗黒時代のまま。プラットフォーム企業は土地を持たない国家。領土を超えて個人と結びつき、国家間の法律の違いが経営の障壁になりにくい。領土の制限を受けにくい新しい市場の支配者。
領土なき国家
国境を越えるビジネスには基本的に障壁がある。例えば、越境による追加コスト。ある試算では国境がなければ人類の国内総生産は2倍になる。
国際商業会議所(ICC)。国境を越えるビジネスのために1920年パリで創設。政府へのロビイング、商取引策定、紛争を関連機関の国際仲裁裁判所(ICA)で解決。参加するには莫大な費用がかかる。
デジタルプラットフォーム以外では国境を超えたビジネスは大企業が独占。ドイツ、フランス、ペルーでは上位五社で全輸出額の80%以上を占める。一方、イーベイ(デジタルプラットフォーム企業)では、上位五社の取り扱いは55%未満。探索コスト削減、言語の壁の無力化、遠方の当事者の協力関係強化が可能だから。これは単純にグローバルな製造業の条件に売上規模が不要になったことを示している。デジタル市場の便利さに囲い込まれた顧客が増えれば増えるほど、この傾向は高まる。
“情報が真正を保ち流通するにはそれを保証する必要がある。一つ一つの国家が独自でそれを実行するのはコストの面と人財確保の面で厳しい。最先端を切り拓くのは企業だが、それを運用する主体は政府。この体制が崩れると国家が企業の言いなりになる。#COVID19事件 における ファイザー社 と各国政府の供給契約書が示している。”
デジタル単一市場の構築
2007年のEUのデジタル市場。国境を越える商売は16人に一人。
売り手側が越境売買に積極的ではなかった。支払い方法を提供していない。
結局、米国のAmazon、Netflix等の米国テック企業のプラットフォームで商品を購入することとなった。
デジタル暴君を退位させる
デジタルプラットフォーム企業は小規模な事業者に国境を超えて取引する超国家的な制度プラットフォームを創った。やがて、プラットフォームは、その支配を確立すると、市場に集う出版社や商店主を食い物にし始めた。テック企業から消費者を保護する手段がない。
米国ではかつて1870年に設立したスタンダードオイルが石油市場を独占していた。政府は虐待的な独占業者を解体できる法律を制定し、1911年に34社に分割した。
2019年の米国市場はAmazon以外の上位十社をすべて合わせてもAmazonはその2倍のシェアだった。
ルール市場の失敗
プラットフォーム市場は大きい方が参加者にとっては魅力的。それだけ、多くの消費者と出会うことができるから。
デジタル市場はルール市場。スタンダードオイルのように34分割にしても解決しない。
一つ一つの市場を小さくすると市場の力が弱まり、結局、独占になりやすくなる。実際、現状、大手プラットフォームが二社ある。例えば、androidとapple。ウーバーとリフト。アップワークとファイバー。複数の大手プラットフォームを抱える市場では、ユーザーの多くはすべてのプラットフォームを利用。2つのプラットフォームは価格を結託するかもしれない。
分割を水平だけでなく垂直にも実行する。しかし、こうしても、法外な手数料の徴収、息のかかったパートナーの厚遇、不公平なルール、配慮に欠ける振る舞い、ひどい労働条件等の他の権力濫用には対策を打てない。
プラットフォーム市場は億万長者の技術者やベンチャー投資家に統治され、彼らの利害はある時点を超えるとプラットフォームの利用者の利害から乖離する。
必要不可欠なインフラか、創造的な無秩序か?
(米国において)プラットフォームを統制する競争法に限界がある。公益事業として独占業者を統制するやり方に着目。中央集権化による恩恵を収穫。巨大な事業者と国民との利害を一致させる。
公益事業と見做した企業に対してあらゆる顧客を平等に扱うように求める規制を作った。米最高裁判所長官「私有財産が公衆に重大な影響を及ぼす形で使われる場合、公的規制の対象となる」
EUのデジタル市場法は、必要不可欠なプラットフォームを「門番」と位置付け、それらに新たな要求事項を課している。門番に、プラットフォームのランキング検索結果では「公平で非差別的な条件を適用」。検索結果で特定の人や物を特別扱いできない。
しかし、その公平な実行は難しい。アップルマーケットプレイスでAmazonのプライムビデオをアップル税の対象外にした。ネットフリックスは税の対象。アップルは事前に免税の状況を公表してプライムビデオがその対象であるとした。様々な条件を想定した時、プラットフォームを事実上、行政の支配下に入れる必要があると著者は考える。
“便宜を図る対象が出てきた時、条件を公表してその対象にすることが可能。これは、公平さのリスクとなる。”
米最高裁長官「公共の利害に関わる形で私有財産を使った時、その人は事実上、その使用と公衆の間に利害関係を認めたことになるから、公共の善のために、公共の支配を受けることを認めなかればならない」
電子フロンティア財団は自由なインターネット市場を主張していたが、説明責任を果たさない大企業にかわりネットを管理している。財団の主張はこれまでのインターネット市場の規制の変遷に逆行する。無秩序なマーケットプレイスではなく管理者のいるマーケットプレイスを消費者が選んだ。「機能しているあらゆるアナーキーの内側には、OBのネットワークがある」
プラットフォーム国家主義か、プラットフォーム協同組合主義か?
制度インフラに本当の意味での公共的な説明責任を求める手段は、事実上の国有化が最も実行可能な方法のように思える。課題は超国家的なプラットフォームの国有化。Amazonは五十八カ国で最も訪問者の多い市場。メカニカルスタッフは百九十カ国に点在。アップルストアは百七十五カ国で利用できる。各プラットフォーム企業の本社のある国で国有化するならば大部分は米国と中国。
“プラットフォームは国毎に国営企業を作る。プラットフォーム内は国家内で、プラットフォーム間は国家間で調整する。地元の産品をまず購入して、地元の産品がない場合近隣の市場から購入。消費者の操作は商品の購入。プラットフォーム側で自動的に市場を切り替える。”
プラットフォーム企業に対して政府が圧力をかけて外交手段の一つにしている。
欧州はプラットフォーム管理を強化して「デジタル主権」の創立を目指す。
政府に頼ってプラットフォームの課題を解決するのではなく利用者が協力して自分たちのぷらっとフォームを創り運営する。
ユーザー兼所有者の利益のために民主的に統治され政治的な問題を1度に解決できる。
2013年 フェアモンド(ドイツ)→利用者は極少数に
2014年 ロコノミクス(サンフランシスコ)→稼働していない
2015年 ダエモ(スタンフォード大学)→稼働していない
2016年 ジュノ(ニューヨーク市)→稼働していない
ブルジョア革命
プラットフォーム独裁政治からプラットフォーム民主政治へ。
ブルジョア革命。
市場のplayerが変化。
自分たちの街で度量衡を整備貨幣を鋳造。商業契約、強盗からの貿易商人保護。封建領主が徴税目的の利己的な動機で。
貿易承認と職人が倍増。富を蓄積し領主と対抗できる市民の登場。
情報交換によるジャーナリズムの勃興。
集団の形成、投票による代表選出、政治的制度の整備。
自治による独立国家と独立商人の共和国。民主主義国民国家の先駆け。
プラットフォーム経済の4つの階層(貴族, 販売創作活動者, 労働者, 消費者)
販売創作活動者はお互いに情報交換を行う。まるで、ブルジョア革命の市民のよう。
プラットフォームの経済を情報発信するジャーナリストが現れた。
アイナ&デイビッド・シュタイナー夫妻。イーベイのCEOが社員の平均給与の152倍も稼いでいる。
イーベイ社員による夫妻への嫌がらせ。後に、嫌がらせをしたイーベイ社員は逮捕。
プラットフォーム企業の社員が経営方針に反対の意思を表明する時代になった。
デジタル憲法の草案
EUが新たに策定したプラットフォーム透明化規則。
商業ユーザーは政策の変更を事前に事業者へ届け出る。経営の透明性の確保。
商業ユーザーの組合はプラットフォーム事業者を訴える権利を定めた。
事業者の恣意で商業ユーザー、消費者が不利益を被ることを防ぐように交渉する権利。
創業者の借り
株式会社が民主主義政府を備えた公共団体に移行するアイデアを提供した。
ヴァージニア州の始まりは株式会社ヴァージニアカンパニーオブロンドン。
1606年に若き起業家によりロンドンに設立。
事業計画は北米に一つの街を建設。ヨーロッパから職人、貿易商人を呼び込む。
街は会社の取締役会によりロンドンから統治。
利益は投資家に還元されると考えられていた。しかし、長続きしなかった。
その街は米国を構成する州の一つになった。
世界のほぼ全ての国家は歴史のある時点で多かれ少なかれ裕福な家系の私的所有物だった。(本当?日本は違う?天皇家?)
彼らに感謝の念は必要だろう。
ただ、こうした創業者やその子孫が公的制度を所有したり管理したりする資格を有しているわけではない。
同じことがデジタルの諸制度にもきっと当てはまるだろう。
“人類は最初から(共同体, 経済)を所有していた。それは、個人の持ち物ではない。その過程はどうあれ、私有は被造物。お金や土地の私有とは、みんなのモノを一時的に管理しているに過ぎない。”
終わりに=Outcome
20241221序論と結論の読了
人類は(宇宙, 共同体)と共に地球の表面上に導き出された。
我々は認知の中に身体(個物, 共同体)を持ち #焔を扱い土と共に生きる。
この始まりを思い出す、始まりに回帰する時代に人類は突入した。
回帰の対象は次の通り。
(テスト文化, 会社員社会)→(自己完結文化, 研究開発型個人事業主社会)
中央集権型データマネジメントシステム→自律分散型データマネジメントシステム
マリーアントワネット症候群→(三島由紀夫, マハトマガンジー, チェゲバラ)症候群
自由は獲得する文化→生まれながらに自由な文化
デジタルプラットフォームを三原市で構築し運営し変更管理する。学校カンパニーで。
地域農園、地域食堂の活動がメディアで毎日アップされる。
地域通貨やっさの流通が共有される。
学校カンパニーのプロジェクトの進捗が共有される。
農業ロボットの稼働状況がリアルタイムで共有される。
小水力発電、各個発電状況がリアルタイムで共有される。
デジタルプラットフォームは三原市で完結。他のプラットフォームとは直接接続しない。
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